□title list□
 ※水色部分にカーソルを合わせると
 メニューが出ます

あけましておめでとうございます、オメガバースです。
冬コミの後のオフ会でオメガバースで盛り上がってしまいまして。
設定考えていたらなんか盛り上がって来ちゃったのでカプ量産しようかと思います。
八百万界の独自設定てんこもりです、すいません
あ、初めてのハンモチですw
ゴエモンさんとサイゾウくんはタンバさんが産めばいいと思ったんだ←

夜明けまで


しんしんと、静かに雪が降る夜だった。
気配すら殺さず、言い換えるなら無遠慮にハンゾウの寝室に入ってきて、布団の中に潜り込んできた男の肩を抱いてやると身体を押し付けられて、唇を重ねられる。その、甘い甘い口吻を、拒めないのではなく、拒まない自分がいる。

同い年で幼馴染のモモチタンバがこうやって、ハットリハンゾウの布団に忍んで来るようになったのが、一体いつからだったのか、もう覚えていない。
「ハンゾウ……」
熱を帯びた低い声で名前を囁かれる。この世のものとは思えぬほどの造形美。かつて誰かがそう評したモモチタンバの美形と、艶っぽい声に落ちないアルファがいたら、見てみたい。
寝巻きをはだけさせられ、下履きを降ろされる直前で、ハンゾウはその手を止めた。

「待て、タンバ」
「……なんだ?」
すっかりその気になっていたのであろうタンバの声は、あからさまに機嫌が悪い。
「今日はその前に話がある。聞け」
「……なんだ」
面倒臭そうなタンバを膝の上に乗せたまま上体を起こす。本気のアルファに力では絶対敵わないと理解しているタンバはおとなしい。

モモチタンバ。伊賀の上忍を束ねる三つの家の嫡子に生まれながら、彼はオメガだった。
だが、本人がそのことを悲観した様子はない。むしろ、好都合と受け取ったフシさえある。なぜなら、自分たち忍が、情報を取りに行く相手はだいたいアルファだからだ。
オメガが出す甘い匂い、すなわちフェロモンにアルファは逆らえない。ましてやモモチタンバの顔である。本能のままにオメガを抱くことになる。それを利用しない手はないと、本気でタンバは思っていた。
タンバの手は、後から『あいつは下手だった』とか『あいつは縛るがの好きらしい』とか。後からいらない情報をハンゾウに話して聞かせること以外は、実に合理的な手段であった。なぜなら、お互い裸で、身体を重ねているからこそ、口も軽くなるというものだからである。目の前で大いに乱れ、よがり、喘いでいるオメガが凄腕の忍だなんて、誰も思わないものらしい。

「お前は、独神、という存在を聞いたことがあるか?」
「独神。……いつだったかの諜報活動の時に、聞いたことはある」
「ならば話は早い」
この世界に『悪霊』と呼ばれる存在が攻めて来て、世界を滅ぼそうとし始めたのは2年ほど前の話だ。

山奥の田舎であるこの伊賀の里に、実質的な被害はまだ出ていないが、江戸や大坂のあたりはそもそも畑に作物が育たないという話を聞く。
このままでは、被害が八百万界全土に広がるのも時間の問題だという話もある。

そんな絶望的な世界にあって、一人立ち上がり、悪霊と戦っている存在を『独神』というらしい。
独神という名ではあるが、彼(?)は、神族にも属さず、性別もないのだとか。その独神は、腕に覚えのある者を集めて、悪霊と戦っているという。

「その独神がどうした?……まさか、独神の本殿に呼ばれたとでも言うのか?」
「そのまさかだと言ったらどうする?」
膝の上に乗って、それまでおとなしくしていたタンバが一瞬動揺を見せた。と言っても顔には出ない。ごくごく親しい者にしかわからない程度の変化だ。

「貴様が行きたいのであれば、好きにするがいい。貴様はアルファだ、その資格は十分にあるだろう」
つんと、そっぽを向いた幼馴染が可愛くて、ハンゾウは腰を抱く腕につい、力を込めてしまった。
「独神の手紙には続きがあってな」
その手紙には、『もし貴方に、番となるオメガがいるのであれば、一緒に来てください。歓迎します』と、綴られていた。

「さて、タンバ」
背中と腰を抱いたまま体勢をひっくり返す。珍しく、布団に押し倒されるような形になって、タンバは水色の瞳を大きく見開いた。
「お前が俺のものになる、というなら考えてやらんでもない」
「誰が、貴様のものになど。……好きにしろ」
「そうだな、これを言って、素直に傅くお前ではないと思っていた」
いつも好き勝手に上に乗って腰を振るタンバの寝巻きの前を無理矢理はだけさせ、白い肌に唇を落とす。

「ん、ぁ……」
嫡子がオメガだったと、モモチ家の者に打ち明けられる前からタンバの甘い匂いには気づいていた。知られてしまったのなら隠す必要もないと、上に乗ってくるタンバに、合わせた肌の心地よさに、いつしか惚れていたのは否定できない。
こんなものなのだろうか?と、一瞬思ってしまったが、ハンゾウはアルファだった。相手には困らない。男も女も適当に引っ掛けてヤってみたが、どう足掻いてもタンバとするのが一番気持ちがいい。これはつまり、そういうことなのだろうと、諦めにも似た境地に達するのは案外早かった。

唇を重ねて、舌を絡ませるだけで、ずいぶんと感じてくれているらしいタンバの後孔をするりと撫でる。
「ぁ。っ、んあ、ハン、ゾウ」
びくんびくんと身体を跳ねさせてハンゾウにしがみついてくるタンバのそこは、もう慣らす必要などないほどに濡れそぼっていった。

「タンバ、挿れるぞ」
片足を持ち上げると眉根を寄せたタンバがぎゅうっと枕を掴む。
ぐっと腰を進めると、タンバのそこは、抵抗することなく、難なくハンゾウの中心を飲み込んだ。
「ハンゾウ、あつ、い」
「お前の中も、今日はすごいぞ。どうしたんだ?」
演技ではなく、心底タンバが感じているのがわかる。番になるかと問うたたったその一言だけで、感情が入るだけで、こんなに感度は変わるものなのだろうか。

「タンバ。お前の匂いで、くらくらする」
「そっ、れは、っ、こちらの、台詞だ……っ」
ぎゅうっとタンバの中が締まってハンゾウは夢中で唇を重ねた。その唇が、離れるか離れないかの距離で。
「お前のような淫乱を野放しにしておくわけにはいかない。俺のものになれ」
「うる……さいっ!」
言葉とは裏腹に脚を絡めてしがみついてくるタンバを一度ぐっと抱き寄せて。ハンゾウはタンバのうなじに噛み付いた。

「はぁ……ァ……あ」
自身の出したもので腹の上を汚し、ぐったりと布団に沈み込む幼馴染を見て思ったのは『やっと手に入れた』という安堵感だった。

「タンバ……これでお前は俺のものだ。もう誰にも渡さん」
「……ハンゾウ、言っておくが、お前のものになってやったんだ、浮気したら、切り落とすぞ」
どの口が浮気の心配をするのかと言ってやりたかったが言えなかったのは、未だ繋がったままでしっとりと汗をかいたモモチタンバの色気に当てられたのかもしれない。

「安心しろ。おそらく俺は、お前でしか勃たない」
「ふふ、そうか。……ではせいぜい、俺を満足させてくれ」
生意気なことばかり紡ぎ出す口を、塞いでやって、それから。硬さを取り戻した自身で再度、タンバの中を突く。
「うぁっ!……んんっ、ア、あうっ」

任務で身体を使う時にはそれこそ、わざと大きな声で喘いで見せることもあるタンバが本気で感じている。取り繕うことも、耐えてみせることも忘れて、ただただ与えられる快楽に身を委ねているという現実にハンゾウは酔った。
結局どうやったって、アルファの本能は征服欲で、オメガを自分だけのものにしておきたいのだ。
この日は夜明けまで、モモチタンバの嬌声が止むことはなかった。

番になった後も、独神本殿に行った後も、やっぱりモモチタンバの浮気グセに悩まされることになろうとは、ハットリハンゾウはこの時は、微塵も思っていなかった。






















このページの文章・画像は引用を含んでおり、著作権はDMM.com及びrejetに帰属します。 文章・画像の無断転載は固くお断りします。
All fanfiction and fanart is not to be used without permission from the artist or author.