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「ねぇねぇ、ヅラもやってみない?…受け身」 俺の就職活動なんてどこ吹く風で、ここのところ、毎日泊まりにくる銀時と、一緒にご飯を済ませて、シャワーを浴びて。いつも通りにキスして押し倒したら、いきなりそう言われた。

HOLD ME CLOSER


「前も話したと思うけどさ、銀さん基本タチなんだよね」
だから本当は攻める方が好きなんですけどって言いながらベッドを転がった銀時にひっくり返された。

「ばっ、馬鹿者!俺はっ」
受け身なんてやったことがないし、それに、最初は相当痛いって話じゃないか。

「こないだ辰馬も言ってたじゃん?興味あるならやってみたら?って」
久しぶりに坂本のマンションに4人だけで集まって飲んだ時。

『銀時って基本タチじゃん?小太郎と、どうやってんの?』
酒が回ってきた晋助が、坂本の膝の間にもたれ掛かるって、そんなことを言い出したのが始まりだった。

『銀時、受け身もできるじゃろー?』
『そ言えばお前っ、前に銀時と浮気したんだったよなぁ』
『晋、その話はもうえいじゃろー?』
『馬鹿馬鹿馬鹿っ!辰馬の馬鹿っ!』

ポカポカ坂本の頭を殴りながら半泣きになった晋助の身体を、『痛い痛い』と言いながらも逃げずにしっかりと抱きしめてやる坂本。それはいつもの光景だったのだけれど。

『ヅラがいいって言うんならぁ、銀さん攻めたいなぁ…』
『そう、なのか?』
恋人の願いを叶えてやりたい気はあったのだが、いかんせん未知の体験で。

『どんな感じなんだ…?』
『最初は痛いかもしれないけどォ、慣れたら大丈夫なんじゃないかなァ?』
『そうそう、最初は痛いぜー、小太郎。息できなかったもん』

受け身の経験はないらしい坂本は黙っていたけれど、銀時と晋助は2人で『初めて』の時の話をし始めて。

『俺さー、大学生になるまでKYとか知らなかった』
『銀さんもー!あんな便利なのあるなら早く言ってって思ったわァ』
『田舎じゃ売ってねェしなァ』
『実家で通販するわけにもいかないもんねェ』
目覚めるのが早かったら早かったで、苦労が多いらしかった。
『桂も、興味あるんじゃったらやってみたらどうじゃ?なにごとも経験じゃろー?』
『辰馬はイイっ!辰馬は今のまんまでイイからっ!』
『はいはい、わかっとるろー、晋』
『ってか俺、タチるの無理だからっ!』
『わしも逆は無理じゃき、安心しィ』
『どっちかだけってお前ら、巡り会えて本当に良かったねェ』
『うるせェ、銀時っ』
そんな話があったのは、つい先週のことだ。

「銀さん痛くしないよーに頑張るからさ、やらせてよ」
俺の返事も聞かないまま、覆いかぶさってきた銀時に唇を塞がれて、指が身体の上を這っていく。

「ちょっ、銀時っ!」
心の準備というものが必要だろうがっ!押し退けようとした腕は押さえ込まれて首筋に銀時の唇が押し付けられた。

「ぁっ、…ぎんっ!」
「えへ、感度いいじゃん、ヅラ」
「ヅラじゃない、桂だっ!」
「ごめんごめん。ちゃんと気持ちよくさせるから、さ」

こんな時までいつものやり取りを繰り返しながら、身体の上を這っていった銀時の舌が俺の中心に到着する。まだ触られてもいないというのに、ゆるゆると勃ち上がり始めていたそこに、銀時は舌を這わせて。口の中に含まれると、気持ち良くてだんだんと中心は大きさや堅さを増してゆく。自分もこれくらい上手く舐めてあげることができたらいいのだけれど…と思いながら銀時がしてくれることに身を委ねる。

「銀時、今のままじゃ不満か?」
「不満はないんだけど。1回くらいヅラの中に入ってみたいんだもん」
だってこんなに好きなんだから、お願い。なんて言われたら、俺は拒めない。

「力、抜いててよ」
最近、俺がしてやることも多いから、ローションを指に取りながら銀時が言った言葉の意味はすぐにわかった。身体を強張らせて待っていたら、つぷんと俺の中に銀時の指が1本入ってくる。

「んっ…」
「ヅラ、力抜いて」
「ヅラじゃないっ…ぁっ」

銀時の指がある1点に触れた時、身体が跳ねた。知識としては知っている、前立腺ってやつなんだと思った。

「ァあっ、銀っ…」
「ココ、気持ちいいの?」

ぐりぐりと俺の中を刺激しながら銀時が胸に顔を埋めてきた。やることはやりながらでも、甘えたいらしいのは結局、甘えたがりなのが本性だからなんじゃないかとか、だったらやっぱり俺が上でいいじゃないかとか思ったけど。攻められながらでも、銀時の首に腕を回して頭を撫でてやってしまうのは、どうしようもない俺の癖だ。晋助が『小太郎は一生お兄ちゃんだ』なんて言うのも、自分で納得できてしまうのだから、どうしようもない。

「痛くない…?」
気持ち良さそうに頭を撫でられていた銀時が、入り口を拡げるように指を2本に増やして動かしながら見上げてくる。

「んくっ……大丈夫だ」
痛くはなかったけれど。秘部から聞こえてくるぐちゅぐちゅという音が恥ずかしくて耐えられなくて、俺は銀時の顔を引き寄せて噛み付くようなキスをした。

「んっ…ふ、ぅんっ…」
互いの舌を絡ませ、細胞を交換しながら銀時は指を3本に増やす。さすがにキツイ。苦しくて銀時の背中に爪を立てながら、こうやって慣らせば銀時も痛がらないんだろうか、なんて頭の隅では冷めたことを考えてしまっていた。

「痛かったら、言ってよね」
ずるりと指が引き抜かれて、じっくりと時間をかけて慣らしたそこに、すっかり堅くなった銀時の中心が宛われて。ゆっくりと銀時が俺の中に入ってきた。

「ァあああっ…!!」
「すご…。ヅラん中、スゲー熱い。とろけそう」

痛い、なんてもんじゃないだろ!って思ったけど、言葉にはならず口からは悲鳴しか出なかった。額には変な汗が滲んで、身体はがくがく震えて、内臓が圧迫されるような苦しさ。抱かれるってこういう気持ちなのか?とか、銀時はいつも、こんなに痛いのを我慢してくれていたのか?って。そう思わずにはいられなかった。

「銀、時っ…!やっぱ、無理…っ!」
「ごめん、我慢して!止まんないっ」
「銀時っ…!」

ゆっくりと銀時が前後を始めて、ギチギチと締め付けてしまう。またその痛みに悲鳴のような声が出た。

「ぐっ…、ぅあっ、ぁっ、ああっ、んああっ…」
「あっ、ん…!ヅラの中に入ってるんだーって思ったらさ、なんか銀さん気持ち良すぎて、幸せすぎて死んじゃいそう」

なんて馬鹿なやつだ。
譫言みたいに『好き、好き、気持ちいい?』って繰り返しながら腰を打ち付けてくる銀時が、可愛くて仕方なかったけど、何より痛くて痛くてどうにもならない。あまりの痛さに、萎えてしまった中心を銀時に扱かれても、少し気が紛れる程度だった。

「ヅラ、ごめっ…、も、限界…っ!」
おいおい、俺は置き去りか?と思ったけれど、きっとこのままでは自分はイケやしないだろうから。

「いい、ぞ、ぎん、ときっ」
「ごめん、ヅラ…っ!」
びくんと背中を仰け反らせた銀時が、がっくりと俺の上に倒れ込んできて。

「ごめん…。銀さんだけイっちゃって、ごめんね」
そんなに痛かった?って、横に移動して抱き着いてくる銀時の頭を撫でてやった。

「大丈夫だ。そのうち慣れるんだろう?」
ずっと、いつまでもこんなに痛かったら、誰もセックスなんかしたがらないだろうからな。銀時も会えば必ずしたがるし、晋助だって『本当は毎日したい』って言ってたくらいだから。きっとそのうち痛くなくなるんだろう。俺がまた、受け身に回るかどうかは別問題だが。

「ヅラ、怒ってない?」
「だからヅラじゃない。…怒ってないぞ」
起き上がると、少しまだ痛みは残っていたけれど大丈夫そうだ。

「俺はまだなんだが。いいか?銀時」
「えっ?…あ、うん。…逆、やる?」

覆いかぶさって唇を塞ぐと、銀時はいつものように背中に腕を回して甘えてきた。

首筋、鎖骨、乳首…と、順番に舌を這わせていくけれど、ピクンと身体を震わせて反応するくせに、銀時は声は出さない。ただ、枕やシーツを掴む指に相当力が入っているし、ぎゅうっと瞼を閉じて口を腕で抑えているから、感じてくれているのだろうとは思う。恥ずかしいのかどうかは知らないが、必死で耐えているような、そんな顔も可愛いと思ってしまうのだから、俺はどうしようもない。

ある程度乳首を口の中で転がしたら、脇腹を通って、さっき俺の中で出したばかりの銀時の中心を口の中に含んだ。銀時と付き合うまで当然、男のモノなんて舐めたことがなかった俺は、どうすれば上手くできるのかが未だよくわからない。銀時も、俺にはフェラを要求してこないから、ほとんどしたことがないのは今も変わらず、上手くなるはずなどなかった。

「いいって、ヅラ!銀さん今出したばっかりなんだから、苦いよ?」
「…確かに苦いな」

これが銀時の味なのかと思ったら、嫌でもなんでもなかった。昔の俺なら、考えられなかった話だ。
そのままずずっと舌を下げていって、腰を持ち上げて銀時の秘部をペロンと舐めてみた。

「ひゃっ!」
短い悲鳴を上げて、銀時の身体が跳ねた。ああ、声を出されると、こんなに嬉しいものかと、経験の少ない自分なんかでも銀時を感じさせてあげられるものかと、今更ながら俺は知ってしまった。

「やだ、ぁんっ、そんなとこっ、ぁ、あ、舐めなくてっ、いいって…っ!」
「いいから気にするな」

ペロペロと舌を押し付ける度に銀時は身体を震わせて喘ぎ声を上げた。こんなに感じてもらえるのなら、さっさとやってみるんだった。

「ぃや…、ヅラ、もぅ、早く、入れ、てっ」
「慣らさなきゃ駄目だろうが」

さっきの激痛を思い出す。銀時に、あんな痛い思いはさせたくなかった。そう思えるのも、きっとさっき、逆をやったから、だからわかることなのだと気付いて、なんだか不思議な気分だった。昨日までの俺なら、容赦なく入れようとしていたに違いないから。

床に落ちて転がっていたローションをたっぷり指に取って、銀時の中に指を埋めてゆく。指を折り曲げたり回したりしながら、銀時の前立腺を探した。初めて指を入れられた自分でさえ感じたのだから、銀時だってそこを刺激してやれば気持ちいいはずだった。

「んぁア…っ、そこ、そこっ!」
がくがく震えながらしがみついてくる銀時の頭を左手で撫でてやって。2本に増やした右の指で前立腺への刺激を続ける。

「ゃっ、やだヅラっ、おかしくなるっ!」
慣らすのはこんなもので大丈夫なのかと、銀時の中から指を引き抜いたら、ぐるりと視界が反転した。

「あとはっ、もー、俺がっ、やるから、っ」
両足を広げて座った俺の間にしゃがんで、喘ぎ声を聞くだけで反応して完全に勃ち上がっていた俺を口の中に入れ始める銀時。見れば、自分の指を後ろに持っていって、自分で拡げているようだった。

そういえば、最初はこうだったと思う。銀時が自分で慣らして、銀時から乗ってきて。そうじゃなきゃ、男同士でなんて、きっと一生やっていない。だからなのか銀時は、未だに俺がいろいろ攻めでやろうとすると、恥ずかしがって逃げてしまう。根本的なところはタチだから受け身はちょっと本当は苦手だとは言っていたが。

「ごめっ、ヅラ、…入れちゃうよ?」
荒い息のまま俺の上に跨がった銀時がゆっくりと腰を落としてゆく。ローションまみれだった俺の全てが銀時の中に収まったところで、キスを求められた。

「銀時、動いて、いいのか?」
「銀さんが、するから、っ」
俺の肩に置いた手を支えにして、ゆるゆると腰を上下させ始める銀時の吐息が熱い。

「銀時、痛くないか?」
「んっ、全然」
「そうか。それじゃあ」

俺は銀時の腰をつかみ、背中を支えて一気に下から激しく突き上げた。

「ぅはっ、ァあっ、ゃっ、ヅラっ、ヅラぁっ!」
こんな時くらいそのあだ名で呼ぶのはやめろ!と言ってやりたいが、銀時がぎゅうぎゅうに締め付けてくるものだから、こちらもそんなに余裕はない。動きやすい正常位にもっていって、銀時の中心を扱きながらいっそう激しく腰を使って銀時を攻めたてた。こんなに身体が熱いのは、動いているからだけなんかじゃない。女しか知らなかった時には、感じなかった快感だ。

「ヅラ、ァっ、も、イキ、そう…っ!」
唇の端から滴を零して涙を浮かべながら荒い息でしがみついてくる銀時を見ると愛おしさが込み上げてくるようだった。

「銀時、好きだ」
大きく目を見開いた銀時の声が高くなって。

「ばっ、馬鹿っ!お前、今そんなっ、ぁアっ!!」
「っく…」

ますます締め付けがきつくなってたまらず、俺は背中を強張らせて銀時の中に欲を吐き出してしまっていた。ほとんど同時に、銀時の中心を握っていた右手にも、どろりとした熱い液体の感触があって、銀時も達したのだということがわかる。

汗だくの身体をなんとかベッドに横たえると、猫みたいに擦り寄ってきた銀時にキスをせがまれた。

「ヅラ、お前卑怯」
「なんのことだ?」

あんなところで好きとか言われたら、我慢できなかったじゃないって、真っ赤な顔で俯いたまま呟くように銀時が言った。胸に顔を埋めるように抱き着かれているから、赤いのは耳しか見えなかったのだけれど。

「しょうがないだろ、事実なんだからな」
「ヅラの馬鹿っ」
まったく、馬鹿はどっちなんだか。男には興味なんて全然なかった俺を、こんな風にしたのはお前じゃないか。いや違うか。今だって男が好きなんじゃない、銀時だから好きなんだ。

みんなでいる時はへらへらしてて何を考えてるかわからないような態度ばかり取っているくせに、2人きりだと何をしててもくっついてくる甘えん坊が。

まさか自分がこんなにはまってしまうだなんて。悔しいから今は、それは言ってはやらないけれど。

疲れただろう銀時が、小さく丸まったまま眠ってしまうまで俺は、銀色のふわふわの頭をずっと、撫でてやっていた。なにもかも任せて安心しきったようなこんな銀時の表情は、付き合ってみるまでは全然知らなかったものだった。

「卑怯なのはお前だ、銀時」
俺をこんなに、好きにさせたんだからな。


END



Tomoka様に捧げまするー!こんなんで良かったでしょうか…(汗)桂君初受け身!とゆー設定です!いつでも書き直しますのでぇっ(涙)






















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