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たまにさァ、すっげぇ飲みたくなることだって、あると思いません?

如月サディスティック


受験シーズン到来で、春休み状態の大学に、後期のレポートに使った本をまとめて返しに行った。
レポート提出がギリギリすぎて、家に置いたまま返しそびれてたんだよね。あー、これだけのために学校なんて馬鹿らしいっ!…って思ったけど、なにげに覗いた大食堂に、土方君の姿を見つけて。

(おっ、銀さん超ツイてるじゃん?)

土方君カワイイよなァ。沖田君とラブラブでさえなかったら、銀さんが奪っちゃうところなんだけど。…沖田君怖いからな、やめとこう。

ひじかたくーん、ってちょっとまだ遠いけど声をかけようと思ったら、それまでこっちを向いていた土方君が、トレーを持ったまま後ろを振り返った。そのままタッタッターと走り寄って行くその先には。

(高杉じゃん…)
何しに学校来てんのアイツ?っていうか、土方君と仲良さそうに同じトレー持って歩いてんだけど。当然ながら、2人共銀さんになんか全然気付いてないわけで。

(なんか、ちょっとヘコむんですけど?)
高杉ってさ、辰馬とラブラブなわけじゃん?別にそれは構わないんだけど。だってさ、銀さんが高杉に紹介してもらって、初めて呼ばれた飲み会で辰馬に会った時にはもう、辰馬の馬鹿野郎は高杉にベタベタに惚れちまってたわけだし。
高杉の奴も、最初はあんなに嫌がってたくせに、今じゃ大好きなんだもんな。相思相愛の2人の間に入るなんてヤボなことするつもりはないんだけどさ。

それはそれでいいんだけどさ。それだけじゃないんだよね。
たぶん、自分で気付いてないだろうけど、間違いなくヅラまで高杉のことが好きで、高杉にとってはヅラは兄貴みたいなモンで、よく一緒に2人で遊びに行ってるみたいで。

ここへ来て土方君まで高杉とあんなに楽しそうに話しちゃってさ。

なんなんだよ、なんで高杉ってばさ…
(銀さんが欲しいモノ全部持ってたりするんですか?)

話しながら喫煙席を見つけて座った2人に、声をかけてしまったら、なんだか余計惨めになりそうで。俺はそのまま、食堂を出て学校を後にした。
あー、昼飯食うの忘れたァ。

***

なんだかモヤモヤした気分のままバイトに行ったら、今日に限って飲ませ好きのお客さんが多くて。3回目のショータイムの後すっかり飲まされまくっちゃった。

「ちょっとパー子、大丈夫なのー?」
「大丈夫でぇっす」
すっかり着替えて男の格好になってるんだから、万が一その辺で寝たってどうってことないわよ〜なんて、オカマ言葉の抜けないまま休み休みフラフラと駅まで歩く。こんなに酔ってちゃ原付きに乗るのは無理だから。

って言うか、家まで帰るのもキツイかもしれないんですけど?時計を見たら、5時47分。この時間なら大丈夫だよな。絶対高杉は寝てるから、辰馬ん家に泊めてもらおう。

夜中の中途半端な時間ってのは、辰馬と高杉がセックスしてる可能性があるから、絶対行っちゃいけないって、それはみんなが知ってるお約束なんだけど。
いっぱい集まって飲み会でもしてない限り、高杉は3時過ぎには寝ちまうから。最低でも6時間は寝ないと動けないらしいから。
バイト明け、始発の時間で辰馬ん家に集まって飲み直しって、実はちょこちょこやってたりなんかする。寝起きの悪い高杉は、そんな早朝から騒いだって起きて来ないから。
高杉とは逆で辰馬は、2〜3時間寝ればなんとかなるらしくて、そんな時間に俺とかやっぱりバイト明けの近藤がいきなり行ったって文句も言わないし、平気な顔で付き合ってくれるから。
近藤は、基本的にはシャワーを借りに来るみたいなんだけど。

そう考えたら、辰馬って無茶苦茶タフだよなァ。ヤルことヤってんだろ?それこそ毎日のように。
でもそれってやっぱり、攻める方と受け身の違いかな、なんてどうでもいいことを思った。

電話を入れてみたけど辰馬は出なくって。一瞬、アイツもバイトだったかなァ?って考えたけど、金曜日(明けてもう土曜日)だから違うよな。
ま、寝てたって、アイツん家に着く頃にはかけ直してくるだろうって、あんまり深くは考えずに、俺は、冬でまだ薄暗い中、早朝の電車でなんとか辰馬ん家に向かったんだ。
途中何回か吐きそうになって、電車を降りてホームのトイレに駆け込んだから、かなり時間はかかっちゃったけど。それでも吐いたおかげで、だいぶ楽にはなったんだ。
やっとこさ到着した辰馬ん家で、扉を開けて出迎えてくれたのは、高杉だった。

「うわ、銀時テメェ、酒臭っ!」
ソファに倒れ込んだ俺の前に、冷蔵庫からミネラルウォーターを持ってきてくれる高杉。ああ、助かる。

「お前、なんでこんな時間に起きてんの?」
「まだ、あと2時間は辰馬帰って来ねェぜ」
2人の言葉が重なって、俺は一瞬黙りこくった。

「お前、もしかして辰馬帰ってくんの、待ってんの?」
いつも3時には寝ちゃう高杉クンがですか?6時間は寝ないと駄目な高杉クンがですか?

「週末だけな。辰馬、たまにヘルプで呼ばれて週末バイト行くんだよ」
言いながら欠伸を噛み殺して、テレビに映された映画をボーっと見つめている高杉。
うわ、何ソレ!コイツ、めちゃくちゃカワイイことするんじゃん?

銀さんのバイト先はニューハーフだけど、辰馬は普通のゲイバー。うちの店の、ねえさん達が、仕事終わってから飲みに行けちゃうようなところで、はっきり言って週末なんて、何時に閉店するかわかったモンじゃない。
ママの誕生日パーティーの時なんか、昼3時まで営業してたとか聞いたんだけど?それを、どこにも行かず、こうやって黙って待ってんだ、高杉。

そんなカワイイことされちゃ、辰馬が離したがらないのもわかるよなァ。…ってか、高杉マジでカワイイじゃん?

(なんだコレ?)

ヤバくない?ちょっと銀さん、相当酔っ払ってるみたいなんですけど?眠そうな高杉がカワイくてカワイくて仕方ないんですけど?

「銀時、お前寝るならあっちの部屋で寝てい……んんーっ!!」
最近全然してないからさ。そう、自分に言い訳しながら、とろんとした眼でこっちを向いた高杉の肩と顎を押さえ付けて、噛み付くみたいに唇を重ねていた。
あまりに突然のことで、硬直してしまっている高杉を、そのまま床に押し倒して、同時にスウェットパンツを勢いよく引き下ろす。

「やっ、やめっ!銀時っ!」
唇を離したら、我に返って暴れ始めた高杉だけど、もう上に乗っかって押さえ付けちゃってるから。高杉の細い手足じゃ、いくら暴れたって、銀さんはビクともしないんだよね。

「嫌だァっ!銀時、やめっ!!」
「いいじゃないのよ。どうせお前は辰馬と毎日ヤってんでしょ?たまには銀さんにやらせてよ」
お前と沖田君に見つかってから辰馬してくんねェんだから!

そう、組み伏せたまま訴えたら、高杉の顔色が一瞬でみるみる変わった。

「銀、時、お前やっぱり…」
俺は、その続きを聞きたくなくて、思い切り高杉の唇を、自分のソレで塞いだ。
やっぱりってなんだよやっぱりって?お前、いつから気付いてた?

「あんまり鋭い子は得しないんだよ高杉クン」
ニイっと唇を三日月の形に歪めて。
「銀時やめろ…っく」

両手で顔を覆って泣き出した高杉を見てたら、後悔するどころか余計に興奮してきちゃった。なんなのよコレ?銀さんって、そういう性癖あったっけ?

(なんか、すごい、いじめたい)
あれだけ飲んでるはずなのに、銀さんの愚息は、もうビンビンに反応しちゃって収まりつかないんですけど?

ここまで来て、止められる程大人じゃないんだよね。なんたってヤリたい盛りのティーンエイジャーですよ。銀さんまだ19歳ですよ。
暴れなくなった高杉の衣服を全部脱がせて自分も全裸になった。もう我慢できなくて、高杉の胸に噛み付きながら、軽く舐めた指を高杉の中に乱暴に突っ込む。きっと、あの辰馬と毎日ヤってんだから、そんなに慣らさなくても大丈夫だろうなんて、勝手なことを考えて。

「痛ァっ!銀…っ!ァああっ!!」
悲鳴のような高杉の声でさえ、感情を昂ぶらせる材料でしかなくて。

「悪ィ、銀さんもう、止まんね」
片足を高く抱え上げて、そのままガンガンに反り返ったモノを、無理矢理高杉の中に捩じ込んだ。
「ァアアアアっ!!嫌ァっ!!」

顔を床に伏せても抑えきれない高杉の絶叫。
ちょっと、ナニコレ?
あの辰馬のでっかいの、毎日受け入れてんだから慣れてるかと思ったのに。

(キツっ…)
きっと寝室に行けばローションくらいあるんだろうけど。そんなもの取りに行く余裕なんてねェし、って言うか、そんな余裕あったら誰も、こんなリビングの床なんかでヤってないっての。

「力抜けって、高杉ッ」
「うっ…いやだ…ぎん…っ」
片手で顔半分を覆って、泣き顔を見られたくないんだろうけど。それでもゆっくりゆっくり腰を動かしていったら、高杉の身体はピクピク反応して跳ねた。

「なんだよ、辰馬じゃなくても感じてんじゃん?この淫乱」
力なく首を振る高杉の中心を握りながら扱いてやる。うわ、コイツもデカいなァ。なんなのよ、なんでお前ネコなのよ?勿体ねェ。

腰を動かすのが楽になってきたと思ったら、高杉の身体の裾から血が流れ出していた。やっぱりちょっと、無茶しすぎたかな。これ、痛ェだろうなァ。
そうは考えられても、今更後になんて引けなくて。

「ホラ、イケよ高杉」
「いやァっ…んあっ!やめっ、んんっ!」
高杉の先端を握る手に力を込めて、激しく扱いてやる。

「やだ、いやだ、っ…、ぎんっ…!!」
大きく背をのけ反らせて、高杉は俺の手の中に白濁を吐き出した。イク瞬間、ますますぎゅうっと締め付けられて、俺は慌てて動きを止める。

コイツ結構早いんだ、カワイイじゃん。

1回達しちまったことと腰からくる激痛で、もう人形みたいに力の抜けた高杉の細い身体を思い切り掴んで激しく腰を打ち付ける。

「ヤダ…痛い…イヤ…」
譫言みたいに泣きながら喘ぐのをしっかり捕まえて。
俺は高杉の中に思いっ切り、欲望のたけをぶちまけた。

***

出した後ってのは、どうしてこう、素に戻っちまうんだろうな。

まだ顔を覆って小さく震えている高杉に、ごめんなんて今更言ったって、白々しいだけだしな。
一応太腿や腹に飛んだ精子や血は拭いてやったし、そのまま置いておくのも何だか嫌で、寝室から毛布と枕を持ってきてやったけど、起き上がることもできないのか高杉は泣いたままで。

(あー、俺ってば何やってんだろー)
酔った勢いとかそんなので、自分の中が盛り上がってるのって、ホント射精の瞬間までで。悪いけど、今は泣いてる高杉を見ても興奮しないし、だからといって、抱きしめてあげようとも思わなくて。

本当の本当に100%、性欲処理のためだけのセックスしちまった。しかも、無理矢理力ずくで。

「高杉ィ…。風呂の用意してくっからよ、とりあえず入れよ」
お湯の温度を温めに調節して、湯舟に溜まっていくお湯をボンヤリ眺めていた。パンツ一丁で。

辰馬帰って来たら銀さん半殺しで済むかなァ、なんて考えていたらまさにその時。

『誰が来とるんじゃァ?』なんて言いながら、辰馬がバイトから帰ってきた。


To Be Continued…



うわっ、この先修羅場じゃん!「この痛みが優しすぎて」に続きます






















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