□title list□
 ※水色部分にカーソルを合わせると
 メニューが出ます

※「漂揺心」の続きです

replication


この日は坂本のマンションに銀時が訪れていた。
いつものパターンだと、翌日の水曜日がここでの飲み会だから、この日は銀時以外誰も来ていない。

「辰馬ァ、お前がフラれたワケじゃないのに、なんでそんなにヘコんでんの?」
皆の前では明るく振る舞っていた坂本だが、今は、あからさまに落ち込んでいた。そのことに、敏感に気付いていたのは銀時1人である。

「じゃって。…やっぱり、傷つけてしまったじゃろ?」
350mlの缶ビールを、1本ほとんど一気飲みして坂本はソファに倒れ込んだ。

「そんなこと言ったって、誰も傷つけずに生きることなんかできないでしょー」
床に座り、坂本の膝に頭を乗せて銀時も酒を飲む。

「ねー、辰馬ァ。パァーっと飲んで、ヤルことヤって忘れちゃおーよ?」
好きな人がいるからと、女の子からの告白を断っていた坂本の姿。実は銀時は、今回初めて見たわけではなかった。そして、坂本が言う『好きな人』が誰のことなのかにも、気付いていた。

それは、銀時が坂本ばかり見ているからに外ならないのだが、恐らく坂本は全く気付いていない。

「何を言っとるんじゃおんしは」
「いいじゃないのさ」
言いながら太腿の間に手を伸ばしてくる銀時。

「コラ、そんなことしたら感じるじゃろ!」
「いいじゃん、しよしよ?」
そう言いながら猫みたいに甘えてきた銀時の身体を抱き上げて、自分の上に乗せるような体勢で唇を重ね合う。天然パーマでふわふわの銀髪頭を軽く撫でてやると、銀時はぎゅっとしがみついてきた。

「ねー、銀さんが攻めてイイ?」
「んー?わし、受けはやったことないんじゃけど」
「じゃー、銀さん受けでいいや。優しくしてよォん」
「そんなにしたいがかァ?」
部屋着の上からずっと股間を撫でられて。こっちもだんだんその気になってきた。

「ねー、辰馬ってスゲェ、デカくない?」
「んー?…まァ、そうじゃの」
そんなこと、人に言われなくてもわかっていた。デカけりゃいいというワケではないことも、自分が一番わかっていて。

「銀さんに入るかなァ?俺、基本的にタチなんだけどォ」
不安を口にしながらも手は止めず、首筋に唇を寄せてくる銀時に根負けした形だ。

「しょーがないの」
銀時の背中に腕を回したまま起き上がって、寝室へ促した。

***

「んァ…ァ、おき、た…ァ」
人差し指を深く中に入れられて、俺は四つん這いになったまま小刻みに震えていた。

「ァア、ぁん、ふァ、ぁ…」
さっきの行為で、自分で何回イったのかわからなくなるくらいイカされて、もう無理だと思っていたのに、沖田に激しく指を出し入れされて、また身体の奥が熱くなってくる。

「高杉が悪いんでさァ。いつまでもくっついてるから」
泊まりにしてしまおうって決めてからも、俺はしばらく沖田に抱き着いたままだった。
本当は頭を撫でて欲しかったけど、キスして欲しかったけど、年下で、ましてや別に恋人がいる沖田に、そこまでは甘えられなくて、言えなかった。
沖田が好きにさせてくれているのをいいことに、俺はちょっとだけ、普段の寂しさとか不安とか、今だけは沖田がいてくれてるって安心感だとか、いろんなものが混ざり合った感情で、ちょっとだけ泣いた。
たぶん沖田は気付いていたんだけど、何も言わなかった。

「ゃあっ、気持ちイイっ…」
「後ろ弄ってるだけでまた勃たせてんのかィ?本当に高杉は敏感でド淫乱でさァ」
「だっ、だって、っ」
沖田の指がイイところを掠める度に、ビクっと身体は跳ね、上半身を支える腕から力が抜けていく。

「んー、こっちがなかなか元気にならねェでさァ」
気分は盛り上がってんのになァ、と沖田が呟く。

いつも1回で終わることもないけれど、沖田が一晩で3回目か4回目になるのも初めてかもしれない。…俺は、けっこう何回でもイケる方なんだけど。

「縛らせてくれたら一発なんですけどねィ」
「それは嫌っ!!」
「ちぇっ」
沖田本気だからなァ。

「かはっ、…じゃ、ァっ、俺、する…ア!」
ぐちゅっと指が引き抜かれて。這うようにしてベッドを移動した俺は沖田の腹の下に顔を埋め、口の中いっぱいに沖田を頬張った。

「そんなにしてェんですかィ?」
半ば呆れながらも、沖田は俺の胸の辺りに手を伸ばして、敏感な部分を指で弄んだ。軽く爪を押し付けられたり指で押し潰されたり。柔らかく撫でられたと思ったら、キツく摘まれて。

「ゃっ、おき、っ…」
俺も負けじと、硬くなってきた沖田自身を喉の奥まで深くくわえて舌と口全体を使って吸い付く。

奥まで含みすぎて、苦しくなってむせ返りながら口を離すと、そのまま顔を上げさせられて、沖田がキスしてきた。
背中を仰け反らせた体勢が苦しくて。しかも痛いくらい唇や舌に吸い付かれて、沖田の太腿を掴んでいた指にぎゅっと力を込めると、ようやく唇が離されて。

「その涙目、そそりまさァ」
むせ返った時に滲んだ涙を沖田は指で拭ってくれた。

「ドS!変態!」
「その変態と、ヤリてェって呼び出すのは誰なんでさァ」
「…っ」
いや、俺だけど。
事実、土曜日に会って飲んでハッテン場の個室でヤって。日曜、月曜と2日しか空いてないのに今日連絡したのは俺だけど。

「ほら、入れて欲しいんならケツこっち向けなせェ」
「ぅぅ…」
何も言い返せないまま、沖田の言いなりになって俺はお尻を突き出すような体勢を取った。

「縛っていいですかィ?」
「それだけは絶対ェ嫌っ!」
ちぇっと舌打ちしながらも、沖田は俺の腰をしっかりと掴んで、完全に大きくなったモノで一気に俺を貫いた。

「あ、アアーっ!」
苦痛と紙一重、挿入された時の不快感は、だんだんと快感に変わってゆく。

「ぁ、ァっ、ハっ、あ、ゃアっ!」
両手で掴んだ枕に顔を押し付けたところで、俺の喘ぎ声が消えるわけもなく。『もっと声出しなせェ』なんて言いながら、沖田は腰の動きを速めていく。
沖田の陰茎が直腸をえぐる下腹部の強い刺激と快感で頭が真っ白になってくる。

「あァっ、おき、イカせて、イカせてェっ」
「まだ駄目でさァ」
腰に力が入らなくなった俺の身体を横向きに倒して、尚も沖田は激しく腰を打ち付けてくる。

「うアアア、イイ、気持ちイイっ、沖田ァっ!」
「俺もでさァ」
結局この日は、2人共ほとんど寝ないで何度も何度も身体を重ね合った。

***

「辰馬、ホントおっきいねェ」
「んー、まァ、のぅ」
ベッドの上に両脚を伸ばして座り、壁に寄り掛かって銀時が舐めてくれているのをボーっと見つめていた。
今日はそんなに乗り気じゃなかったのに、だから飲むだけ飲んでさっさと寝ようとか思っていたのに、身体はしっかりと反応を見せていた。

「なんか辰馬、心ここにあらず、って感じだね」
「あー、すまんのう」
せっかくしてもらっておいて、悪いとは思っているのだけれど。今日は本当に、潰れるまで飲んで寝るつもりだったと正直に告げた。

「辰馬、告られんのなんて、しょっちゅうじゃないの?」
「そんなことは…あるけどのー」
その度に、相手を傷つけてしまうことが辛くなって、酔い潰れるまで飲むのだと銀時に教えてやった。それで呆れて、止める気になってくれないかな、なんて考えながら。

「じゃ、さ」
しかし銀時は、逆に自分の上に跨がって、自身を擦り合わせてきて。

「今度から、そーゆー時は銀さん呼んで」
首に腕を回されて奪われた唇。銀時の背中と腰を支えて、そのまま体勢を入れ換えた。

***

「っ、くぅっ…」

辰馬はホント、攻めるのが好きみたいだった。
あんなにヤル気なかったのに、ひっくり返されてからは、全身あちこち、これでもかって言うくらい触られて撫でられて舐められて。
ローションをたっぷりつけた指でじっくり馴らしてくれて十分解れた後、ゆっくりゆっくり腰を抱えて俺ん中に入ってきた。

「銀時、大丈夫がか?」
脂汗をダラダラ流して身体を震わせる俺の中に、辰馬が全部埋まってる。痛くはなかったけど、こんなおっきいの入れたの初めてだった。

「ハァ、ハァ…大丈夫だよ」
心配そうに覗き込んでくるもんだから、唇の端を吊り上げてニヤリと笑ってやった。

「ホラ、動けよ、辰馬」
「…ほんじゃ」
銀さんの尻穴は、限界いっぱいまで拡げられて、ギチギチと辰馬を絞め上げていた。正直、この動かないまんまだと、気持ち良くもなんともないわけで。

横向きに体勢を変えられて(病院の直腸検査ってこの体勢ですか?)膝で自分の体重を支えた辰馬が、ゆっくり腰を動かし始めた。

「ぁっ、アッ…熱ぅっ」
ズチュ、グチュって音を立てながら出し入れされて、腹ん中に感じる辰馬が熱い。

あんまり受け身には慣れてなかった俺が、馴染んで来たことに気付いたのか、両脚をぐいっと抱えられて、仰向けの状態で辰馬はだんだん激しく俺の中を突いてきた。突き入れられる角度が変わって、辰馬自身は確実に銀さんのイイところを見つけたみたいだった。

「ぅはっ、あっ、うアアっ」
声が出るくらいになると、辰馬が俺の上に覆いかぶさって、腰の動きを止めないまま激しく唇を重ねてきた。舌を絡めて吸い付かれて。銀さんのモノは俺の腹と辰馬の間に挟まれて擦れてすごい刺激になっていた。

「ぉあっ、ぅあっ、辰馬、銀さんイキそっ」
意外とぶ厚い、辰馬の胸板にしがみつきながら俺は限界を訴えるしかできない。

「わし、まだなんじゃけど」
困ったような顔で抱きしめられたら、どうしようもない気持ちが溢れてきて、胸がぎゅっと苦しくなって、昇りつめかけていた射精感は少しだけ収まって。

「もちょっと我慢するから、一緒にいこ」
「すまんの、銀時」
「そのかわり、銀さんの触んなよー」
返事の代わりにチュッと唇を重ねられて。辰馬は俺の身体をぐるっと回転させると、今度はバックから激しい腰の動きを再開した。

「んっ、んっ、んアっ、アアアっ」
でも、やっぱり俺は先にイっちまって。辰馬は遅い方なんだろうな。

熱い飛沫が俺の中に叩きつけられた時には、感じすぎてもう意識が朦朧としてて、身体に力が入らなかった。

***

「高杉…高杉って」

身体を揺さぶられ、なんとか目を覚ますと、教室の中にはほとんど生徒は残っていなくて隣の銀時が心配そうに俺を覗き込んでいた。

「珍しいなァ、お前が授業中に寝ちまうなんて」
「んー。…ああ」

そういう銀時が真面目に授業に来ていることも珍しかったのだけれど、俺はそれに気付ける程頭が働いていない。

「ほら、昼休み終わっちゃうよ!」
俺の教科書やノートを鞄に放り込んだ銀時に無理矢理腕を引っ張られて、寝起きでフラフラしたままいつものテラスに連れて行かれた。椅子に座るなり、俺はまた起きているのが辛くてテーブルに突っ伏してしまう。

「珍しいのう、高杉が学校で爆睡するなんて」
「だろだろ?コイツが授業中に寝てんの、銀さん初めて見たよ〜」
「晋助、大丈夫か?」

みんなが何か言ってるみたいだけど、応えるのもダルい。眠いし、全身筋肉痛だし、腰は痛いし。いくらなんでも昨日は、本気でヤリすぎた。

既に半分程過ぎていた昼休みは、あっという間に終わり、午後からサボる銀時はバイトに行き、桂は授業に行ったが、高杉が起きる気配は全くない。その時点で、坂本は3限目をサボることを決めていた。

すーすー寝息を立てる高杉を見てるだけで、退屈には感じなかった。

(そういえば最近あんまり殴られんの)

昨日の昼休み、2人きりになった。突然の休講だったのか、自分より先にここに来ていた高杉と、何を話せばいいのかわからなかった。出会ったばかりの頃は、近づくだけで『寄るな!』と殴られていたというのに。昨日2人きりになっても、1度も手は出されなかった。

動揺して、ついつい『わしのこと、嫌いじゃろ?』なんて言ってしまって。それを肯定されてしまったら、面と向かってハッキリ言われてしまったら、自分が立ち直れないことくらいわかっていたはずなのに。

でも、高杉は、何も言わなかった。否定も肯定もしない沈黙。あれは、どういう意味だったのだろうか。

遊びに来た銀時に、落ち込むなと言われて。確かに女の子を傷つけて泣かせてしまったことが気になっていたのも事実だったから、ついその女の子の話をしたけれど、本当に気になったのは、自分と2人きりになっていたのに拒絶しなかった高杉のことで。
昨日銀時がしてきたように、いつも高杉が桂にしているように、素直に自分に甘えてくれたらと、思わずにはいられなくて。

「ほがな無防備に寝ちょったら、連れて帰ってまうぜよ〜」
2人きりのテラスで、坂本の呟きは、誰の耳にも届かなかった。

***

「お疲れ〜」
「カンパーイ」
いつもの水曜日、20時過ぎいつもの時間。

「坂本、今日は何人だ?」
キッチンに立つのは、これまたいつもどおり桂と幾松。ダイニングで取り皿や割り箸の用意をするのは陸奥。

「似蔵と武市はバイト終わって、飯食べてから来るそうじゃからァ」
指折りメンバーを数えるのは、銀時や東城と共に既に飲み始めている坂本だ。

「とりあえずこの、6人分あればえいんじゃなかかァ?」
言いながら、さっさと1缶空けてしまった坂本の横で、やっぱり東城は卵かけご飯をかき込んでいた。

「近藤君と服部君もバイトの後?高杉君には、起きてから何か作ってあげた方がいいわよね?」
「ああ、アイツは難しいからな」
話しながらも、桂と幾松の調理の手は止まらない。

結局、4限終了の時間になっても起きなかった高杉は、桂と坂本に両方から支えられたまま電車に乗せられ、そのまま坂本のベッドに直行して、今もまだ眠っていた。

「銀さんも人のコト言えないんだけどさァ、アイツ昨日と服一緒だよね?」
何してたんだろうねェと、下心満載で笑うのは銀時だ。その銀時も、昨夜もここに泊まったため、学校へ行った時は前日と同じ服装で、午後からバイトに行った後、一旦帰って着替えてから来ていた。

「飲み歩いてたのかなーって思ったけど、酒臭くはなかったし、何より、風呂には入ったっぽいんだよねェ」
銀時が教室からテラスに運ぶ時に、高杉から香ったのはせっけんの匂いだった。

「あ奴がどこで何しようと、あ奴の勝手じゃろ」
東城のご飯のおかわりを盛ったどんぶりと自分のビールをテーブルに置いて座った陸奥が銀時に応える。

「そーなんだけどさァ」
もし、彼女でもいるんだったら、彼女の友達でも紹介してくんないかなァと思ってェと、銀時も早々にビールを1本片付けた。

「お前、そうやって先週も合コン行ってたじゃないか」
キッチンから口を挟む桂。

「先週のはもー忘れてっ!最低だったんだからっ!」
せっかく東京だよ?都会だよ?大学生だよ?彼女くらい欲しいわァ!と、尚も喚き続ける銀時の隣で坂本はさっきから黙ったままだ。

「どうしたんじゃ、モジャ?おんしが黙っちょると気持ち悪いぜよ」
「ん?…おー、なんでもないぜよ、すまんのー」
アッハッハといつもどおりに笑って坂本は酒を煽る。

高杉の、石鹸の匂いには、ここへ連れて来る時に坂本も気付いていた。そして、そんなに強く匂いの残るボディソープなど、ラブホにでも行かなければ存在しないということにまで、坂本は、過去の経験からは気付いてしまっていた。

***

ようやくぼーっとした高杉が寝室から姿を現したのは、夜中の1時過ぎで。その時間には、似蔵や武市に、近藤、服部と、この日出席のメンバーは全員揃っていた。

寝ぼけた顔の高杉は、鞄をあさって煙草に火をつけた後、何の躊躇いもなく桂の横に座って、飲みかけのビールを奪って口に運ぶ。

「小太郎、お腹すいた」
空になったビールの缶に煙草を押し込むと、甘えたように桂の肩にもたれ掛かって、訴えたのは空腹だ。そんな高杉の寝ぼけた姿など、今日いるメンバーは全員見慣れていたのだけれど。

「相変わらず、お兄ちゃん離れできてないねェ」
「寝起きはいつものことじゃん」
並んで座り、漫画話に花を咲かせていた服部と銀時が話を中断して、吸い殻の入った空き缶をゴミ袋に入れた。幾松はすぐに立ち上がってキッチンへ。

「何がいいんだ?」
「麺ならなんでもイイ」
「…だそうだ。すまないな、幾松」
「了解よー」

高杉にもたれ掛かられ腕を身体に回されたままで、すぐに調理を始めた幾松を、手伝うに手伝えない桂。

「高杉ィ、麺をタテに食べたって、身長は伸びねェんだぜ?」
意識がハッキリした後では、寝ぼけていた間のことはほとんど覚えていないのをいいことに、酒の回って来ている銀時が茶化した。それも高杉が一番気にしている身長ネタで。

「うっせ!お前ウゼェ」
ちゃんと起きている時なら、容赦なく鉄拳が飛んでいるだろうに、今の高杉は言葉だけ。
そんな様子を、坂本は、ただ黙って見つめていた。見つめていることしかできなかった。

「坂田、お前面白いこと言うなァ」
「だろ?だろ?銀さん、そのうちカメハメ派出すから!」
「お前には無理だ!その前に俺が出す!」
「んだとォ?」
ドタバタ喧嘩を始めるのは2人共酔ってる証拠であって。

「…いいもんみっけ」
服部が敷いていた専用の座布団を取り上げ、それを枕に高杉はソファに上がってゴロンと横になった。

「あっ、コラ!それはダメだって!」
慌てて服部が取り返そうとするが、スキアリ!と叫んだ銀時に羽交い締めにされてしまい。

「高杉ィ、まだ眠いんじゃったら、ベッド行きィ」
坂本が座っている位置のちょうど真横がソファで、高杉の頭があって。大丈夫、起きてる、と言いながら瞼が開いていない高杉の頭を撫でてやりたい衝動を必死で抑えていた。

「じゃけど、高杉…」
そこに横になられると、精神的にすごく来るというか、どうしても気になるというか。坂本が言葉を濁して1人困り始めた時、携帯が鳴った。

『ちょっと坂本君、聞いてくれるー?』

電話の相手は阿音だった。

「なんじゃァ、おんし、バイト中じゃなかか〜?」
『超ムカつくウザい安客についちゃってェ!もう、早退してやるわよ!』

阿音はあまり言いたがらないが、彼女のバイト先はキャバクラで、坂本だけは、同じ夜のバイトをする者同士ということで、それを知っていた。

『どうせみんなで飲んでんでしょ?あたし飲みたいから、今から行くわっ!』
「おんし、今からって、もう電車…」
『タク乗るわよタク!』
それだけ言い捨てると、阿音からの通話は一方的に切れた。

「すまん、幾松。阿音が今から来るらしいんじゃァ」
「わかったわよー」
「俺も手伝うぞ」

r 男が4人も途中から増えたのでは、2人が作ったご飯やツマミに服部が持ってきたピザなど、とっくになくなってしまっていた。似蔵と武市は食べてから来たとは言え、飲みに来ていると言うよりは食べに来ている東城がいるのだから。

「とりあえず高杉君のラーメンね!」
「高杉ィ、お腹すいたんじゃろ?起きィ」
「んー」
身体を揺する坂本に、両手を伸ばして『起こせ』という表情の高杉。

(えっ、いいの…?)

そのまま希望通りの形で起こすと、一瞬抱き着くような格好になるんだけれども。

「坂本、お前意識しすぎさね」
「ですね。相手は、まだ寝ぼけてるんですから」
冷や汗をダラダラ流して固まっていたら、後ろから似蔵と武市に突っ込まれてしまった。

「坂本ォ、早く起こさねェと、ラーメンが伸びるって、東城が狙ってるぞォ」
箸を構えている東城を近藤が止めていて。

「た、高杉、起きるんじゃァ」
大学生達の夜は、まだまだ終わらない。


END



結局最後は飲み会みたいな。高杉君が坂本君ちに住み着くまでは、こんな日常だったんですよーってのが書きたかっただけの話でした(汗)沖田君は朝になって高杉君と別れた後は、土方君ちで爆睡して学校はサボりです






















No reproduction or republication without written permission.