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今日からいよいよ、女装で売り子をやらなければいけない。

お昼はどうする?


「遅いよー高杉っ!」

辰馬と一緒に学校に来て、剣道場に到着した俺に銀時が浴びせた第一声がそれだった。朝早く近藤達とマンションを出て行った銀時は、とっくにナース服に着替えていて、おもちゃの注射器まで持って、お前はどんだけやる気マンマンだよ?

「高杉ィ、とりあえず今日はセーラー服で頼む」
「はァ」

模擬店の準備を始めている近藤にセーラー服を渡されて、俺はあきらめて更衣室に入ろうとした。

「あ、高杉ィ!土方君が着替えてる!」
「アイツ、来たのか?」
「顔真っ赤でさ、具合悪いみたいよー」

昨日1日中連絡がつかなかった土方。沖田と何かあったんじゃないかって心配してたんだけど、普通に体調が悪かったのか?とりあえず声をかけて更衣室の中に俺も入る。確かに、熱でもあるような顔で、土方が更衣室の端にうずくまっていた。

「おい、土方、大丈夫かァ?」
「たか、すぎ、か?…だい、じょぶ、だ…」

メイド服のボタンを留めようとしている土方の指が少し震えている。そして、袖で隠れてほとんど見えないけれど、土方の手首に残る痣に、俺は気付いてしまった。それは、俺が初めて土方に会った時にあったのと、似たような感じのモノで。

「おい土方ァ」
俺は土方の隣にしゃがみ込んで、小声で囁いた。

「昨日どーしたんだ?誰にも言わねーからさ」
「なんでもなっ、ァっ…」
かくんと土方の膝から力が抜けてボタンを留める手が床についた。

「全然なんでもなくねーじゃん、お前」
ボタンだけでも留めてやろうと思って、更に近づいた時、俺は、ほんの僅かながら『ぶーん』という振動音が土方から聞こえてくることに気付いてしまった。

「お前、もしかしてさ」
ペタっと土方の胸のあたりを触ってみると、有り得ないはずの卵型の塊がシャツごしに感じられて。

「ァ、やっ、やめっ!高杉ッ」
土方の顔が赤いのって、熱のせいでもなんでもねェじゃねェかっ!

俺は着替えるのは後回しにして、ポケットから携帯を取り出して直ぐさま沖田の電話を鳴らした。
沖田は、コール3回ですぐに電話に出た。

「お前、土方に何してんだよっ!」
『お仕置きでさァ』
俺からの電話を予想していたのか、ケロっとした声で沖田は応える。

「お前、これじゃー、土方売り子なんかできねェだろーがよ!」
携帯を持っていない方の俺の右腕を掴んで、土方は必死で首を横に振っていた。

『土方がそう言ってるんですかィ?』
「いや、本人は大丈夫だって言ってるけどよ」
『じゃあ放っといて下せェ。浮気のお仕置きなんでさァ』
「浮気って…お前なァっ!!」

勢い余って俺は話しながら立ち上がる。確かに、土方はこないだ近藤とヤっちまってたけど。でも、それって、俺としょっちゅうヤってたお前が言えることなのかよっ!

『昨日からずっと我慢させっぱなしですからねィ、襲われる前に高杉もさっさと更衣室出なせェよ』

…って、アレ?なんで沖田は俺も更衣室にいるって知ってんだ?と思っていたら、扉が開いて、携帯を持ったままの沖田が更衣室の中に入ってきた。しっかりと扉の鍵まで内側から閉めて、携帯をしまい込む代わりに取り出したピンク色のモノをカチカチと弄り始める沖田。

「んァアアっ…」
更衣室の一番奥で床に突っ伏した土方が悲鳴のような声を上げた。辛うじてさっきまでしゃがんでいたけれど、今はそれすら無理みたいだ。

「昨日から入れっぱなしなんでさァ」
ニヤリと笑う沖田が持っているのは間違いなくコードレスバイブのコントローラーだった。

「…。もう、好きにしろよ、馬鹿っ!」
俺は、2人から離れたところで、さっさと着替えを済ませ鍵を開けて更衣室を出た。出る直前、チラっと見たけれど、土方は赤いロープで縛られている上からメイド服を着ているようで、せっかく留めてやったボタンをはだけさせられながら、嬉しそうに沖田のを舐めていた。
お前ら、頼むから変なトコでヤルんじゃねェぞと思いながら。あんまり見ていたら勃ちそうだったから、慌てて深呼吸をした。

「近藤、土方今日も無理っぽいぜ」
11月だってのにTシャツを肩まで捲くり上げて忙しく荷物を運び出している近藤に声をかけた。

「ああ、総悟が看ててくれるから大丈夫だろー?しかし、似合うなァ、高杉」
沖田が来てるから余計使いものになんねェんだっつぅの!と思いながら、俺は近藤と一緒に剣道場を出て、模擬店の場所まで歩いていった。

***

「はぁ〜い、そこのお兄さァん、アタシにぶっとい注射してェん」
「お前、下品スギっ!」

近藤達が忙しくフランクフルトを焼いている横で、俺と銀時が呼び込みをかけている。だけど、さっきから銀時は男にしか声をかけないし、かけてる言葉も下品極まりない。

「いいじゃん、晋ちゃん。オットコマエにはサービスしないと〜」
くねくねとしなを作って見せる銀時の右手にはやっぱり注射器。

「お前の『男前』は、世間一般とズレてんだろーが」
「ちょっと晋ちゃん、なんで知ってんのよ〜?誰から聞いたの?辰馬?」
「お前なぁ…」

そんなもの、別にわざわざ聞かなくたって、一緒にテレビ見てたらわかるっつぅの。テレビに映る、渋めの壮年の俳優とか見て『イケる〜』って呟いてんのお前じゃん。俺とは全く好みが被らないからいいんだけど。

幸か不幸か、俺達の女装とそんなクダラナイしゃべりのせいで、フランクフルトは順調に売れていく。なぜか、俺と銀時を並べて写真に撮りたがる客もけっこういた。あんまり嬉しくはないんだけど、『可愛い』と連呼されるのも…どうなんだろう?

「すまんなァ、2人共!交代で休憩してくれなァ」
Tシャツ1枚に首からタオルを下げて、やたらガテン系の近藤が横から言ってくれる。

「じゃー晋ちゃん、ジャンケンしよ」
いちいち『晋ちゃんなんて呼ぶな』と言うのも面倒臭くなってきて、そのまま放置していたら、ずっとそう呼び続ける銀時が俺の前に拳を出しながら言った。

「別に、お前が先で構わねーぜ?」
「そう?じゃあ銀さん行ってきま〜す」
パンフレットと財布と携帯だけを持って、銀時はふらふらと人の波の中に消えて行った。
しゃべる相手がいなくなった俺に、タオルで汗を拭きながら近藤が声をかけてきた。

「坂本は?今日はどこにいるんだ?」
「え?…いや、俺全然聞いてないんだけど」

どうせやらなきゃならないことがいっぱいあるんだろうなって思ってた。いたるところで、ナントカコンテストやら、ラジオ放送(の真似みたいなもの)とか、ライブや演劇が引っ切りなしに行われているからだ。

「そうかァ。桂は今日は運動会の司会だって言ってたぞ。だから今日だけ手伝えないって」
「そんなのもやってんだ」

本当に、お祭なんだなぁと思った。結局パンフレットをよく見ていないから、俺は全然よくわかっていなくって。
だけど、実を言うと、昨日のことがあったから、1人で学内をウロウロするつもりも、あんまりなかったんだ。

「いらっしゃいませ〜」
近藤と話しながらでも、売り子をしていた俺の目に止まったのは、知っている顔だった。

「東城じゃん!」
「高杉君、近藤君!…って、なんでゴスロリじゃないのォ!」
「…お前な」

こっちに近づいてくるなりの一声に、俺は拳を振り上げたけど、周りの視線が気になって、殴り飛ばすのだけは辛うじて我慢した。

「ほら、東城。1本やるよ」
「本当にっ?」

東城の貧乏ぶりは、当然近藤も知っているけど…って言うか、きっと東城は、最初からソレ狙いで来たに決まってる。

「高杉、そろそろ銀時も戻ってくるだろうから、東城と休憩に回ってきていいよ」
俺が1人じゃ無理なのがわかっている近藤は、東城が現れてちょうどいいと思ってくれたらしい。

「えっ、でも俺はっ」
うろたえる東城だけど。安心しろって、いくら年下でも、お前におごってくれなんて言わないからさ、俺は。

「東城、幾松さんはココ。阿音さんがココで模擬店やってるはずだぜ」
近藤は、校内マップを広げて東城に場所を教えてやっている。幾松さんも優しいから、きっと東城になら1杯くらいタダでラーメン食べさせてあげるんだろうなァ…ってのがわかってしまった。

俺も銀時同様、携帯と財布だけ持って東城と並んで人波の中を歩く。セーラー服って目立つかと思ったけど、ちょっと歩いただけで、けっこうな数のコスプレや仮装の学生が溢れていた。

「今日は、坂本は何してる日なんだ?」
東城に聞かれたんだけど。

「俺、全然聞いてないんだけど…」
東城を呼んだのは辰馬らしい。せっかくだから、3日間でお腹いっぱい食べておけって。きっと辰馬のことだから、ある程度はおごってやるつもりなんだろう。

「電話しても全然出ないから、忙しいのかな〜」
きっと辰馬をアテにしていたであろう東城が溜息をついている間に、俺達は幾松さんのラーメン屋に到着した。
相変わらず、幾松さんは1人で頑張っているみたいだった。

「あー、高杉君、東城君!手伝ってよォ!」
俺は昨日食べて知っているけど、かなり美味しかったから。やっぱり1人じゃ手が回らないらしい。

「東城君、手伝ってくれたら、いくらでも食べさせてあげるわよっ!」
この一言は、相当効いたらしい。東城はすごい勢いでカウンターの中の幾松の隣に立った。

(おいおい、結局俺1人かよ…?)
昨日みたいに倒れちゃったら、どうしよう。

***

酔っ払った近藤と浮気してしまったことを、正直に沖田に謝ったせいで、土方はずっと、お仕置きされっぱなしだった。昨日から連絡が取れなかったのも、それどころではなかったからだった。

彼ら以外に誰もいなくなった剣道場には、土方の悲鳴にも似た声が響いている。
そして、なぜかこの場に、呼ばれて参加しているのが坂本だった。

縛られたまま、立ちバックで激しく沖田に突かれて喘ぐ土方の前に座り込んで。土方のモノをねっとり舐め上げているのが坂本。
前後から与えられる快感に、叫びすぎた土方の声は掠れていたけれど、2人は全然、やめるつもりなんてなかった。

「ぃゃっ、やだっ、そう、ごっ!イク、イクっ、出るっ!」
「出してもいいぜよ〜」
「ホラ、イっちまいなァ、土方」

沖田が後ろから、土方の乳首に取り付けられた洗濯ばさみをぎゅうっと抓ると。

「ああああああーっ!」
がくっと力の抜ける土方の身体を、両手で精液を受け止めながら支えてやる坂本。どうやら、沖田も1回目の限界を迎えていたらしい。

「沖田君〜、わしも入れてえいかのう?」
「もちろんでさァ。だから呼んだんですぜィ」
ズルッと自身を引き抜きながら答えた沖田の声は冷たかった。

「やっ、ヤダっ!総悟じゃなきゃヤダっ!」
力の抜けた身体で、必死に抵抗しようとする土方だったけれど。

「よく言いまさァ。浮気しといて。この淫乱が」
「そう、ごっ…」
半泣きで何度もイカされっぱなしの土方に、なぜだか興奮を覚えてしまった坂本は。

(まー、沖田君がいいって言っとるしの)
胡座をかいて座った自分の上に、土方の腰をぐっと掴んで降ろしていった。

「うわぁぁぁぁああ、あああ…」
イったばかりで敏感な中心は、触られただけでおかしくなりそうな程の快感をもたらすというのに。

「坂本のデッカイの入れてもらって、ずいぶん嬉しそうですねィ」
さっきまで、ガムテープで乳首に貼付けられていたローターを、俺の中心に宛う総悟。

「あああっ、ァあーっ、んアアーっ」
1日中縛られてベランダに吊されて身動き取れないまま責められて我慢させられてた昨日も辛かったけど。こうやって2人がかりでイカされっぱなしも辛い。今日こそ絶対に、狂ってしまうかもしれない。

快感に全身を支配されたまま、土方はぼんやりと、頭の片隅でそんなことを思っていた。


続く



土方君の受難はまだ続く?坂本君は、晋ちゃんのしか飲みません!←何?(爆)






















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