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※「やさしいキスをして」の続きです

今日も帰りは遅くなるからって、辰馬からはメールが入ってて。

何度でも


『何時?』って返したら『11時過ぎる』って返事があった。あーあ、もう最近ずっと毎日こんな感じ。辰馬のやつ、就職活動でもしてんのか?その割にはスーツ着てるとこなんてあんまり見ないんだけど。普段からジャケット着てるようなキレイ系ファッションの辰馬だけど、その服装でも面接に行けるって言ったらアパレル業界くらいのもの。アイツ何になりたいんだ?またモデルにでもなんのか?

…っていうか。卒業して、辰馬が地元に帰っちゃったら、俺はどうしたらいいんだろう。辰馬が進路をどうするつもりなのか、俺は一度も聞けずにいる。

こんな広いマンションに1人で住むのなんて家賃云々を除いても真っ平ごめんだ。しかも、2人で住んでた部屋が1人になるって。きっと寂しくて寂しくて死んじまう。

とにかく、今日もきっと辰馬は帰ってきてすぐ寝ちゃうんだろうから、その前に自分で下半身の処理でもしとこうか。たった5日って言われるのかもしれないけど、俺にとっては5日「も」、なんだ。5日も辰馬の肌に触ってなくて、5日も何にもされてないなんて、いい加減限界。しかもさっき、夕方学校で、銀時が『今の今までヅラとヤってた』なんて言うの聞いちゃったもんだから余計。マジで付き合ってんだもんなぁ…、やることやってるって。しつこいし女々しいのなんか自分でもわかってるけど、ホントに複雑。

今日は『リーマンEX』にしようとか思って、1人しかいないリビングでティッシュを用意して万全の体制でエロDVDを流して。やっぱり俺はスーツとか小綺麗な男の方が好き。その気になりゃー自分で抜くのなんて5分で終わるけど、それじゃあまりにも虚しいからそこそこじっくり映像を流して、辰馬に抱かれてる時のこと思い出して。っつぅか、俺が意外とエロDVD何枚も持ってるって辰馬が知ったらどんな反応すんのかな。

30分くらいかけて自分で抜いて、ちょっとだけ寂しさを感じながら片付けてDVDも部屋に隠す。あとはもう、冷蔵庫の中の物を適当に食べて。性欲と食欲が満たされたからもう寝るだけだな、辰馬がいないとやっぱり暇だなって思いながらリビングのソファに転がってニュースを見てた。
明日の予習とか、読まなきゃならない本も今はないし。だからって、昨日また子がくれた万斉の新曲のCDは、ちょっと今は聴けない。だって、ベッタベタのラブソングなのに最後は別れてる、みたいな歌詞だってまた子が言ってたから。ただでさえ今、辰馬が遠く感じて寂しいってのにそんなの聴いたら絶対泣いちまう。もうちょっと、精神的に落ち着くまであのCDは聴けない。

そんなこんなでダラダラしていたら、辰馬が帰って来たのは、意外と早くて22時半だった。

「おかえり」
今日もすんげー疲れた顔してる。俺より朝早く出て行って、何してたのかは知らねェけど、この時間だもんな。

「晋、ごめん」
ただいまより早くいきなり謝られて。意味わかんねェと思ってポカンと見上げていたら、いきなりソファの俺の横に膝をついた辰馬に抱きしめられてキスされた。

「んっ…、んんっ」
頭の後ろを押さえられて逃げられない状態で辰馬の手がトレーナーの中に入ってくる。すぅーっと肌の上を這っていって、いきなり乳首を摘まれて。な、なに?いきなりヤルつもり?頼むからせめて、シャワーだけは浴びさせろよ。

っていうか、キスされて始めて気付いたけど。

「お前、飲んでんだろ?」
唇は離れたけど、服の中に突っ込まれた手はそのままで。

「生中3杯だけじゃ。…すまん、晋。わしもう、我慢できん」
何言ってんのお前?って、聞くより早くボクサーブリーフごとスウェットパンツを引き下ろされた。

「おっ、お前っ!シャワーまだっ…」
「もう無理」
「ちょっ、ちょ、たつっ…ァっ」

トレーナーを捲くり上げた辰馬が乳首に歯を押し付けて声が出ちまった。何コレ、どうなってんだよ?せめてベッドに移動しろよ、なんで自分ん家なのにソファで押し倒されてんだよ俺?

「やっ、ぃぁっ、ちょ、ホントに無理…っ」
勢いよくトレーナーも脱がされて。俺の身体の上に舌を這わせながら辰馬は自分も脱いでいってる。

「ゃだ、辰馬っ、うあっ…」
嫌だって、セックスするのが嫌なんじゃなくて、シャワーも浴びてないのが嫌って意味だったんだけど。

カチャリと音がして、自分のベルトを外した辰馬が、いきなりそれを自分の腰から引き抜いた。そして、押さえ付けられた俺の両手首にきつく巻かれるベルト。

「やだっ、辰馬やだ、こんなの嫌だっ!」
「晋が逃げるからじゃ」
「テメェそれどういう理屈だっ!」

それでもなんとかして逃げようとしてた俺の腰をガッシリ掴んで、押さえ付けて辰馬は俺の中心を口の中に入れて舐め始める。ああ、もう今抜いたとこだっつぅの。でもそれは、きちんと拭いてたからわかんないみたいだ。

「晋、すまん。わし、もう破裂しそうじゃ」
「辰馬…」

俺が5日ヤってなくて限界だったように、辰馬も5日ヤってないんだとしたら。つまり、浮気もなんもしてないんだったら、確かに辰馬の方が限界だろうなァ、とは思ったけど。だって辰馬なんて俺より全然絶倫じゃん?毎日何回でもしたいってか、しなきゃ気が済まないタイプじゃん。

辰馬が珍しく、浮気もつまみ食いもなんにもしてないんなら、って話だけど。

「ぅ、ぁ、あ…、たつ、まっ」
いくらさっき自分で抜いてたって、辰馬に舐められりゃー勃つモンは勃つっての。

「晋、好きじゃ…」
「ぁ、っ…、はっ、ぅぁ」
辰馬はズルイ。なんで今、そこでそんなこと言うんかな。それ言ったら何しても許されるとか思ってんのか?…事実、どうしようもねェ俺は、拒めねェじゃん。

***

「晋、ごめんっ!ほんに、ごめんっ!」
やっと外してもらった手首のベルト。変なとこに力入ってたのか関節がおかしくて痛ェ。

ソファの上で、全裸でそっぽを向いてる俺に、さっきからずっと、半裸のままのマヌケな格好で土下座してる辰馬。

「晋、ほんにごめん!どうしても我慢できんかったんじゃあ」
チラっと辰馬を見たら、シャツ1枚で本当に泣きそうになってんだもんな。

「そんな、縛るつもりとかなかったんじゃ」
俺がずっと、交互に手首をさすってるせいなのかずいぶん気にしてるみたいだけど、だったら最初からすんなっつぅの。

「痛くなかったがか?」
いつもの辰馬なら、とっくに俺の手首をさすりに来てるはずなんだけど、土下座したまま顔だけ上げてこっち見てるってのは、相当悪いと思ってるってことなんかな。

「別に、縛られんのが嫌だなんて一言も言ってねェ」
「しん…」

ずずっと、床の上を膝立ちで歩いて寄ってきた辰馬が俺の太腿に両手を乗せて泣きそうな顔で見上げてくる。

「ヤル前はシャワー浴びたいって、いつも言ってんだろ」
「晋、ほんに、ゴメンナサイ」

この顔に騙されてんのかなって一瞬思ったけど、でも辰馬にしては異様に早かったし、コイツもしかして本当にこの5日間なんにもしてなかったんかなって。俺と毎日してたって、足りなくて浮気するような辰馬がだぜ。

「んで。俺は今からシャワー入るけど、お前はどーすんの?」
辰馬の顔がパッと明るくなってそのまま腰のあたりにぎゅうっと抱き着いてきた。

「一緒に入るぜよ。じゃから許して」
くすぐったくてたまらない、好き勝手な方向に跳ねた髪の毛の頭をポンポンと撫でてやった。

「じゃあ、もっかいシャワーからやり直し」
さっさとそのシャツ脱げって言ったら、慌ててボタンを外し始めたから俺は先に風呂場に行ってやった。

今日は寝不足確定で、明日銀時にぶっ飛ばされるのは俺の方だなと思いながら。


END



5日もしてない晋ちゃんが可哀相になってきて…(苦笑)突発です(苦笑)これで土方君の引っ越しに続いたら4部作になっちまったわァ!いい加減タイトルが苦しい…(実はドリカムほとんど知らんのよ)






















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