三島様のクリスマスフリーを強奪!さ、さ、さ、坂本先生ですよ!坂高ですよ!
一昨日は終業式だった。だから、今日は既に冬休み。
俺達3年は宿題なんざあってないようなもんだし、受験対策とか言うので学校ではほぼ毎日"質問教室"がある。
…だから、教師は28日から4日の間しか冬休みが無い。
「あれ…高杉じゃない?」
"質問教室"が行われている図書館のドアを開けた途端に声を掛けて来たのは、Z組担任の坂田銀八。
「ちょっと、どーしたのお前…お前が質問とかマジありえないんだけど」
「コンニチハ」
「いやコンニチハ、じゃねーよ。ってか何、シカトか?」
ちなみに坂田銀八は国語教師だ。…授業らしい授業をしてんのは見た事ないけど。
「あれ、高杉じゃねェかィ…どうしたんで?補習ですかィ?」
銀八の隣を通り抜けたとほぼ同時に声をかけて来たのはZ組きっての問題児…何つったかな、名前。
「テメェと一緒にすんな。…オイ銀八、辰馬は?」
「お前完璧先生の事シカトか?シカトだよな?」
「辰馬は?」
「……職員室」
職員室、か。わざわざ行くのも面倒臭ェな…
「あ、坂本先生ならさっき見やしたぜ?」
「…職員室だろ」
俺は先程から話し掛けてくるZ組の奴の二つ隣に座った。
…真面目に勉強してる奴の近くに座る位ならコッチの方がマシだ。
「俺が見たのはそこの廊下でさァ、どっかに電話してやした」
「…そうか」
言いながらまさか、と思い携帯を開いてみる。
『着信あり』
ホラー映画にこんなのがあったよな、なんて思いながら着信履歴を開く。
『坂本 辰馬』
…やっぱり。
「悪ィ、帰るわ」
銀八に視線をやりながら立ち上がる。名前の分かんねェZ組の奴は「えー」とか言ってくるが、そをな事を気にしてる余裕もねェ。
「お好きにどうぞ。…ってか沖田君、さっさと問題解きなさい」
……沖田。そうだ、思い出した。沖田総悟、とか言う名前だ。
図書館を出ると、すぐに冬の寒さが襲ってきた。
職員室の前まで行き、ドアについている小窓から中を覗き込むと…机に向かっている辰馬が見える。
ここで呼び出すのも面白くねェ。俺はそのまま一階の教室へと向かう。
教室につき、教卓に立つ。…ここからはハッキリと俺の席が見えるんだな…俺の席からは教卓なんて殆ど見えないのに。
「…もしもし、辰馬?」
携帯を取り出して、着信履歴を開きボタンを二回押す。3コールもしない間に、辰馬は出た。
『もしもし…さっき電話したんじゃが』
「悪ィ、マナーにしてたんだ」
…学校に入る前だったから、何て事は言ってやらない。
『ほうがか…あのな、晋』
「教室、来れねェか?」
『……教室?』
辰馬の言葉を遮ったにも関わらず、辰馬は何も言ってこない。
それどころか一度そう尋ね、すぐに「分かった」と言った。
「…じゃ、待ってっからな」
『うん』
暫くして、辰馬が戸を開けた。
それと同時に待機していた俺は、サプライズとして持って来ていた手紙を渡す。
「…晋?」
「先生好きです付き合って下さい。…ってか?」
辰馬の驚いた顔を見て、自然に顔がにやけるのが分かる。
「…辰馬?」
呆然とする辰馬の手に半ば無理矢理封筒を握らせ、顔を覗き込んだ。
「…晋…ビックリしたぜよ?」
「…悪ィ」
悪いなんて思ってないケド。とりあえずそう言えば、辰馬は笑ってくれるから。
「…晋、手貸して」
「ん?…はい」
言われた通りに手を差し出す。
辰馬は俺が握らせた手紙をポケットに入れてから、反対側のポケットから何かを取り出した。
「メリークリスマス、晋助」
「…!」
………今度は、俺が驚いた。
手の中にあったのは、銀色の…鍵。
「…これ」
驚くあまりに辰馬を見上げると、辰馬も楽しそうに笑っていた。
「家の鍵ぜよ。…今日は四時で終わりなんじゃ…一緒に過ごさんか?」
…そう言う事か。
俺はやっと理解して鍵を手の中に握った。
「じゃあ…先に行ってるわ」
「…うん」
END
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イシンデンシン
一昨日は終業式だった。だから、今日は既に冬休み。
俺達3年は宿題なんざあってないようなもんだし、受験対策とか言うので学校ではほぼ毎日"質問教室"がある。
…だから、教師は28日から4日の間しか冬休みが無い。
「あれ…高杉じゃない?」
"質問教室"が行われている図書館のドアを開けた途端に声を掛けて来たのは、Z組担任の坂田銀八。
「ちょっと、どーしたのお前…お前が質問とかマジありえないんだけど」
「コンニチハ」
「いやコンニチハ、じゃねーよ。ってか何、シカトか?」
ちなみに坂田銀八は国語教師だ。…授業らしい授業をしてんのは見た事ないけど。
「あれ、高杉じゃねェかィ…どうしたんで?補習ですかィ?」
銀八の隣を通り抜けたとほぼ同時に声をかけて来たのはZ組きっての問題児…何つったかな、名前。
「テメェと一緒にすんな。…オイ銀八、辰馬は?」
「お前完璧先生の事シカトか?シカトだよな?」
「辰馬は?」
「……職員室」
職員室、か。わざわざ行くのも面倒臭ェな…
「あ、坂本先生ならさっき見やしたぜ?」
「…職員室だろ」
俺は先程から話し掛けてくるZ組の奴の二つ隣に座った。
…真面目に勉強してる奴の近くに座る位ならコッチの方がマシだ。
「俺が見たのはそこの廊下でさァ、どっかに電話してやした」
「…そうか」
言いながらまさか、と思い携帯を開いてみる。
『着信あり』
ホラー映画にこんなのがあったよな、なんて思いながら着信履歴を開く。
『坂本 辰馬』
…やっぱり。
「悪ィ、帰るわ」
銀八に視線をやりながら立ち上がる。名前の分かんねェZ組の奴は「えー」とか言ってくるが、そをな事を気にしてる余裕もねェ。
「お好きにどうぞ。…ってか沖田君、さっさと問題解きなさい」
……沖田。そうだ、思い出した。沖田総悟、とか言う名前だ。
図書館を出ると、すぐに冬の寒さが襲ってきた。
職員室の前まで行き、ドアについている小窓から中を覗き込むと…机に向かっている辰馬が見える。
ここで呼び出すのも面白くねェ。俺はそのまま一階の教室へと向かう。
教室につき、教卓に立つ。…ここからはハッキリと俺の席が見えるんだな…俺の席からは教卓なんて殆ど見えないのに。
「…もしもし、辰馬?」
携帯を取り出して、着信履歴を開きボタンを二回押す。3コールもしない間に、辰馬は出た。
『もしもし…さっき電話したんじゃが』
「悪ィ、マナーにしてたんだ」
…学校に入る前だったから、何て事は言ってやらない。
『ほうがか…あのな、晋』
「教室、来れねェか?」
『……教室?』
辰馬の言葉を遮ったにも関わらず、辰馬は何も言ってこない。
それどころか一度そう尋ね、すぐに「分かった」と言った。
「…じゃ、待ってっからな」
『うん』
暫くして、辰馬が戸を開けた。
それと同時に待機していた俺は、サプライズとして持って来ていた手紙を渡す。
「…晋?」
「先生好きです付き合って下さい。…ってか?」
辰馬の驚いた顔を見て、自然に顔がにやけるのが分かる。
「…辰馬?」
呆然とする辰馬の手に半ば無理矢理封筒を握らせ、顔を覗き込んだ。
「…晋…ビックリしたぜよ?」
「…悪ィ」
悪いなんて思ってないケド。とりあえずそう言えば、辰馬は笑ってくれるから。
「…晋、手貸して」
「ん?…はい」
言われた通りに手を差し出す。
辰馬は俺が握らせた手紙をポケットに入れてから、反対側のポケットから何かを取り出した。
「メリークリスマス、晋助」
「…!」
………今度は、俺が驚いた。
手の中にあったのは、銀色の…鍵。
「…これ」
驚くあまりに辰馬を見上げると、辰馬も楽しそうに笑っていた。
「家の鍵ぜよ。…今日は四時で終わりなんじゃ…一緒に過ごさんか?」
…そう言う事か。
俺はやっと理解して鍵を手の中に握った。
「じゃあ…先に行ってるわ」
「…うん」
END
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