□title list□
 ※水色部分にカーソルを合わせると
 メニューが出ます

またまた友禅游媚の五十嵐未生様に書いて頂きました!3Z坂高の出会いです!

エコセレブとの出会い


「おんし、今暇かの?」

「あ?」

いつものように制服のまま街中をふらついてたら、いきなり声をかけられた

つーか、肩をつっつかれた

振り向くと黒い天パの男が満面の笑みで立っている

しかも、方言?

意味わかんね

無視して歩き出すと、そいつは着いてきた

「おぉーい」

「‥‥‥‥‥‥‥」

すたすたすたすた

「無視せんでー」

「‥‥‥‥‥‥‥」

すたすたすたすた

「銀魂高の学生じゃろー?」

ぴた

「なんで、」

いきなりの的を得た質問に顔だけ振り向くとやっぱりあの笑顔

「お、当たりかや?」

あてずっぽうじゃ、と笑う

そりゃそうだ、今着てるのは校章も付いてない学ラン

相手にするほうがバカバカしい

でも、俺は振り返ったまま動けないでいた

男は笑ってるのに、見透かされてるみたいな威圧感があったから

「‥‥‥‥‥‥‥」

多分、こいつは頭のいい奴だ

人の心理とか、知らねーけど、そういうのが読めるのかも知れない

相手に逃げる隙を、与えない

「おんし、今暇かの?」

もう1回、同じ質問をしてきた

「‥‥‥‥‥あぁ」

それだけ答えると、男はやっぱり笑顔を見せた

変なやつ



「3ヶ月ぶりの休みなんじゃよ」

「へぇ‥‥」

適当な相槌を打ちながら目がいくのは、どうやって食べたらいいのかも分からないような料理たち

生まれてこの方テレビでしか見たことも無いような料理が今、目の前に並んでいる

「もう下がっててええよ」

「はい、失礼致します」

品の良いオッサン…というよりも紳士と言う言葉がぴったりきそうな感じの男の人は軽く会釈すると静かに部屋を出て行った



『坂本』と名乗った男は俺を引きずるように車に乗せてホテルらしきところに連れ込んだ

このパターンだと身体目当てか?とげんなりしていた俺の目に飛び込んだのは安いラブホなんかじゃなくて

セレブの御用達、と紹介されそうな高級ホテルだった

しかもフロントに着くなりさっきの男の人が出てきて最上階まで案内されて、この状態に至る

‥‥コイツ何者?

「嫌いなもんでもあったがか?」

「へ?あぁ、いや、別に‥‥」

急に話し掛けられて気の抜けた返事しか出来なかった

「食わんのか?」

「食うけど…」

「?」

どうやって食えばいいかなんて分かるかよ!

なんでナイフとフォークが3本ずつあるんだ!?

「あぁ、こんなん気にせんでいいんじゃよー」

俺の視線の先にあったものを見て納得したらしい

そう笑いながらポケットから箸を2膳取り出すと、1膳渡してきた

「ほい」

「あ」

高級ホテルにマイ箸持参って…

エコなのか、アホなのか

「いただきます」

「い、ただきます…」

とりあえず受け取って名前も分からない料理に手をつけた

「名前なんちゅーんじゃ?」

「‥‥高杉」

「下の名前は?」

「‥‥‥‥晋助」

「晋助はあんなとこで何やっとったんじゃ?」

いきなり呼び捨てかよ

「アンタ何者?」

「辰馬でええよ」

「‥‥坂本」

「いじっぱりじゃのう」

誰がだ!

テーブルいっぱいに並んでいた料理がなくなってボーイが皿を片付ける頃には何となく会話が成立するようになっていた

とりあえずコイツは俺の2コ上で
(そうは見えないが)学校には行かず働いてるらしい

「んで、何しちょったんじゃ?」

「あ?別に、何もしてねーけど」

「学校へは行かんのか?」

「行ってもしょーがねぇだろ」

楽しい事なんか何もありやしない

適当にふらふらして、適当に誰かと遊んでる方が楽だし

「ほーか、なら、たまにこうしてわしと遊んでくれんか?」

「‥‥‥‥‥は?」

遊ぶって、なに?

「なかなか休みないんじゃがな」

意味の分からない俺と、にかっと笑う坂本

初対面の人間(しかも男)にそんなこと持ちかけて誰が承諾すると思ってるのだろう

(あぁ、そうだ、コイツは)

頭がいいんだった

だって、怒鳴り散らす事も即効で拒否する事もできるのに

俺はそれをしてない

承諾するつもりなんてないけど、
断るつもりも無いんだ

自分が気付くより先に坂本に気付かれていた

「どうじゃろうか?」

なんだ、この男

単純なくせに何ひとつ掴めない



ホテルを出て、駅まで送ってもらった

家まで送るといわれたけど、そんなのごめんだ

「ほいじゃ、これ」

ポン、と掌に乗せられたのは

「携帯…?」

「おんしのじゃ」

「は?」

携帯ぐらい俺だって持ってるぞ?

「んーと、わし専用じゃ」

名義はわしじゃから安心して使いまくってええよ、って

「はぁ!?」

「じゃあのー」

返す前に真っ赤な車は走り去った

赤が好きなのだろうか、渡された携帯も赤い

(箸も赤だったな)

‥‥‥‥はっ

「いや、どうしろって!」

うっかり見送ってしまったが結局承諾はしていない

「‥‥‥‥‥‥‥」

まんまとはまったのかもしれない

「坂本…か」

俺が会った中で1番変な奴

あ、いや、担任も変な奴だった

ブブブブブブブ

「!?」

握り締めた携帯が震えだして慌てて開く

ディスプレィには

『32』

人の名前じゃないけど…とりあえず出てみる

「‥‥‥‥‥‥‥」

『あれぇ〜?辰ちゃ〜ん?
アタシだけどォ、何で連絡くれないの〜?』

流れてきたのは、やたらと語尾の延びた甘ったるい声

『辰ちゃ〜ん?ちょっと〜?
‥‥‥んもぅ、なによっ!』

ぶちっ

何も声を発さないでいると勝手に怒り出して切られた



「‥‥‥‥‥‥」

電話帳を開いてみる

『1』『2』『3』『4』『5』‥‥‥‥『208』『209』

これ、もしかして全部女?

ブブブッブブブッブブブッ

「!」

またか!?

でも今度は違うリズムのバイブだ

電話帳から切り替わったディスプレィには

『晋助』という文字

「俺?」

よく分からないが取り合えずまた出てみる

「‥‥‥‥‥‥‥‥」

念のため無言で

『いや〜あっはっはっは〜!
間違えてもうた〜!』

「!!!」

うるせーーー!

耳元で響く大音量に頭痛がした

『どこにおる〜?』

「は?まだ駅の近くだけど…」

だって、最寄の駅がここだから歩いて家に帰るつもりだから

『…今夜、時間あるかの?』

「‥‥‥‥はぁ」

もう、どこまでが計算なのか分からなくなった

さっきみたいな電話が来ても困るから仕方なく待っていると、赤い車が猛スピードで走ってきた

そんなに時間経ってないんだけど

まさかどっかで待ってたとかじゃねーよな?

「すまんすまん!
晋助のはこっちじゃった!」

と、取り出したのも赤い携帯

というかまったく同じものだ


「お前、最低」

「ほ?」

思ったままの感想を述べる

「電話帳の名前が番号って
普通あり得ねーだろ」

「おー…見られてもうたか」

「‥‥‥‥‥‥」

今までにない表情になってちょっと面白かった


「全部女か?」

「いんや、男のほうが多いぜよ」

「は?」

友達の名前も番号なのか?

どんだけぞんざいなんだよ…

呆れた

でも次に発された言葉で頭の中は真っ白になった

「わし、綺麗ならどっちでもいけるんじゃよ」

今の日本には綺麗な女より綺麗な男のほうが多いってことかコラ

‥‥‥‥いや、突っ込みどころはそこじゃない!

「バイ?」

「そういうこっちゃ」

なんでもないことのようにカミングアウトされたけど、それって初対面の奴に言う事じゃ…

あ、コイツに常識は通用しないんだった

何はともあれ『セフレ専用』携帯を返す

「…いらんかったか?」

「いらねーだろ、普通」

本物の俺用携帯をなかなか受け取らない俺を見て不安そうな声色になった

「‥‥‥ほうがかー」

「でも」

「ほ?」

「俺は普通じゃねーから」

ひょい

坂本の手の平に乗っていた携帯を取る

「晋…!」

「アシやってくれんなら貰う」

「ええけど…、」

「なんだよ」

「それは『手を出すな』って言う条件付きがか?」

「ぶっ」

バイって聞いたときそうかもしれないとは思ったがやっぱりそうか

「一目惚れじゃ!」

「‥‥‥‥‥‥‥」

それ何人に言ってんだよ 別に俺だって男との経験がないわけじゃねーけど

金持ち(恐らく)の道楽に付き合うのは癪に障る、だから

「好きでも無いやつとはしない」

そう言ってみた

いや、別に好きじゃなくても出来るけどな

こいつの気持ちを試してみる

‥‥試してどうするつもりなんだろうとかよくよく考えれば思うけど、なぜか俺は試してた

「‥‥‥‥‥‥‥」

ほら、何も言えないだろ?

「‥‥‥‥‥わかったぜよ」

「‥‥‥は?」

なにが?

「好きにさせてみるぜよ!」

「なっ‥‥!?」

はぁ!?マジかよ!?

「じゃあ、どこ行くかの?」

「は?ちょ、うお!」

ドアが開いて引っ張り込まれた

急すぎてろくな抵抗も出来ないまま助手席に沈み込む

「今夜は空いてるんじゃろ?」

確かに、空いてるけど…

「どういうとこが好きじゃ?
まだまだ時間はあるぜよ!
海とか、好きかの?」

「オイ」

「なんじゃ?」

「セフレがそんだけいるならそいつらと遊べばいいじゃねーか」

わざわざヤラせないと言ってる俺なんかに構ってる暇があれば何発できることやら

「あぁ、そんな事気にするんか」

大丈夫じゃよ!と言ったと思ったら、

バキッ

「‥‥!何やってんだ!?」

さっき俺から受け取った携帯を反対側に折ってぶっ壊して

「これでなんも残っちょらん」

道端のゴミ箱に投げ入れた

「馬鹿じゃねーの…?」

「一目惚れ、って言ったぜよ」

にこーっと笑う坂本

「‥‥‥‥‥好きにしろ」

なんか、厄介なモンに好かれたみたいだ

「好きにっちゅーのは…!」

「ヤッていいって意味じゃねー!離れろ変態がァァァァァ!!」


結論

俺と坂本の出会い

それは‥‥

用意周到で
悪質なナンパだ




「ひどいぜよ!」

その通りだろうがクソ天パ!

「へー、納得でさァ」

「そうか!片思いか!
俺たち仲間だな!坂本ォォォ!」

「ふ、近藤さんとは根本が違いまさァ。あんた等は人間とゴリラと言う種族の違いでさァ」

「ていうかこの天の声はどっから?高杉学校だよな?」

「この世界の中でそんなこと気にするのは野暮ってモンでさァ」

「あっはっはっはー」

「辰馬、アンタも早いとこどうにかしなせェ」

「あっはっはっはぁー…はぁ」






おしまい★

↓後日談

逆ヒモみたいな関係になってから1ヶ月くらい経った頃の会話

「‥‥‥‥おまえさ、ぶっちゃけ今セフレどんくらいいるんだ?
あの携帯だけじゃねーだろ」

「晋助一筋じゃ!」

「俺と同じクラスに黒髪のお前の好きそうな土方って奴がいるぞ」

「まっことか!?‥‥‥あ」

「「‥‥‥‥‥‥‥‥」」

「何個携帯持ってやがる」

「‥‥‥‥‥5個ほど」

「‥‥‥‥へー、それで俺を口説こうとしてたわけか」

「‥‥‥‥‥だって」

「あ?」

「わし絶倫なんじゃもん」

「ぶっ、げほっ、そ、それ、自分で言うことか?」

「1週間と持たん」

「あの日3ヶ月ぶりの休みって言ってなかったか?」

「スケジュールの中に入っちょるんじゃ、処理の時間」

「‥‥‥‥‥どんだけだよ」

ますます坂本との付き合いに首を縦に振るわけにはいかなくなったのは言うまでも無い



今度こそおしまい★



あとがき 高杉と土方が学校に行ってる間の回想風に(*・ё・*)

本人学校なのに何故高杉目線なのかっていうと、辰馬目線だと

見てはいけない裏事情がモロだからです!

もちろん全部計算の上なので!

高階様!こんな感じでよかったでしょうか!?

馴れ初めと言いつつ、付き合ってませんこの2人(おっと)

どこまでという疑問も、清い関係です(=v=)

なので辰馬さんの携帯には日々番号が増えていきます★

満足いただければ幸いでっす!

感謝を込めて!

50600hitキリリク

高階千鶴様のみ
お持ち帰り可です☆

(2008/05/03)




み、みみみ、未生様ぁぁぁぁ〜!!!
高階のわがままリクエストに応えて頂いてありがとうございますぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!!
そ、そうだったんだ、ナンパされたんだ、晋ちゃん。
しかも、まだ「清い関係」だったんだ…
ヘテレ攻め辰馬×俺様受け晋ちゃんも、高階は大好物でございますっ!
(なかなかウチでは書けてませんが)
いつか結ばれるのか…?なんて、いろいろ妄想してしまいます!
(いやいや、そもそもこのシリーズのメインはぱっつちだからっ)

未生様、ありがとうございましたぁぁぁぁぁぁ!!!!
























No reproduction or republication without written permission.