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今日は銀さん、辰馬の家に遊びに来ちゃったんだ。それも1人で。

知らへぬ恋は3


銀さんが原付きを停めてる駐輪場は、正門の横だから全然知らなかったんだけど、大学を西門から出るとすぐに、居酒屋があって。ほとんどうちの学生ご用達みたいな感じだったからさ、昼から開いてんの、ソコ。昼ご飯、ここで食べてるヤツもいるんだろうなぁ。んで、4限の『漢字学入門』が終わってからさ、高杉にちょっと来いよって連れられて銀さんは初めてその居酒屋に来てた。

「こっちだ、晋助」
4人掛けのテーブル席を2人で陣取ってたのはヅラと辰馬だった。2人共、3限が終わってからずっと飲んでたらしい。

高杉がヅラの横に座っちゃったからさ、銀さんは辰馬の横なんだけど。すっげぇ嬉しい。…けど、前の席の方が辰馬の顔見れるんだよなァなんて。なんか複雑。
今日もあの飲み会なのかなァと思ったら、ヅラがバイトだから今日は飲み会はナシなんだって。ヅラのバイトの時間まで、あと1時間ちょっと、ここで飲みながら暇を潰すらしい。

「お前、酒飲んでバイト行って大丈夫なのかよ?」

早速出て来た生ビールを飲みながら高杉が心配そうにしてる。ヅラは1杯しか飲んでないから大丈夫だって言うんだけどね。銀さん達が来た時には既に、伝票にたくさん書いてあった正の字は、辰馬がバンバン飲んだ分らしい。

「今日暇じゃったら、2人で遊びに来んかァ?」
2人でって言いながら、明らかに辰馬が見てるのは高杉なんだけどね。席の関係もあるけどさ。

「なんで小太郎もいねェのに、テメェんとこ行かなきゃならねェんだよ?」
あっという間に中ジョッキを半分まで減らした高杉が辰馬を睨みつけている。辰馬ってホント、可哀相なくらい嫌われちゃってるんだよね。

「銀さん、行ってもいいなら行きたいなァ」
しょんぼりしていた辰馬が急に嬉しそうに顔を上げた。

「ほうか?おいでおいで!ほら、のー、高杉も一緒に…」
「俺は行かねェ。帰る」

高杉とは仲良くなったつもりだったけど、やっぱりヅラじゃなきゃ駄目みたい。銀さん、高杉と辰馬の間に入れたらなァって、思ったんだけどな。だって、銀さんにはどっちも大事だから。

銀さんも誘ってもらえたのは、辰馬が高杉を呼ぶための口実だったのかなって思ったんだけど、実際そうだったんだろうけど、それでも辰馬は銀さん1人でも遊びにおいでって言ってくれて。原付きは駐輪場に停めたまんま4人で駅を目指した。ヅラと高杉は、急行に乗っちゃったけどね。

1人で来るとさ、辰馬の部屋って本当に広くて。だだっ広いっていうの?こんな広いところに辰馬1人で住んでてさ、寂しくないのかなって考えちゃった。

遊びに来たはいいけど、特別何かをしようってわけでもなくて。辰馬が気ィ遣ってお茶とか出してくれる。さっきまでビール飲んでたのにお茶だから、ちょっとだけ笑っちゃった。

何かがしたいってわけじゃないんだ。銀さんは、辰馬と一緒にいられたら、それでいいんだもん。

「そういえばおんし、今日昼ご飯食べちょらんかったのう?大丈夫がか?」

ダイニングに2人並んで座ってたら、辰馬が思い出したように銀さんの顔を覗き込んできた。昼休みは、これまたやっぱり、高杉に連れられて15号館の2階まで行ったんだけどね。そこがテラスになってて、辰馬とヅラは、いっつもそこでご飯食べてるんだって。

「銀さん給料前でお金ないからさァ」
明後日まで、マジで厳しいんです。下宿させてくれてる伯母さんの家に帰れば、晩ご飯だけは食べれるんだけど、わかってても辰馬の家来たかったからさ。

「ちゃんと食わんと倒れるろー。何か作っちゃるぜよ」
「えっ?い、いいよ、そんな!悪いって」

さっきの居酒屋のビール代だって出してもらったのにさ。高杉は『テメェなんかにおごってもらいたくねェんだよ』って、無理矢理千円札押し付けてたけど、銀さんは甘えちゃった。

「どうせわしも晩ご飯食べるろー。何がええ?おんし好き嫌いはあるんかの?」
立ち上がって、冷蔵庫の中を確認しながら何でもないことのように辰馬は言うんだけど。でも辰馬、さっきの居酒屋でかなり食べてなかった?ああ、アレか。やっぱり辰馬も、身体の分は食べるのかな。

「このまぐろ食べんとマズイのう…。そうじゃ、山かけ丼でも作ろうかの?まずはご飯でも炊くかのー」
こ、これって、銀さんは辰馬の手料理が食べれちゃうってこと?すっごい嬉しいんだけど、ちょっと困っちゃうよ、それって!

「そんなことしてもらっても、銀さん辰馬に、何にも返せないよ…?」
キッチンでお米をとぎ始めた辰馬に慌てて寄って行って。さっきのビール代だって、いつか返さなきゃと思ってるのにさ。そんなに親切にされたら、困っちゃうよ!

「遠慮せんでえいんじゃよ?」
「でも…」

銀さんは、性格的に、東城みたいに『ご飯食べさせて』なんて言えない。
仕方ないでしょ、そういうこと、あんまりしてもらったことないんだし、それに銀さんと辰馬、知り合ってまだ1週間じゃん。いや、東城と辰馬が、いつから友達なのかなんて詳しくは知らないけどさ。

「別にわしは見返りなんぞ期待しちょらんぜよ?」
「そうかもしれないけど…」

本当に銀さんは何にも返せるもの持ってませんって辰馬に言ったらさ。炊飯器に釜をセットした辰馬が立ち尽くしたまんまの銀さんの顎を掴んで。

(…!!!)
銀さんは辰馬にキス、されていた。

目を見開いたまま動けない。固まったまんまの俺の口の中に辰馬の舌が入ってきて絡め取られる。頭ん中真っ白、何?何が起こっとんの?

「ほい、前払いじゃき。これでご飯食べてくれるじゃろ?」
にっこり笑った辰馬の顔が目の前にある。驚き過ぎて、声も出せない、指1本動かせない俺の顔を、また至近距離で覗き込んだ辰馬は。

「嫌じゃったかの?」
「そ、そ、そそそそんなことっ、ナイっ!」
「ほーか」

辰馬は『ご飯が炊けるまでテレビでも見るろー』って、リビングのソファに行ってしまったから良かったけど。ヤバイって、絶対俺、今真っ赤な顔しとるって!

「銀時、おんしもこっち来ィ」
「は、はは、ハイっ」

やべぇって。声が上擦っちゃってる。落ち着け、落ち着けって自分!関西弁まで出ちゃいそうだったよ、もうっ!銀さんは関西の生まれじゃないんだけどさ、それでも5年くらい住んでたからさ、時々出ちゃうんだよね。イントネーションが標準語の、嘘臭い関西弁が。

(辰馬はジャニ系が好きなんだって。きっと、そんな深い意味ないってば!)

ほらさ、こないだヅラが『坂本は手が早いから』って言ってたやろ?きっと辰馬にとっては、今のは挨拶みたいなもんなんやって!特別な意味はないんやて!…じゃない、ないんだって!辰馬が好きなんは高杉だし、ジャニ系やって、こないだ散々聞いたやろ、俺!じゃないじゃないって!どうしよう、動揺しすぎて関西弁が消えないよう。

深呼吸を数回繰り返して、心を落ち着かせてから、ようやく銀さんはソファの辰馬の隣に座った。

「この時間はニュースかアニメしかやっちょらんのう」
チャンネルを回す辰馬の視線はテレビに向いている。だから、辰馬の視界に銀さんは入ってないはずだった。今のうちに、この顔の赤いのが治まったらいいのに。

***

辰馬の料理はまさに『男の料理』って感じだった。相当たくさん鮪(マグロ)があったみたいで、『サラダにも入れてまおう』って呟きが聞こえた気がしたんだけど。銀さんは、何にもしなくていいって言われて、ダイニングテーブルのところから、黙って料理する辰馬を見つめてた。一人暮らし3年目だけあって、すっごい手際がイイ。

レタスを手で千切って、ボウルに入れた後は、キュウリとパプリカとカイワレと鮪に、戻したワカメをそこに入れて、手でがしがし混ぜてる。ドレッシングだって、その上からドバっとかけて終わり。山かけご飯の方も、丼に盛ったご飯に鮪乗っけて、叩いたやまいもをぶっかけた、…って感じ。銀さんはチューブの山葵(わさび)と醤油を渡されたんだけど、辛い物は苦手だから山葵はほんの少し、風味をつける程度でいいんだよね。

「あっ、出過ぎたぜよ」
隣に座った辰馬もおんなじように小皿で醤油に山葵を溶いてたんだけど、チューブから5センチくらい山葵が出ちゃってる。うわァ、絶対辛いよ、ソレ。

「まァえいかのー」
いつものようにアッハッハーと笑いながら辰馬は山葵の塊が溶けないまんまの醤油を丼にかけちゃったけど、明らかにカタマリだよカタマリ。ワサビが。

「いただきますじゃー」
銀さんもお箸を持っていただきますして。山かけご飯をパクパク掻き込むように食べ始めた辰馬が、早速鼻をつまんで悶えてる。山葵の塊食べちゃったんだよきっと。

「辰馬、大丈夫…?」
「…あー、辛かったぜよ!そうじゃ、おんしもビール飲むがかァ?」
いるって答えるより早く、冷蔵庫からビールが2本出てきた。ホント辰馬って、お酒強いよね。飲んでばっかり。

山かけご飯はもちろんなんだけどさ、このサラダもヤバイくらい美味しいんですけど。このドレッシング何?さっきかけたの見てたけど、手づくりっぽい容器に入ってたよねェ?

「辰馬、すっげえ美味しい」
なんかもう、手料理食べさせてもらってるってだけで感動モンなのにさ、あんまり美味しいから涙出てきちゃいそう。

「ほーかァ。まだご飯あるからのぅ」
遠慮せんと明日の分も食べておきィだって。辰馬がいっぱい食べるもんだからさ、遠慮するなってのは無理だけど、銀さんも食べやすくて。

「このドレッシング美味いじゃろー?幾松の手づくりじゃき」
やっぱりそうなんだ。市販のドレッシングに、こんな味のはないような気がしてたんだ。和風なのに明らかガーリックオイル使ってんだもん。

「なんか、何のサラダにかけても合いそうだよねー」
銀さんも欲しいなァって言ったら、今度幾松さんに頼んでくれるって。やったね。
20分かそこらで、銀さんと辰馬はご飯3合分とサラダの全部を食べ切っちゃった。

「ごちそうさまでした!」
お腹も心も満たされるって、こういうことなんだよ、きっと。後片付けくらいやろうと思って、丼やボウルをキッチンに下げていたら、『後でいいから先に風呂入ってきィ』だって。

「着替え持ってきちょるがか?」
「持ってないよォ」
「ほーか」

寝室に引っ張られて、『これでえいか?』って渡されたのは、辰馬のジャージと長袖Tシャツ。ジャージに『坂本』って書いてあるんだけど、これって、もしかして辰馬の高校の時のジャージですか?長袖TシャツはもちろんPaulSmithなんだけどさ。

「それ部屋着じゃき、気にせんでえいよ」
PaulSmithの部屋着なんて初めてなんですけどっ!あ、でもこの長T、色落ちしてる。だから部屋着なんだ。

「洗濯サボっちょってのう、ジャージで我慢してのう」
「そんな全然!」

ってか、この寝室、初めて入ったんだけどさ、10畳くらいはありそうな広い部屋の真ん中にドドーンと置いてある辰馬のベッド、明らかにダブルサイズなんだよね。もしかして、もしかして今日は銀さん1人しかいないんだから、ここで辰馬と寝れちゃったりなんか…しないよねェ?ヤバイよヤバイ!そんなことになって、銀さん我慢できる自信ないんですけど?

素直な下半身が反応してきちゃいそうだったから、銀さんはそそくさとお風呂場に行って、頭からなるべく冷たいシャワーを被った。
「ヤバイなァ…」
とっくに失恋してるのに、辰馬のことがどんどん好きになっていっちゃうよ。

***

銀さんの次に、辰馬がシャワー浴びてる間、ぼんやりニュース見てたんだけど、なぜかリモコンが3つあることに気付いてしまった。ってかココ、もしかしてスカパー映るんじゃないの?さっき辰馬が見てたの、普通に民放だったよねェ?見ないなんてもったいないー!

銀さんが、チャンネルの入力切り替えに手間取っていたら、腰にバスタオル1枚巻いただけの姿で辰馬がお風呂から上がって来た。

(ぎゃあーっ!!)

いや、ココは辰馬ん家なんだからさ、いいんだけど、いいんだけどっ!
慌ててテレビに向き直ったんだけどさ、辰馬の上半身、バッチリ見ちゃったよ。

(胸筋盛り上がってたァ…、あんなにビール飲むのに腹筋も割れてるよォ)
ヤバイ、銀さんドキドキ止まんない!

「銀時ィ、ビール飲むじゃろー?」
バスタオル1枚の辰馬が隣に座る。収まれ、収まれってこの馬鹿息子っ!

「どーしたんじゃあ?」
いつまでも背中を向けたまんまビールを受け取らない銀さんを辰馬が不審がってる。どうしよう?でも今、辰馬の方向いたら、勃起してんのバレちゃうよ!

「風呂上がりのビールいらんがか…?」
ぐいっと肩を掴まれて、振り向かされて。

「おんし…」
「たっ、辰馬がそんな格好してるから…っ」

もう泣いていい?こんな恥ずかしいとこ見られるだなんてさ。もう銀さん、失恋しちゃってるからさ、これ以上落ちることなんてないと思ってたのにさ。

「銀時…」
俯いていた銀さんの両頬が辰馬のおっきい手で包まれたかと思ったらさ。そのまんま、また唇が重なっていた。

(た…つま?)

まさかもう一回してもらえるなんて思ってなかったしさ。さっきは動揺して頭真っ白のまんま終わっちゃったから、今度はこのキスを記憶に残すんだって。一秒でも長く辰馬とキスしてたいって考えたら、銀さんは自然と辰馬にしがみついていた。

「銀時、えいか?」
唇が離れて。耳元で辰馬の低い声が響く。たぶん耳まで真っ赤になってるんだろうなって自覚しながら、銀さんは俯いたまま小さく頷いた。

「こっち来ィ」
手を取られて誘われたのは寝室の、あのダブルベッド。恐る恐る座った銀さんを押し倒しながら、辰馬はまたキスしてきて、それから、下着ごとジャージを降ろされる。

「ゃっ、辰馬っ、電気消してっ!」
銀さん、辰馬みたいに見せれる身体してませんからっ!

「んー?…かわええこと言うのォ」
真っ暗は嫌いじゃき、これでえいか?って言われて。薄暗い状態で、また辰馬が覆い被さってくる。着たばっかりだった長Tも脱がされて、とうとう全裸だよ。もうやだ、恥ずかしいっ。でも、恥ずかしいけど、やめてほしくない。

「おんしもええ身体しちょるじゃなかか」
すうっと辰馬の唇が銀さんの首筋を這っていった。

「ゃっ、そんなことなっ…」
辰馬に比べたら、全然筋肉ついてませんからっ。男は筋肉だからさ、頑張って鍛えてんだよ、これでも。

辰馬の舌が銀さんの乳首に這わされた。

「ぃぁっ、くすぐった…っ!」
「おんしもがかァ?」

わしもココ駄目でのう、って顔を上げた辰馬が笑ってる。

「ってか、銀さん、結構、どこも駄目…」
全身くすぐったくて仕方ないんです。あんまり感じるとこってなくてさ。今までは、ほとんどタチることの方が多かったから、困らなかったんだけど。

「ほーなんかァ?」
わし攻めんの好きなんじゃけどーって、辰馬がガッカリしたような顔を見せたもんだから、少しくらいはくすぐったくても我慢しようって銀さんは心に決めたんだ。

「嫌じゃったら言っての」
脇腹から下半身へ這っていった唇がやっぱりくすぐったくて。笑い出しそうになるのを必死で堪えてた。それでも銀さんの馬鹿息子はビンビンでさ。早く触って欲しいよぅって思ってたのに、思い切り綺麗にそこだけ無視されたように辰馬の唇は離れていった。

抱え上げられたのは銀さんの左脚。え?何?と思ったら、辰馬は太腿の内側に唇を落とした。

「ひぃあっ!!」
ビクンと身体が跳ねて、銀さんの口からは悲鳴のような声が飛び出した。

「見つけたぜよ」
辰馬の舌が内腿を這っていく。ゾクゾクする。銀さん、そんなとこ舐められたの初めてだよ?それだけ、たいしたエッチしてきてないってことなんだけどさァ。

「ァっ、ひゃっ、んあァっ、っア…」
こんなに声って出るもんだったっけ?これは相手が辰馬だから?銀さんが、辰馬好きだから?こんなに感じちゃうのは好きな人としてるから?

これでもかってくらい、ねっとり左の内腿を舐められてから、次は右側。やばいよ、右も感じる。銀さん、自分の性感帯、初めて知っちゃったんですけどっ?

散々喘がされて、銀さんの馬鹿息子は破裂寸前。だけど辰馬はまだ、ソコだけは触ってくれなくて。両脚を降ろされたと思ったら、辰馬は枕元の引き出しを開けてゴソゴソ何かを探してる。ってか、ローションだと思うんだけどさ(それしか有り得ないでしょ?)。

「た、辰馬の舐めたいっ!」
「んー?舐めてくれるんかァ?」
順番的に、挿入の準備の前の今しかないかなって思って。

「頼むぜよー」
引き出しの中から青色の歯磨粉みたいなチューブが出てきて。いつの間にか剥ぎ取られてバスタオルがなくなってた全裸の身体をベッドに横たえた辰馬の長い脚の間に銀さんは座り込んだ。

(辰馬のデケェ…っ)

正直、銀さんフェラには自信あるんですけどっ。だってめちゃくちゃヤラされたからさ。あー、それ思い出したら辛いから今は考えんのやめよう。要するに、身体目的で付き合われてました…ってか、そんな昔の話。

口の中いっぱいに辰馬のを頬張るけど、結構苦しいよ。ってか、こんな大きいの、銀さんに入るのかな?銀さん、半年以上使ってないんですけど?

「あー、銀時、その辺イイぜよー」
それでも頑張って舌を使ってたらさ、辰馬が気持ち良さそうな声を上げながら、銀さんの顔を撫でてくれたから嬉しくなっちゃった。

「銀時、交代しよか」
抱き上げられてキスしたまんま銀さんの身体はひっくり返されてベッドに沈んだ。さっきの歯磨き粉みたいなチューブの蓋を開けて、搾り出されたのはやっぱり、紛れもなくローションだと思うんだけど。

「…それ、何?」
なんか入ってる特殊なローションなのかなァって思ってさ。聞いてみたら辰馬は見せてくれた。

「おんしKYゼリー知らんがか?」
これ使ったら痛くないんじゃよーって笑いながら、辰馬の指が銀さんの中に入ってくる。

「くっ…」
「おんしキッツイのぅ。大丈夫がか?」

慎重に慎重に辰馬の指が奥まで進んでくる。まだ指1本だから、全然痛くはない。あ、KYゼリーに入ってる麻酔薬のせいもあるのかも。

「んっ、ごめ、ん、…半年は、ソコ使ってないから…」
「おんし、やっぱりタチ寄りなんじゃのー」

ゆーっくりゆっくり、これ以上ないってくらい優しく、辰馬が銀さんの中心を舐めながら慣らしていってくれたから、指が2本から3本に増えたって、そんなに痛くはなかった。銀さん、こんなに優しくしてもらうの初めてなんですけど?もー、今までどこまで、ロクなセックスしてきてないんだよ?

「イケるかのー?」
キツそうじゃから横向きのうって言いながら銀さんの両脚を右腕で抱えた辰馬の中心が宛われる。ぐっと力が入って、辰馬の中心が銀さんの秘孔を押し拡げてさ。思わず銀さんは息を飲んじゃった。

「ホラ、力抜きィ。息止めたら余計辛いじゃろー?」
「はァっ、っあ、ァあっ、ぃっ…」

やっぱ半年使ってなかったソコに、辰馬の大きいのじゃ痛かったんだけど。それより辰馬としてるんだって、辰馬と繋がってるんだってことの方が嬉しくて。銀さんは必死で喘ぎながら空気を吸い込んだ。

一番太い部分が収まった後は、比較的すんなり飲み込んでいったみたいだったけど。熱い、お腹ん中が熱いよ辰馬っ!

「大丈夫がか?銀時」
「ちょっ…と、苦しいけど、だいじょぶっ」
お腹の中で辰馬のが脈打ってんのがわかる。まだ辰馬、動いてないってのに。

「動いてえいか?」
「うん、来て…っ」

横向きに纏められていた銀さんの脚を開いて、片方を肩に乗せた辰馬は、前後に腰を使い始めた。

「ひゃあっ、ぁっ、んあァっ、くア、ァあっ、すご…っ、んァ」
揺さ振られる度に、辰馬の中心は銀さんのイイところを確実に抉っていった。

「ゃ、ゃあっ、なんか当たっ、当たるっ、んああっ、ァっ、ぁあっ」
前後に動く腰に合わせて辰馬は銀さんの前も扱いてくれるんだけど。中はなんかゴリゴリしたところに当たってるし、前は前で当たり前に気持ちいいし。銀さんはただただ、揺さ振られるがままに揺さ振られて、気持ち良くてワケわかんなくなって泣きながら喘ぐしかできなかった。

「やァっ、辰馬っ、出るっ、出ちゃうっ、イクーっ!」
「えいよ、イキイキ」

わしもそろそろイクからのって言いながら、腰を打ち付けるスピードを速めた辰馬の、銀さんの中心を扱く手も、もちろん速くなって。

「ぁっ、あ、んああーっ!!」

がっくり倒れてきた辰馬がいつイったのかもわからないくらい、頭の中真っ白の強烈な快感。腰のあたりを痙攣させたまま、覆い被さってきた辰馬に唇を重ねられても、銀さんは指1本、動かせなかった。

***

全然ワケわかんなくなってる間に、銀さんは中出しされてたみたいだった。辰馬に引っ張られてもう1回シャワーを一緒に浴びて。明るいところで裸見られるのって、すごく恥ずかしいんですけどっ。

「おんし、肌キレイじゃのー」

辰馬が銀さんの身体を洗ってくれてるんだけど。やばい、力抜けそう、立ってるだけでいっぱいいっぱい。

「なんか、日に焼けないのは焼けないよォ」
実は銀さんのこの髪の毛だって地毛ですからね。なんか色素薄いんだよ、銀さんは。それがもとで、昔軽くいじめられたりしたからさ、自分では大嫌いなんだけど。

ま、昔のイジメだから、今ニュースになってるやつみたいに、あんなエグイのじゃなかったけどさ。

全身全部キレイになってから、また辰馬に借りた部屋着を着て。今度はちゃんと服を着た辰馬が『やっぱ風呂上がりはビールじゃのー』って、言うからさ、ソファに並んで座って飲むんだけど。なんかまだ身体が怠かったから辰馬にもたれ掛かってみたら、普通に辰馬は肩を抱いてくれた。

(銀さんこれだけで幸せかも)

辰馬が銀さんのこと、好きになってくれないことなんてわかりきってるからさ。いいよ銀さんは身体だけで。…アレ?これって結局、いつものパターンじゃないのよ?

「銀時ィ、まだ眠くないがかァ?」
「ぅん。…まだだいじょーぶぅ」
でも、辰馬なら優しいからいいや、なんて。ああ、もう銀さんってば、駄目男の典型だよね。

「辰馬ってさー、バイトとかって、してないの?」
「んー?わしかァ?」

週に2回だけ、二丁目のゲイバーに行ってるんだけど、それ以外は特にバイトしてないんだって。

「じゃからのー」
誰か来てもらわんと暇でのぅ…って。呟いた辰馬の横顔を見上げたけど、なんだか少し、寂しそうに見えた。

「もう1年以上恋人もおらんからのー、アッハッハー」
やっぱり、きっと辰馬は、この広い部屋に1人で暮らしてて、寂しいんだと思った。銀さんも、半年以上恋人いませんけどね。

「銀さんで良かったらァ、バイトない日はまた、遊びに来るよォ」

本当は、辰馬の恋人候補として、立候補したい気分だったけど。せっかく知り合って、仲良くなりかけてるってのに、銀さんが告白なんかしちゃってさ、関係をブチ壊すのが怖くて言えなかった。だって、100パーセントふられるって、最初からわかってんだもん。

それに。わざわざ付き合わなくても、エッチできちゃったし。ヅラが『坂本は手が早いから食われるぞ』って言ってたの、本当だったんだ。

「おんし、バイト何しとるんじゃア?」
「今はねー、深夜のコンビニと土日だけパチンコ屋」

そういえば、ゲイバーって時給いくら?って聞いたらさ、『最初は死ぬほど安いぜよォ』って辰馬が言うから諦めた。銀さん稼がなきゃなんないからさ、水商売なら時給いいかと思ったのに。

「おんし、バイトしたいがか?」
「もうちょっとお金稼がないとさァ、今日みたいに給料前はご飯食べれなくなっちゃうからさァ」

なんでそんなに厳しいのかって。話してもいいけど、引かれるのが嫌だから、銀さんは聞かれない限り、絶対自分からは話さない。

「そうじゃ。おんし、女装できるがか?」
「じょ、女装っ?」

どうやって話したら、うちの家庭の事情が丸く聞こえるかなァって考えてたのにさ、突然辰馬の口から出てきた言葉に、銀さんは唖然となった。

「おんし酒飲めるじゃろ?肌も白いし、せっかくキレイな顔しちょるんじゃから」

辰馬の口から出てきた言葉が理解できなかった。何て?今、辰馬何て言った?『せっかくキレイな顔してる』って、言わなかった?

(キレイとか言われたの初めてなんですけどっ!!)

なんだろ、今日って初めて尽くしだよ!!深い意味はないんだろうけど、だからこそ、辰馬って本気で言ってるんだよねェ?だって、銀さんが好きなわけじゃないんだからさ、何もわざわざ、銀さんにおべっか使う意味ないでしょうっ?

「ニューハーフの店なんじゃけど。時給はわしらの3倍くらい…、おんしならキレイじゃから、もらえるじゃろうのぅ」

(またキレイって言いましたけどっ?)

今までの人生で一度も言われたことのない単語を連発されて、俺の頭ん中をぐるんぐるん回ってる。アレ?そやから、何の話やったっけ?

「誰かおらんかーって、言われちょったんじゃけど…。どうじゃろう?」
「い、行くっ!」

なんだかよくわかんないままに、俺はそう返事をしていた。もう一回、言って欲しいなって思いながら。ってか、それしか頭になかった。

「ほんに?おんしならキレイじゃから、絶対人気出るぜよォ!早速連絡するのォ」
ああ、もう一回キレイって言われちゃった。どうしよう、完全に舞い上がってるんですけど?

ソファから立ち上がって、携帯を出してきた辰馬がどこかへ電話をかける姿をぼんやり眺めてた。もう夜中なんですけど?とか、そんなこと考える余裕なんて全然なくてさ。銀さんなんかにキレイって言ってくれる辰馬の方がずーっとカッコイイし、キレイだよォって、そればっかり思ってた。

「銀時、明日空いちょるがかァ?」
「明日?大丈夫ー」

明日もバイト休みだからね。深夜のコンビニは、時給はイイんだけど、毎日毎日は入れないのが難点なんだよなァ。なるべくなら土日は昼からパチンコ屋で疲れてるから、休みたいのに、土日こそって休ませてもらえないしさ。だから平日になるべく連休取るようにしてるんだァ。

「……もちろんじゃって、わしも行くろー。……明日頼むのー」
通話を終えた辰馬がソファに戻ってきた。

「早速明日面接じゃからのぅ。わしも着いていくきに、心配せんでえいからの」
(はい…?面接?何の?)

まさか今更、辰馬に『キレイ』って言われて舞い上がってて、全然話聞いてませんでした…なんて言えなくて。

エッチしてしまったあのダブルベッドに2人並んで寝ようってことになって、横になったら辰馬が銀さんの腰に腕を回してきた。

「やっぱ人肌ってええのー」
なんだろう。いつも笑ってるって印章だった辰馬がさ、本当はすごく寂しいんじゃないかって。
その呟きを聞いた時に銀さんは思っちゃったんだけど。それを問いただしてみることはできなかった。
そういう銀さんも、こうやって誰かに抱かれて眠るのはすごく久しぶりで。嫌われなければ、別に付き合えなくても今のまんまでいいやって思いながら、この日は眠ったんだ。

翌日の夕方、辰馬に二丁目に連れて行かれて、そこのニューハーフのバーで面接を受けて。即、採用が決まって、早速今日から働いてって言われてさ。化粧してもらってドレス着て、右も左もわかんないままホールに出て。

夜中3時の閉店まで辰馬がお客さんしててくれたからさ、ほとんどその席に着いてりゃ良かったから助かったんだけど、辰馬のペースに合わせて、ついつい飲んじゃった。だって、飲まなきゃ緊張ほぐれないよ!

辰馬と一緒の帰り際、とりあえず今日の分って、面接してくれたママさんが渡してくれた封筒には、万券が2枚と千円札が数枚、入ってた。

「どうかな?お店の雰囲気とか、わかったと思うんだけど…」
できそうかな?と、銀さんより背の低いママさんに見上げられて。

「やります!体力の限界まで働きますっ!」
「ホントにー?良かったァ!人手足りなくて本当、困ってたんだァ」

ほろ酔いの頭で、深くは考えなかったんだけどさ。諭吉さん2枚の重みの前には、化粧とオカマ言葉くらい克服してやるんだーっ!って、気になってしまった。この、銀さんの、未経験の新人にあるまじき時給は、辰馬が交渉してくれたらしいってのは、後から知ったんだけど。

「わしも時々来るきに、頑張るんじゃよー」
ぽんぽんと辰馬に肩を叩かれて。

こうして銀さんは、今日からパー子になりました。

酔った勢いで辰馬に甘えてみたら、ラブホにお泊まりしてくれて、またまた辰馬とエッチしちゃったんだ。昨日の今日で、辰馬に呆れられるかと思ったんだけど、そんなことはなくて。やっぱり辰馬のエッチは優しくてなんだか幸せ。


END



坂銀初Hとパー子になる話でした(苦笑)関西弁&一人称『俺』の銀時(動揺した時だけですが)が、なんだか微妙…。






















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