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入学式があって新入生が入ってきて。授業が始まってすぐから、屋上でサボり始めた晋助に興味を持ったのはたまたまだったんでござる。

愛が生まれた日


名前を聞いて『あぁ、一中の高杉ってこの子でござるか』と、すぐに納得したのも、彼の携帯が引っ切り無しに鳴っていたからだ。
「ウゼェ、お前としたい気分じゃねェ」

何件かの電話には出ていたものの、ほとんどは無視を決め込んでいて。女がたくさんいることは、噂で聞いていたけれど、あんまり楽しそうじゃないなと感じていた。だけど、それだけなら、声をかけることもなかったのでござろう。

「晋助っ!!」
「小太郎!!」
いつものように屋上でサボる晋助のところに、3年の桂さんが来た時の話だ。

「お前はまたそうやって!高校3年間もサボり続けるつもりかっ?」
「何言ってんだよー!高校だから考え直して、出たいやつだけ出てるんだからなっ!いいんだろ?それで」
「お前はまたっ!」

明らかに怒られていて、説教されているというのに、なぜか晋助は楽しそうに桂さんにくっついていた。桂さんの、腕にしがみつくみたいに。

「小太郎、小太郎、また泊まりに行っていい?」
「だからなっ…、ああ、いつでも来たらいいだろう」
女といる時に、晋助があんなに楽しそうな顔をしているところを見たことがなかったから。あんなに屈託のない表情で笑っていたのは初めて目にしたから。

以来、女と腕を組んで帰っている姿も教室で女に囲まれている姿も、何度も見たけれど。桂さんとの時のような笑顔を見ることはなくて。
また別の、穏やかな表情で微笑んでいるのは、担任の吉田先生と話している時。
不思議に思って、屋上で2人きりの時にカマをかけてみたんでござる。

「もしかして、高杉は、桂先輩のことが好きなんでござるか?」
「なっ、何言ってんだよお前!そんなわけねェだろ!俺も小太郎も男だろっ!!」

耳まで真っ赤になって否定する姿に『もしや』と思った。好みのタイプだけの話で言ったら、もう少し髪の毛が短い方が良かったのだけれど。

「拙者は、高杉が好きでござるよ」
「何言ってんだよオマエ」
「拙者は、高杉が、男だから好きでござる」
「えっ、あっ…、か…河上…?」
真剣に見つめて。驚き過ぎて声も出ないといった風な晋助の唇を奪ってやった。

不良の典型みたいな彼の性格を考えたら、こんなフレンチキスでも殴られるかもしれないと思っていたのに、晋助の反応は全く違っていて。

「なァ、河上…。女、好きになれないのって、やっぱ変?」
いきなりそんな深刻な表情で言われても、好きになれないって、それじゃあ、あのたくさんの取り巻きはなんなんでござるか?って、逆にこっちから聞いてしまったでござるよ。

「一緒にいてもあんまり楽しくなくて、どっか出かけたり、セックスしたりしても、なんか、どうしても誰も好きになれなくて…」

もしかして、誰も好きになれない反動なんでござるか、晋助の、あの女遊びの激しさは?いや待て待て、だったら聞いてみよう。桂さんのことはどう思っているのか。

「晋助、桂先輩のこと、本当に好きなんでござるか?」
晋助は、真剣な表情でしばらくの間悩んでいたようだったけれど。

「わかんねェ。小太郎は、幼馴染だから、なんだか特別扱いするのが当たり前になってて…」
幼馴染、なんでござるか。だったら、なんか違うのかもしれないなぁ、と思いかけた時。

「だけど、小太郎に、…したいと、…思ったことはある」
(え?なにをでござるか??)
耳まで真っ赤にして俯いた晋助に、その先は聞きずらくて。だけど、晋助は、自分から、話してくれた。

「今、オマエがしたヤツ…」
言いながら俯いて自分の唇を自分で触っている晋助。もしかして、桂さんにしたいと思ったことがあるのって『キス』でござるか?キス!キスしたいと思ってしまうなんて、相当好きなんじゃないでござるか?

そこまで聞けるなんて全然考えてなくて。ちょっとこのマセガキを、おちょくってやろうかと思っただけなのに、思いがけないところから、思いがけない告白をされて、正直、動揺したのは拙者の方だったでござるよ。

「なァ、河上、俺って、やっぱりおかしいのか?男が好きだなんて、やっぱりおかしいよな?」
ひどく落ち込んだ晋助の表情が痛い。だから拙者は、もう一度、さっきの言葉を繰り返してやった。

「拙者は、晋助が男だから、好きなんでござるよ」
実は拙者は、女には全く興味がないでござるって、付け加えて。

「だけどっ!みんな、結婚して、子どもつくって!それが、普通じゃないのかよ?なんで、なんで俺だけっ…」
晋助が、世間一般において当たり前のハズのことを受け入れられずに苦しんでいるのが伝わってくる。そうそう拙者も昔悩んだでござるよ。でも悩んだってどうにもならないことだったから、開き直ったけれど。

「だって、俺がっ、男好きだったらっ、俺、兄弟もいねェしっ…。でもっ、俺っ…」
どんどん声が小さくなる晋助は、いつの間にか泣いていた。きっと、本当に桂さんのことが好きなんだろうと。そして、そのことをこうやって人に話すのも、その自分自身の気持ちとこうやって正面から向き合うのも初めてなのだろう。

「晋助。同性愛って、病気でも何でもないんでござるよ」
かつては国連あたりでも、精神病の一種とされていた時代もあったわけだけれど。

「だけど、なんで俺だけっ!」
「だから、晋助。拙者も、ゲイでござるよ」
女とは、ヤったこともないし、ヤろうと思ったこともないというか女じゃ勃たないと、自分のことを正直に教えてやった。信じられないっていう顔をしていたけれど、晋助は。そりゃそうだ、一応バンドやっていて、そこそこ追っかけなんかもいるんでござるよ、拙者。

「俺、どうしてもっ、受け入れらんなくて…。自分のっ、ことなのにっ」
拙者はこの時、晋助のあの激しい女遊びが、ゲイであることを受け入れられない自分自身への反動だったということを知ったんでござる。

「晋助、なんなら、もう一回、拙者としてみるでござるか?」
「ん…いいのかよ?」
うわ、なんて素直なんでござろうか?泣き止まない晋助に、拙者は唇を重ねてやった。今度は、軽く、舌を入れて。口付けながら、指で右の目尻から溢れた涙を拭ってやった。

唇を離すと、やっぱり晋助は真っ赤な顔をして俯いて。
「晋助、拙者が気持ち悪いでござるか?」
「ううん、全然、嫌じゃ、ない…」
自分自身の感情に、どう向き合ったらいいのかがわからない様子で、晋助は俯いたまま黙っている。

「焦って結論を出すものでもないと思うでござるよ」
本当は、結論なんか、とっくに出てしまっていることを、拙者は知っていたけれど、晋助がそれを、自分自身で受け入れられるかどうかというのは、また別問題で。ただでさえ、自分のことを話したのも、話して受け入れてもらえるものなのだということを知ったのも初めてだっただろうから。

「いつでも話は聞いてあげるでござるよ」
「河上っ!お前、…今、誰か好きな奴いるのかよ?」
とにかく今は1人にさせてあげようと立ち上がった拙者に、慌てたように晋助が叫んで。

「拙者?拙者は只今フリーでござるよ」
そう言って、その日は屋上を後にしたんだった。

と、まぁ。そんなことがあったのが約1か月前。

晋助が女といる姿を見ることが、どんどん減っていって、あれだけうるさく鳴っていた電話も鳴らなくなってきたなぁなんて、拙者が感じ始めていたある日の話。

『いかにも』っという痣を顔に作って屋上に現れた晋助が突然言った。

「なァ、河上」
拙者は、いつも通り隣に座った晋助の腰を抱いてやったんでござるが。

「今日で、女全部切った」
「晋助?」
まさか、というか、ひょっとして。拙者とのあのキスで、完全にこっちの世界に来てしまったんでござるか?そりゃ、あの後も、甘えて隣に座る晋助に、キスしてやったことは、何回もあったのはあったんでござるが。
そりゃ、こっちにしてみたら、つまみ食いと言うか、軽い気持ちで。

「30人全部でござるか?」
「そんなにいねェよ、馬鹿っ!」

おどけてみせないと、自分の中で整理がつかなかったんでござる。あの晋助が、女を泣かせたらここいらじゃ天下一品の一中の高杉が、女との関係を、この1か月かけて、すべて清算したと?しかも原因は拙者とのキスと、拙者のカミングアウト。口許の痣はそのせいかと?

「だから俺、今フリーなんだけど」
それ以上は、年上として、晋助に言わせるわけにはいかないなんて、変なプライドが働いた。だって、晋助がそこまでした目的は、拙者でござろう?

「晋助は、拙者と、付き合ってくれるでござるか?」
いつかのように俯いたままの晋助の両頬を、両手で包みこむみたいにしてやったけど、晋助は全然目を合わせてはくれなくて。だけど。

(顔、熱いでござるなぁ)

それは、7月の強い日差しのせいなんかじゃなかったはず。その証拠に、晋助は、ホントに小さく、気づくか気付かないかのギリギリくらいの角度で首を縦に動かした。そして、蚊の鳴くような声で。

「河上が、俺で嫌じゃないんだったら…」
正直にヤバイと思った。だって、晋助、押し倒したくなるくらい可愛かったんでござるよ、耳まで真っ赤にして。ついつい、ぎゅうっと抱きしめてあげてしまったくらい。

「嫌だなんて言うと思うでござるか?…晋助も、今日から拙者のことは名前で呼ぶでござる」
学年は、晋助が一つ下。特別な関係でさえなければ、呼び捨てなんてありえない話。

「う、うん。………万斉?」
そこでようやく、上目遣いにちょっとだけ拙者を見た晋助。もう辛抱たまらん!って感じになってしまって。こんな、いつ誰が来るかわからない、学校の屋上なんかにいたくなかった。

「もう我慢できないでござる。今日は帰るでござるよ、晋助」
とにかく、安心して、2人っきりになれる場所へ、移動したかった。

「えっ?あ、帰るって」
昼ご飯なんか、外で適当に食べればいいでござる。っていうか、どうせなら、イチャイチャしながら食べたいでござる。

拙者は、無理矢理ギターを片づけて、晋助の手を取って立ち上がらせて。自転車の後ろに乗せて、学校を後にしたでござる。
それから、ショッピングモールの非常階段でイチャイチャしながらお昼を食べて。実はここの非常階段は、知る人ぞ知る穴場ってやつだ。反対側の非常階段は駄目なんでござるよ、屋上駐車場への近道だから。

そして勢いのままに口づけたら、そのまま収まらなくなってしまって。とにかく1発晋助とヤリたい!って、そればっかりが拙者の頭の中をぐるぐる駆け巡るようになってしまったでござる。

ただし、知り合ってから3ヵ月。お互いのことを、それほど詳しく知っているわけではなかったし、正直不安がなかったわけではないんでござるよ。

たとえば、いざ付き合うことになってから、身体の相性が悪かったとか。
おそらく、晋助は、まだ何にも知らなくて、男同士のやり方もしらないなんて言ってたくらいだから、もちろん経験もなくて。だから、ショッピングモールで、拙者がちょっと舐めてあげたくらいで『俺、こんなの初めて』なんて言っていたけれど。ずいぶんと、急激に拙者にハマっていってくれてるみたいで、それはありがたいのだけれど。

晋助より年上だとは言っても、拙者もまだ高校生の若造で、全くの未経験の晋助に、ちゃんといろいろ教えてあげられるかどうか、という不安もあったわけだし。ただ、自分さえ頑張れば、晋助は間違いなく自分の色に染まるというのがわかっていたから、がんばってみるしかないと。それでダメなら、その時はその時で、別れたらいいか、なんて軽く考えていた。
ゲイの、男同士の恋愛とか付き合いなんて、基本そんなもんでござる。

良いのか悪いのか、拙者の心の準備もままならないまま、週末に晋助の家に泊まりに行くことになって。

ああ、もう、どうせこんなことになるのなら、もっと遊びまくっておけばよかった!なんて思わなかったわけではない。そのテの場所に行けば、いくらでも出会いもあるし、一夜限りの相手だってつかまるってことは知っていたのだけれど、拙者男遊びの時間より、作曲したりギターを弾いてる時間の方が大事だったんでござる。だから、晋助に告白されたとき、特別な相手もいなかったんでござるが。

とにかく、晋助の部屋で、ゲームしながら、他愛もない話で心を落ち着かせて。なんとなく妹の話なんかをしてみたりして。晋助も、最初は黙って聞いていたようだったけど、そのうちに、返答にも、ゲームにも集中できなくなっているような気がして。

これだけ期待させているのに、このまま手を出さないなんて、男がすたると思ったでござる。

押し倒して口づけて。ベッドの上に抱え上げて、キスしたまんま、制服を脱がせてゆく。なんだか、晋助は、それだけで感じているようで、息が上がってきている。そんなに期待されたら、本当にプレッシャーなんだけどと思いながら、それでも。『最初は痛いでござるよ』って、何度も言っておいたから、なんとか我慢してくれるかな、なんて都合のいい言い訳を自分に言い聞かせて。
四つん這いにさせて秘部に舌を這わせると、晋助は悲鳴のような声を上げた。

(おや?これは意外な反応でござる)

全くもって、自分の初めてのときとは違う反応。結局自分はあきらめて、タチ専門になってしまったというのに。

「晋助、感度いいでござるなァ。この分だと、大丈夫かもしれないでござる」
持ってきたローションをたっぷり指に取って、ゆっくりと、晋助の中に指を入れていった。

「んっ…、いっ、た…、んんっ」
ぎゅうっと枕を握っている手しか自分からは見えないけれど。

「晋助、力抜いて」
晋助が、深く息を吸った瞬間を見計らって、指を3本に増やした。

「いやァっ!む、りっ!…痛い、万斉痛いっ!痛い痛い痛い痛いっ!!」
ゾクっとした。
背筋を走る、これはなんだろう?

とにかく、ちゃんと馴らしておかなければ、あとで辛いのは晋助なんだからと自分に言い聞かせて、3本の指で入口を広げるように掻き回してやる。

「大丈夫でござるよ、晋助、もっと力抜いて、息吐いて」
「やァっ、無理っ、痛いっ!!」
涙混じりの悲鳴。拙者は、どうしても晋助の顔がみたくなって、一旦指を抜いた後、仰向けにひっくり返して、また指を入れる。顔を押し付けておくものがなくなって、ぎゅうっと目を閉じた晋助の目尻に涙が浮かんでいた。もうそこで、たまらなくなって、指を入れたまま晋助に口づけた。

痛がって泣いている相手の顔を見て興奮してしまうだなんて、なんという変態かと、自分でもわかっていたけど、こればかりはどうしようもなくて。

「んっ、んくっ、んんっ」
「そんなに泣かれたら、余計興奮するでござるよ」
攻めたい、攻めてあげたい、感じさせてあげたい、気持ち良くしてあげたい、と、真剣に思ったから、晋助の涙を空いている左手の指で拭ってあげて、それから、首筋や胸の飾りに舌を這わせていった。自分からなんて、滅多にそんなこと、したことなかったのに。だって面倒臭いでござろう?勝手に上に乗っかってくる奴らとしておくのが一番ラクでござるよ。

「ぁっ、んアっ、ゃっ…」
無意識なのか、ピクンと身体を震わせて小さな声をあげる晋助は、感じ
ているらしかった。ヤバイくらいカワイイ。

「このくらいで痛がってたら、何にもできないでござるよ」
今日は無理して入れなくてもいいかもしれない、なんて思っていたのはどこへやら。小さく喘ぐ晋助が可愛くて可愛くてもう、我慢できなくなっていた。

「晋助すまんでござる!」
ずるっと指を引き抜き、あとはもう、欲望のままに、猛った自身を入れるだけ。

「ばんっさ、い、無理っ!」
「拙者も無理でござる」
ただし、拙者の場合は、我慢するのが無理って話だが。

それでも、未だ誰のものも受け入れたことがない晋助の中はキツくて、ゆっくりゆっくりとしか腰を進めることができない。

「痛い痛い痛い痛い痛いーっ!!」
「晋助、力抜くでござる!息吐いて!」
浅い呼吸を繰り返す晋助に合わせてやると、なんとか全てが中に収まった。

「全部入ったでござるよ」
「そう、なの…?」
小刻みに身体を震わせて痛みに耐えている晋助が、どうしてもいとおしくなって、繋がったまま、晋助の細い身体を、思い切り抱きしめた。

「っ、く…、万斉…っ、…好き」
身体の上に回された拙者の腕に自分の両手を重ねて。小さく本当に聞こえるか聞こえないかのギリギリの声で呟いた晋助がたまらなく愛おしくなった。拙者の中でどうしようもない感情と快感が競り上がってくる。

「晋助の中、熱くてとろけそうでござるよ」
それは、紛れも無く晋助との初Hの感想。拙者は、晋助の細い腰を掴んで抜き差しを始めた。

途中で、やっぱり顔を見たくなって正常位に変わったら、晋助から唇を求められて。拙者は晋助の変化に気付いたものの、どうにもできないまま、あっという間に達してしまったでござる。

一方的に終わった後も、晋助の上に乗っかって、しばらくはずっと抱きしめていたんでござるが。拙者はこの時、晋助をずっと離したくないという想いが全身を支配してしまっていることに気付いていた。好きになってくれたのは晋助から、だけどハマったのは拙者の方だ。

これからゆっくりと、お互いのことを知っていけばいいんでござるよ、きっと。


END




基本的にHの最中の万斉を書きたかったのでした(ヲイ)。Hしたら晋ちゃんにハマっちゃったの、万斉は。高階の中ではドSの変態のイメージが抜けない万斉がいっぱいいっぱいなのは高校生だから。高杉サイドは「恋愛感染経路」






















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