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scen1-15 加勢


「おやおや、本当に君とはね。オルヴァー・ライル」
ムネレイサスを救出してあとは一刻も早く逃げるだけ…だった自分達の前に立ちふさがったのは、いないと聞いていた公爵だった。

「ヘルゲ、先逃げろ」
剣を抜いたオルヴァーが後ろに、ムネレイサスを抱いたヘルゲを庇う。

「ふざけるな!」
ヘルゲにとっては、今目の前にいる公爵こそが、友達を酷い目に遭わせた憎むべき敵であった。あんな学者や大臣など、言ってしまえばどうでもいい。公の場で会う度に怒りを押し殺してきた。時には、どうしてこんなやつの護衛をしなければならないのかと思ってきた。それが、今ならば斬ることが可能なのだ。

「オルヴァー、俺は…」
「目的見失ってんじゃねーよ!とりあえず今はそいつ連れて帰れ」
でなきゃ絶交だ!と叫びながら公爵に突っ込んで行くオルヴァー。そこまで言われてしまっては、ヘルゲは従うしかなかった。もちろん、ちょっとだけ『俺の方が偉いのに』と思わなくもなかったが。

「逃げられると思わない方がいい」
仕方なく出口へ向かって走ったヘルゲの前で床が突如せりあがり、壁のような形を取って行く手を塞ぐ。

「おいおい、あいつらは逃がしてやってくれよ」
2、3度、剣を振って床から飛び出した棒状のものと戦っていたオルヴァーが立ち止まった。勝てるわけがないと判断したのだ。

「俺で我慢しときなよ?ガキと坊っちゃんは放っといていいだろ?」
言いながら、オルヴァーは剣を鞘に戻し、自ら公爵に身体を寄せた。棒状のものは襲って来ない。
「あいつに手ェ出して、親父さん出て来られたらさすがの公爵様でも、ちょいと面倒くせーんじゃねぇか?ガキには興味ねーだろうし」

胸元のボタンを一つずつ外しながら、更にオルヴァーは続ける。
「なぁ、俺とイイコトしようぜ?な?…公爵様」
「いいだろう」
手を引かれ、どこかへ連れて行かれるオルヴァーを断腸の思いで振り切って、ヘルゲは屋敷の外へ出た。

門番は居らず、簡単に敷地の外へ出られたことに安堵したが、さてこれからどうしよう。何をされるか、どんな目に遭うのかわかっていて、オルヴァーを置いてなんて行けない。せめて、どこか安全なところにムネレイサス様をお願いできたら…。そう思いながら、路地の塀に、もたれかかった時だった。

突然塀から腕が生えてきて、ヘルゲの口を塞ぎ、目の前にぴらっと紙が広げられた。

壁や塀から腕が生えてくるわけがないが、さっきは床から壁が生えてきたんだ、きっとこれは精霊使いの力に違いない。半ば自分に言い聞かせるように、足腰に力を入れ、なんとか目を見開いて、目の前の紙の文字を読んだ。そうしないと、驚きと恐怖で、腰が抜けそうだった。いくら精鋭部隊とは言え、精霊関係は管轄外なんだから。

『加勢したいので声を出さないでもらえますか?』
文字の意味を理解したヘルゲは口を塞がれたまま、大きく首を縦に振った。紙を持った手と、口を塞いだ手。そのまま解放されるのかと思ったら、今度は2本の腕が肩と腹のあたりに巻き付いて。ヘルゲは塀の中へ吸い込まれていった。抱き抱えたムネレイサスごと。

壁の中へ吸い込まれたのだから当然視界は真っ暗になり。恐怖でまぶたをぎゅっと閉じながら。加勢してくれるのだから、今は信じるしかないと思った時だった。トントンと肩を叩かれ、ヘルゲは恐る恐る目を開いた。

「ヴィ……!!」
目の前にいた人物の、名前を呼んでしまいそうになって、慌てて言葉を飲み込んだ。加勢してくれると言った人物は、公爵次男、ヴィクトルだった。

「もう喋っても大丈夫ですよ。あの場で私の名を出されるのはさすがにまずいので。驚かせてすいません」
ムネレイサスを拐ったヘンリクの弟で、今、オルヴァーを連れていったグランクヴィスト公爵の息子なのだ、確かにあの場で名前を声に出されるわけにはいかないだろう。普通の人間なら絶対に聞こえるわけがない建物の外ではあったが、彼らは精霊使いなのだから。

何はともあれ顔も見えなかった相手の正体がわかってホッとしたことは間違いない。得体の知れない物に対する恐怖はなくなって、回りを見渡すと、どこかの地下室であるらしい。聞きたいことはたくさんあったが、とにかくオルヴァーを助けに行かなければという意識が勝った。しかし、それにしてもだ。

「私に加勢するって、本気ですか?」
「そうですね、罠だと考えるのが普通かもしれませんね」
ヘルゲは、警戒心を解かなかった。確かにヴィクトルは、こっそりと『公爵家で一番マトモ』と言われている人物だ。主に青服庁舎内、ヘルゲが所属する第一班通称ドーグラス隊の中で。

ドーグラスは国王ヨハンネスがまだ王太子であった時、つまりまだ先代が存命だった時に、ステーンよりもアルフォンスに仕えることを選んだ。
何故自分がアルフォンスを選んだのか…など、上司からいつも聞かされているヘルゲ含めたドーグラス隊が、アルフォンス寄りになるのも当然のことであった。

「信じて頂けるかどうかわかりませんが、私も、オルヴァー殿と同じように、隠し部屋に連れて行かれたことがあるのですよ」
「え…っ?」

穏やかなヴィクトルの表情に嘘はないような気がする。が、いくらなんでも息子の身体を売るような親がいるのだろうか。ヘルゲには理解できなかった。

「父が必要としているのは兄だけなので。私は単なる道具なんです」
「無条件で信じろなんて言われても、それはちょっと厳しい。けれど、あなたが協力してくれなければ、私は恐らく、友を救出できません」
ヘルゲの目を見て、ヴィクトルは頷いた。

「加勢すると言っても、私がおおっぴらに精霊の力を使って、彼を父のところから救出するわけには参りません。そこは、1人で頑張って頂かなければならないのですが」
「そのつもりだった。最低でも一発殴らねば気がすまない。…あ、申し訳ない」
敵が、目の前の人物の父親だったことを思い出して、慌ててヘルゲは謝罪の言葉を口にした。
本当は同じ目に遭わせてやりたいが、そんな時間はないだろう。何よりオルヴァーの救出が一番だ。

「構いません。私も、出来れば父には、被害者と同じ目に遭って欲しいと思っています」
「なかなか過激だな」
「ムネレイサス様のこんな姿を見たら、誰でも過激になりますよ。父や兄が直接手を下したのではないとは言え。この子が何をされるかわかっていて、兄は拐ってきたのですから」

ヘルゲのマントにくるまれたムネレイサスはまだ気を失ったままだった。ヴィクトルの言葉は、ごく真っ当なものだと思う。一緒に暮らして、こんな、次男だけがマトモに育つことなどあり得るのだろうか。いや、兄弟でも一緒に暮らしたとは限らないが、ヴィクトルとヘンリクは母親も一緒だったはずだから、多分同じ屋敷で育てられたと思う。

「父が気絶すれば、精霊の力も消えます。ですから、不意を打ち、一撃で確実に気絶させて下さい。申し訳ないが、それしかおそらく勝ち目はない」
「不意打ちったって…」
さっきは2人いたからなんとかなったのだ。オルヴァーの爆発物もあったわけだし。

「オルヴァー殿には本当に申し訳ないのですが、行為に夢中になっている時が、一番狙い目だと思うのです」
「ちょ、あんた!」
できることならオルヴァーが手を出される前に、一刻でも早く助けたいと思っていたが叶わないのだろうか。

「父が気絶した後の逃走はお助け致します。父は今、隠し部屋ではなく2階の自室ですので、窓からでも飛び降りて下さい。着地の心配はいりません」
それが一番確実なのだろうか。他にもっといい救出方法はないのだろうか。

「…ヘンリク様は?公爵が気絶したって、ヘンリク様がまだいるんじゃ?」
「兄はもう、自分の屋敷に帰ったようです。そもそも、兄はあまり、法務大臣が好きではないらしく、それで父を呼んだようなので」
いないと聞いていた公爵が迎賓館にいたのはそういうことだったらしい。

「あとは、従者や侍女がいますが、気にする必要はありません。あ、門番は、門番専用の控え室で、眠ってもらってます」
さっき出てくる時に門番がいなかった理由もわかった。ここまできたら、ヴィクトルを信用するしかない。

「ヴィクトル様、あなたを信じます。俺が行ってくる間、ムネレイサス様をお願いします」
まだ気を失ったままのムネレイサスをヴィクトルはそっと抱き寄せた。

「ところで、ここはどこなんです?」
「ああ、ここは、迎賓館の2軒隣の方の地下室です」
「…はぁ?」

ヴィクトルが言うには、全く知らない人の屋敷であるらしい。精霊使いの盗聴対策には、全く知らない人の屋敷が一番有効なのだそうだ。いくら強い力を持っていても、見知らぬ人の家に対して、覗き見たり盗み聴いたりはしないからという理由で。見知らぬ人が何を話そうと、何をしていようと、それを知ったところで、その情報には何の価値もない。

「つまり不法侵入?ということですか?」
「そうなんです。ただ、この屋敷に住んでいるのは老夫婦で。この時間ならもう寝ているので、見つかることもないかと」
「そういう問題なんですか?」
ヘルゲが大きな声を出したことで、ムネレイサスが身体を捩らせた。

「いくら寝ているとは言え大声は困ります」
「……誰」
目を覚ましてしまったムネレイサスは、身じろぎして、思いきり顔を歪めた。抱いていたヴィクトルにはその理由がわかる。

「ヴェスティン州アグレル領主、ダールクヴィスト伯が息子、及びリベラメンテ軍第1隊所属1班副班長ヘルゲ・ダールクヴィストと申します、ムネレイサス様」
「……あ、もしかしてオルヴァーの友達?……どうしてヴィクトル様が?…オルヴァーは?」
「これから助けに行くんです」

ヘルゲの言葉に、ムネレイサスは自分の代わりにオルヴァーが捕まっているのだと理解した。けれど、先生も大臣も、オルヴァーのような長身の成人男性には興味がないはず。となると、ヘンリクだろうか。自分が見なかっただけで、公爵がいる可能性も否定できない。なんせ、あの建物の持ち主はは公爵なんだから。

「ムネレイサス様。もう少しだけ、我慢して下さい。…ヘルゲさん、行きましょう」
左腕でムネレイサスを抱いたヴィクトルが右手でヘルゲの腕を掴んだ。3人は、今度は地下室の床に、沈んでいった。

************

「俺、あんたのことは嫌いだけど、やっぱりあんたが一番縛るの上手いよ、公爵様」
脱がされ、全身に縄を回された上、後ろ手に縛られたオルヴァーはベッドの上に膝で立っていた。完全に動きは封じられているが、どこもきつくないし、痛くもない。これだけ見事に縛られると、なんだか嬉しくなってしまう自分も相当だと思う。公爵が持ってきた鏡に全身が映る、それを見ているだけで、興奮してくる。

「私の従者になれば、毎日でも縛ってやるぞ」
「公爵様、さすがに俺ももうすぐ30よ?そんなんされたら、身体もたないわー」
「いや。…縛った上から制服を着て、仕事をするというのも、なかなか感じるらしいがね」
「うっはー、なにそれ超魅力的!でも仕事中ずっと勃たせてなきゃなんねーのは困るなー」

「それは縛られるだけで勃ちますと言っているようなものだが」
「事実だからなー。だってもう、感じてきたしー。なんかもう、熱いんだけど」
「さすがに今日は正直だな」
ベッドの上に上がってきた公爵に荒々しく唇を塞がれた。嫌だけど我慢我慢。ヘルゲは無事に逃げてくれたかな。

「んっ、ふっ…」
思いきり口の中になんか入ってきた。飲み込むまでキスやめてくれないんだろうなぁ。つーか絶対媚薬なんだけど。俺、大丈夫か?

鼻をつままれて実力行使されそうだったから仕方なくカプセルを飲み込んだ。少し口の中で溶けたか、苦い味がする。

「薬なんか使わなくても、俺の感度がいいのは知ってるでしょ?」
公爵は、相手が嫌がって泣き叫ぶのが好きらしいと聞いたのは、確か3回目に呼ばれた時だった。だから、基本的に同じやつは2度呼ばないし、最初に呼ばれた時に、何も聞かされてなかったのも当たり前だった。同じ人間を呼ばないのも、2回目は何をされるかわかってしまうから面白くないという理由。

俺の場合、痛いとか怖いよりも先に驚きがきてしまって、頭がついていかなかった。目の前で自分に起こっている状況を理解できなかった。だから、とうとう最後まで、泣けなかった。

3回目までは、どんな無茶をしてでも泣かせてやろうと思っていたらしい。だから、4人同時に相手させられたり、縛られたり叩かれたり吊るされたり、そりゃもう酷いなんてもんじゃなかった。毎回次の日は立てなかったくらい滅茶苦茶にやられた。そして、4回目、俺があまりに頑固だからちょっと趣向を変えようってことで、縛るだけ縛った後は一切痛みはなしでイカされまくった。いつもと違って、気持ちいいだけってのが逆に不安で、気持ちよすぎて、しかもイきたい時にイっていいだなんて、なんか不安でボロボロ泣いた。涙腺がぶっ壊れたかと思った。それが可愛かったっていうんだから、この人ほんと変態。

そんなことがあったって過去を、都合よく忘れられたらいいんだけどな。残念ながら今でも鮮明に覚えてたりする。どうせ変な薬使うなら、翌朝覚えてないようにしてくれたらいいのに。

「新しい薬のテストも兼ねているのだよ。君なら頑丈だし、薬無しの感度も知っている。まさにテストにはうってつけの人材だったな」
「ああ、そーゆーことですか。なに俺、朝まで解放されない系?」
「むしろ、朝が来る前に解放したことがあったかな?」

いや、確かにないんだけど。だから俺、もうあんまり若くないんだって。同じだけ、年齢を重ねて50歳を過ぎたはずなのに、公爵は元気ね。っつーか、そっちも薬なんかな。

「足を出しなさい」
膝で立っていた状態から座らされたから、当然後ろになっていた両足を片方ずつ前に出すと、するすると公爵が触ってきた。撫でるように触るだけだ。
「若くないと言いながら、しっかり鍛えているようで嬉しいよ。まったく、君の身体は本当に私好みだよ」
「ありがとうございますー」

本当にただ、撫でられているだけでもどかしい。だんだん薬が効いてきたのか、撫でられたふくらはぎがなんだか熱くなっているような気はするけど、もっと、いろいろして欲しくなってきた。

「公爵様、もっと、上の方、触って欲しいっす」
「上とは、どこかね?」
公爵は、手を伸ばして内腿を撫でた。惜しい。もう少し上、もうちょっと。触って欲しくて勝手に腰が揺れ動く。うわぁ、荒い息で物欲しそうな顔した変態が、鏡に映ってるわー。俺だけど。

「もっと、上、です」
「このへんか?」
「ひあぁあ」
撫でられてたのは脇腹だった。確かに上だけどそうじゃない。公爵のいいように流されているのはわかっていたけど、もどかしくて泣きたくなってきた。

俺の反応を見て楽しんでいる公爵の肘のあたりに唇を寄せる。その瞬間、パンッと頬を張られた。たいした力じゃないが、不意だったのと、縛られているせいでバランスが上手く取れなくて、俺は横に倒れてしまった。

「何をしたいのか言ってみろ。私が喜ぶ答えが、言えるかな?」

横向きに這いつくばったような状態で顔だけを上げると、完全に蔑んだ目で俺を見下ろしていた。ゾクゾクする。マルティアス様には絶対してもらえない、ゴミを見るような目。身体が熱い、熱い、たまんねぇ。
「こ、公爵様の、足で、いいので、俺に舐めさせてください。ご奉仕、させて、ください」

「本当に今日は素直だな。ちょっと物足りないくらいだ」
そりゃね、ヘルゲたちの逃げる時間稼がなきゃなんねーってのもあるけどさ。さっきの薬が効いてきて、全身どこも熱くて熱くてしょーがねぇんだよ。早くぐっちゃぐちゃにして欲しいんだよ。

「まぁいい。足とは言わず、ほれ。まずは綺麗にしてもらおうか」
公爵がズボンを下ろした。
「ありがとうございます」

ベッドに座った公爵の前に膝を擦っていって移動する。身体が疼く。こっそり乳首と股間をシーツにすりつけてみたけど、縛られてるからイケるわけがねぇ。辛い、苦しい、刺激が足りねぇ。我慢させられて、限界を試されているような、それがたまらなくいい。

じゅぶっじゅぶと音を立てて喉の奥まで押し込むと、本格的にスイッチが入る。痛め付けて、欲しくなる。無理矢理自分で、限界まで喉の奥に突っ込むと、苦しすぎて一瞬意識が飛ぶ。

「そんなに奥までくわえて、苦しくないのかね?……ああ、そうか、苦しいのがいいんだったか?」
「んんんんーーーっ!!」
無理矢理頭を押さえつけられて涙があふれた。

「ああ、やはり君はいいよ。これをやるとな、たいがいのやつは無理矢理逃げて口を離すか暴れるかでね」
そりゃそうだろうと思いながら、でも、酷くされることで感じてる俺がいた。もっとくれよ、刺激を。

「イキたそうだな?」
すっかり硬くなったものを、公爵の足で弄ばれる。そのまま思いきり踏み潰されたい。蹴ってくれてもいい、痛みに悶絶したい。懇願するように上を見たが、公爵はもう少し、弄ぶつもりらしかった。弱い刺激しかくれない。

「ここも相変わらずなのか?」
「んーっ!!!!」
俺のスイッチがどの程度入ったかどうか確認したかったのだろう。突然乳首を捻り潰されて、口を離してしまった。根本で縛られてなきゃ、多分今ので逝った。失神したかもしれない、それくらい強い快感だった。

「はぁ、はぁ、はぁ、っ」
「誰がやめていいと言ったかね?」
髪の毛を捕まれて上を向かされる。自分を見下す冷たい視線。たまらない。
「申し訳、ありま、せん。お仕置き、してください」

「まぁ、しかし。前より敏感じゃないか?それとも、薬が効いてきたのか?」
「両方、かな」
答えると髪の毛を捕まれ、上体を引っ張りあげられたような態勢で、公爵は乳首に歯を立てた。

「うはぁっ、ああああっ、あっ、あ、あ、ああああああああっ、うはああ、はっ、も、っと」
悲鳴を上げながらびくんびくんと身体を痙攣させる俺の姿が、向こうにとっては快楽のスイッチ。容赦なく噛みつかれて、頭の中が痛みで真っ白になる。いや、痛みはもう、とっくに快感に変わってる。強烈だ。

まだ痙攣している最中に今度は反対。柔らかく舐められて吸われて、痛みが治まったと思ったらまた歯が立てられる。
「ひぃあああぁあぁあぁ!あっ、ぁああっ、あ、ぁ、っ、うはっ、ぐはっ、い、いた、痛い、うはあああ」
悲鳴を上げながらボロボロ涙を流す俺を、公爵は満足そうに見下ろしていた。嫌がる相手を無理矢理組み伏せて、助けを求めながら泣いてる姿を見るのが一番好きだけど、俺みたいなのも悪くないって、気づいたんだってさ。俺のせいで。

「君が泣いて懇願するまで入れずに責めてやろうかと思ったが、路線変更だ」
「あ、は、っ、く、下さい、っ。…俺の、奥まで、突っ込んで、いっぱい、突いて、っ、無茶苦茶にしてっ」
ベッドに転がされて、少々乱暴に入り口を慣らされた後は一気に貫かれた。

「あっ、んはっ、あ、ああっ」
「相変わらずの名器で嬉しいよ」
よく言われるけど、それだけは、自分ではよくわかんねぇっての。


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