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俯せでベッドに寝た俺の背中を、辰馬がさっきから、ずうっと舐めてる。

巫山夢(ふざんのゆめ)


背骨や肩甲骨に沿って舌を這わされて。俺は気持ち良さに小さく震えることしかできない。
っていうのは、俺の肘から手首にかけては紐で完全に縛りつけられていて。目かくしを付けられて口の中には俺がさっきまで履いてた下着が突っ込まれてて。
両脚は、閉じられないようにベッドの足から繋がった紐で片方ずつ縛られてて、俺の中には、最弱にスイッチを合わせたローターが入ってる。辛うじて、縛られた腕と顔の間に枕を挟んでもらってるけど、もう1時間以上この体勢で。辛いはずなのに、辰馬の舌が背中を這っていって感じてしまう。気持ちいい。

だけど、そろそろもどかしくなってきてるのも事実だった。だってまだ、背中以外はどこにも辰馬は触ってないんだし、いくら自分の中を締め付けたって、ローターの刺激は弱いだけ。俯せになっているせいで、圧迫された中心は、たいした反応していないけど。
辰馬の舌がちょっと離れる度に、次は違うところを舐めてもらえるんじゃないかって期待に息が上がる。

「そろそろ、違うところも触って欲しいがか?」
辰馬の問い掛けに、言葉を奪われた俺は頭を縦に振るしかできない。

「ほんに、晋助は淫乱じゃの。そんなに犯されたいがか?」
言われて身体がかあっと熱くなった。辰馬の両手が、俺の身体の下に潜り込んで来て。

「うがああああっ」

口の中の下着のせいでくぐもった悲鳴にしかならなかったけど。あまりの痛さに俺は絶叫した。

身体の下に来た辰馬の指が、俺の乳首を思い切り捻り潰したからだ。握力が60以上ある辰馬が容赦なく潰すんだ、痛いなんてもんじゃない。指を離されても、まだジンジン痛みが響いて、目かくしが涙で濡れていく。

「そんなにえいがか?」
「ぐあああっ」

もう一度。
背中を仰け反らせた俺の乳首に今度はきつく爪を立てられて。上半身が浮いたことで、俺の後ろにいる辰馬は弄りやすくなったみたいだった。
口の中の下着を噛み千切りそうな勢いで奥歯に力を込めるけど、それでも痛くて痛くて悲鳴が止まらない。目かくしは、とっくに濡れて、右側だけ色が変わっていると思う。

「泣く程痛いくせに、なんでデカくしとるんじゃあ?」

くいっと腰を掴まれて、少しだけ持ち上がった俺の身体。辰馬の手が、俺の中心をぐっと握りしめた。

「痛くてどうしようもないのが気持ちいいがか?ほんに淫乱ド変態じゃの」
するすると涙で濡れた目かくしを外されて、両脚の紐も緩められた俺は辰馬に後ろから抱き抱えられた。1時間以上、目かくしで奪われていた視界は、まだぼんやりしていたけれど腕を縛られて、M字に足を開かされた自分の恥ずかしい姿が、寝室の姿見に映っていた。
後ろから出てるピンク色の細い線までキッチリ映ってるその姿見はもちろん、わざと辰馬がベッドの横に移動させたからだ。

「うっ、う、ううっ」

嫌だ、見たくない!と顔を背ければ、顎を押さえ付けられて強制的に鏡の中の自分を見せられて。
もう一方の手で、勃ち上がった俺の中心をまさぐりはじめた辰馬の指にねっとりと絡み付く恥ずかしい透明の液体。せめて脚を閉じたかったけど、そんなことしたら辰馬が怒るに決まってる。もう、なんにもしてもらえなくなるかもしれない。

「こんな淫乱な乳首はお仕置きじゃの」
「んんーっ!!!」

そう言って、最初から用意されていた洗濯ばさみで俺の乳首をさらに潰す辰馬。
わざわざこれのために、先が平らになってるやつを探して買ってきてあったから、使われるんだってことはわかっていたんだけど。わかっていて、期待で疼いてた俺って、もうどうしようもない身体してると思う。

小さく震えてる俺を煽るように辰馬の指遣いは激しくなっていく。
だんだんと、先走りの量も増えてきて扱かれるたびに乳首の痛みより快感が勝っていって。鏡の中で、辰馬に翻弄されている自分のいやらしい姿から目が離せなくなる。
もっと激しく触って、もっと目茶苦茶にしてくれよ、辰馬。

「腰が動いちょる。ほんにヒドイの晋助は」

言いながら辰馬はローターのスイッチを強くして、洗濯ばさみで潰された俺の乳首を更に指で強く押し潰す。もちろん、中心を扱いたまま。あ、ヤベェ、痛くて痛くて壊れそうなくらい、気持ちいい。

「んーんー、んーっ!」

辰馬、出る…って叫んだつもりだった、俺は。だけど悲鳴は言葉にならなくて。狂いそうな程の快感に叫びながら、俺は辰馬の手の中に白濁液をぶちまけてしまった。

どくんどくんと脈打つ中心を、呆れたように辰馬が見ているのがわかる。視線を感じる。鏡ごしに目が合う。

力の抜けた俺が、がっくりとベッドに倒れ込んでも、辰馬は許してくれなかった。わざと俺が痛みを感じるように引っ張って洗濯ばさみを外されて、口の中の下着をようやく取り出してもらえる。下着は、俺の唾液でぐちゃぐちゃになっていた。後で洗濯するのは俺だ。ローターは、まだ俺の中に入って全開で震えたまま。

「晋、舐めェ」

ベッドに座った辰馬に抱き起こされて命令されて。俺は舐めさせてもらえるんだってことが嬉しくて、不自由な両腕でなんとか上半身を支えて、すっかり硬くなった辰馬の中心を口の中に含む。嚢の方も少しでも辰馬が気持ち良くなれるように丹念に舌を使って舐めていって。
裏筋や先端は、特に丁寧に。

このおっきいのが、いつも自分の中に入ってるんだって、考えながら舐めていたら、今達したばっかりだってのに、下半身が疼いてくる。
今度は後ろが。だって、今日はまだローターを入れられた時1回しか触られていなくて。

(辰馬のが欲しい、辰馬のを入れて欲しい、辰馬と繋がりたい、辰馬に抱かれたい)

そんな俺の心を見透かしたように、辰馬の声が頭の上から振ってくる。

「入れて欲しいんじゃろ、晋」

辰馬から口を離してこくこく頷くと、そのまま腰を上げるよう命令された。

相変わらず鏡には俺の恥ずかしい姿が映っていて、四つん這い状態で線が出てる秘部を曝してるってことに死にそうになったけど。身体はどうしようもなく熱くて熱くて、内側からの熱に焼かれそう。

「晋はスケベェじゃからの、指でも感じるんじゃもんの」

言いながら後ろに回った辰馬の指が、いきなり2本、入ってきた。もちろんローションはつけられていたから、切れるようなことはなかったけれど。

「ァァあ…、あっ、んあっ、はっ」

掻き出すようにローターを取り出して、前立腺をぐりぐり押し潰される。辰馬は、俺の身体のことは俺以上に知ってるから、俺の感じる場所なんて一発で見つけられてしまって。

「あっちゅー間に3本くわえこんだのう?晋はほんに、男好きじゃき」
「ぁ、んあっ、違っ、ゃぁっ、違うっ」

男好きじゃない、俺は辰馬が好きなんだって言い返してやりたかったけど、喘ぎ声にしかならない。腕からも足腰からも力が抜けて崩れ落ちそうになるのを必死で堪えていた。

「そろそろえいかの」
向かい合わせになるよう俺を抱き起こして、長い脚を伸ばして座った辰馬が、ゆっくりと俺の腰を沈めていった。

「ぁアアっ、んああっ、ああああーっ!」
いつものことだけど辰馬のは大きいからかなりキツイ。だからって、ユルユルのガバガバになりたいとも思わないけど。とにかく、やっと辰馬と繋がったんだって。それが嬉しすぎて、さっき俺が一回イっちまった時のなんかとは比べものにならないくらいの快感で。

「ほれ、晋。痛くないんじゃったら動きィ」
「えっ…?」

肘から先を縛られたまんまで?と思ったけど辰馬は涼しい顔。これは本気だ。俺が動かないと、『じゃあもうやめた』とか言われてしまう。

なんとか縛られた手を恐る恐る辰馬の肩に乗せて俺は上下に動き始めた。だけど、動く度に辰馬のが俺のイイところを抉って気持ち良くって、1回1回動きが止まってしまう。

「んっ…、ぁああ…、ァっ、んんっ」
「晋、そんなんじゃ、わしはいつまでもイケんぜよ」
「ァっ、んっ、ごめっ、なさいっ」

ぶるぶる震える身体からは今にも力が抜けそうで。辰馬にもたれ掛かりたいのを必死で我慢していた。辰馬の言うこともきけないなんて、自分で動いて辰馬を気持ち良くさせてあげることもできないなんて。情けなくて泣きそう。

「……ま、えいか」
しばらく俺が、ゆるゆる動くのを見ていた辰馬が、呟いて腕の紐を解き始めた。

「晋、おいで」
そう、言われたのが嬉しくて嬉しくて、俺はやっと自由になって痺れる腕で辰馬の肩にしがみついた。縛られるのは好きだけど、やっぱりこうやって、辰馬にぎゅうってするのが一番安心する。

軽く俺の頭を撫でた後、辰馬が動き始めて、下から激しく俺の中を突いてきた。

「ぁっ、んあっ、はっ、んァアっ、はあっ」
「晋、もっと声だして」

俺の背中を支えながら動き続ける辰馬にそんなこと言われたら。我慢しないでうるさいくらいの声を上げてやろうって気になってくる。

「や、あっ、辰馬っ、気持ちいいっ!…ぁ、んあっ、んはっ、もっと、もっとっ…」

さっき外された洗濯ばさみがもう一度乳首につけられて。ベッドに倒されて正常位になる。俺は痛みに反応して、ぎゅうぎゅうに辰馬を締め付けた。

「ぃああああっ、たつ、痛いっ、気持ちいいっ、ァああああっ」
「晋、サイコーじゃ…」

痛めつけられて感じてる俺なんかに最高だって。そんなことを言ってくれる辰馬の方が最高に決まってるのに。胸のあたりが苦しくなって俺は一気に昇りつめてゆく。全然俺の中心は、触られてもいなかったけど、下腹部に重い痺れがある。トコロテンの、あの感覚だ。

「た、たつっ、も、イク、イクっ、出るっ、出ちゃうっ!」
「晋、イクぜよっ」

ぐっと最奥を突いた辰馬に唇を塞がれて洗濯ばさみが外されて。自分の精液がどろりとお腹の上に溢れ出るのとほぼ同時に、辰馬の熱い飛沫が俺の中に叩き付けられたのがわかった。自分がイクのなんかよりも、辰馬に中で出される方が遥かに強い快感で。精神的なものが強いんだとは思うけど。ずっと生ではできなかったから、久しぶりのこの感覚に頭が真っ白になる。

俺は辰馬の首にしがみつくように腕を回して、絡められる熱い舌のディープなキスを貧った。

終わった後でこうやって、辰馬の腕に抱かれてイチャイチャするのがとてつもなく好きで、自分は辰馬に愛されてるんだって、一番実感できるときでもある。

俺達の2回目の夏は、こうして、2人一緒に過ぎてゆく。


END



最近坂高エロス書いてなかったから欲求不満だった高階!夏休みで時間があるからって、する回数が増えちゃった坂高の熱い夏はこんなもんでしょう!ということで!
タイトルは要するにHのことなんだけど、中国の故事だから、漢和辞典になら載ってると思います。






















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