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誰かに見られているような気がした。顔を上げたら、見えたのは新宿のネオンと周りの風景。公園だった。

ひとりで眠ることが


(や、やだっ!なんで俺っ)
こんなところにいるんだよ?

持っていた煙草の火も消さずに捨てて、俺は走って逃げようとした。だけど、足が動かなくて。

『逃がさねえぞ』
『ふざけやがって、このガキ!』

怒鳴りつけられて、俺の身体は、あっという間に殴られてベンチから引きずり落とされ、地面に叩きつけられた。

「嫌だっ、やめろっ!」
叫んでみても喚いてみても身体はビクともしないくらい、10本の腕で押さえ込まれている。
下着ごとジーパンを脱がされた後は、どうなるかなんてわかりきっていた。

『なんだ、やっぱりそこそこ使ってんじゃねぇか』
遠慮なしに秘部に指を突っ込まれて悲鳴が出たけど、それすら奴らには快楽の種でしかないみたいだ。

『イイ声出すなァ、ガキ』
『楽しませてくれよぉ』
言いながら、無理矢理突っ込まれる男のモノ。

(痛ぁーっ!!やだ、やだ、やだ、やだっ!)
口の中にも誰かのモノを突っ込まれて声も出せない。

(助けて、辰馬…っ)
男達の汗の臭い、精の臭い、土や草の臭い。このまま、奴らが飽きるまで、俺は性処理道具にされるんだろうか。

(もう、死にてェ…)
「晋、晋っ!!」
誰かの太い腕が、救い上げるように俺の身体を抱きしめたのはその時だった。

「晋、晋!しっかりしぃ!」
「……た、つま」

シャワーでも浴びていたのか、髪の毛から雫を垂らしてタオルを被り裸のままの辰馬。その胸に必死でしがみついて、俺は号泣した。

「晋、またあの夢見たがか?」
「うっ、ふっ、…うん、っ」
「もう、大丈夫じゃから。大丈夫じゃよ」

何度も何度も辰馬が耳元でそう囁いてくれて。ようやく俺は、あれが夢だと、もう今は大丈夫なんだという実感が沸いてきて。きつく抱きしめられて、辰馬の心臓の音が聞こえる。

「辰馬の馬鹿っ!…っく、あんなのっ、あんなの見たからだっ」
辰馬がほかの人とイチャつく姿。それは、俺が自覚していた以上に、俺にとっては精神的ダメージがデカかったみたいだった。俺って、そこまで辰馬のコト好きだったんだ。嘘だってわかってても、ほかの人とイチャついたり、キスなんかしてほしくないだなんて。

「ごめんの、晋。ほんに、ごめんの」
頭を撫でてくれる辰馬は、シャワーのおかげで今はもう香水臭くない。だから、安心してくっついて甘えることができて。

「晋、顔上げて」
言われるがままに辰馬を見つめたら、そのまま唇を塞がれた。舌を絡めて強く吸いつかれて。
辰馬は、全然止まらない俺の涙をそっと指で拭ってくれた。

「晋、目腫れとるろ〜。寝る前も泣いとったんじゃろ?」
ごめんの、と頭を撫でられながら何度も何度も囁かれて。

「ああいうのがあるから、晋には2丁目でバイトしてほしくないんじゃよ」
「じゃあ、なんでお前はやってるんだよっ!」
「これでも、だいぶ減らしとるんじゃよ」

晋と一緒にいたいから、なんて言われてしまっては、俺はもう、それ以上の文句は言えなかった。

「最初に2丁目に出たのはの、たぶん晋が、沖田君に会おうとしたのと一緒じゃよ」
「え?」

俺は耳を疑った。だって辰馬って、目茶苦茶オープンじゃん。学内でも平気でイチャイチャしてくるしさ、俺と付き合ってることだって、隠してないじゃん。

「わしじゃって、最初からあんなに仲間おったんと違うんじゃよ」
にっこり笑って辰馬は過去を振り返って話してくれた。

高校から一緒だった陸奥と似蔵。だけど似蔵は理系で校舎は遠いし、陸奥とはお互い色々知り過ぎて、今更恋愛感情など沸かないと。執行委員会で知り合った小太郎とよく遊んでいたけど、学部が違うからなかなか時間も合わなくて。授業でよく会う近藤に声をかけられて一緒に並んで授業を受けたりしたけれど、近藤は明らかにノンケだし。うちで飲もうと、小太郎を誘った時に、同じ法学部の武市を連れて来て、似蔵とはあっという間にイイ感じになってしまった。

そうやってちょっとずつ、あのマンションでの飲み会メンバーは増えていったらしい。
「ちなみに、幾松は桂とバイト先が一緒での、服部はよくうちにピザを運んで来とったんじゃ」

飲み会の度に頼んでいたら、バイトの兄ちゃんの顔覚えてもうてのー。今度兄ちゃんも来ぃって誘ったんじゃ。そうしたらホントに来おってのぅ、と辰馬はいつものように笑う。

「じゃあ、阿音サンは?」
「阿音はちょっと変わったパターンじゃよ〜」

近藤に連れて行かれたキャバクラで、たまたまついてくれたのだと言う。近藤にはお目当ての子がいて、連れて行っておいてずっと放ったらかしにされて。仕方なくついてくれた子と話していたら、同じ学校だったことが判明したと。その時にはもう、辰馬はゲイバーでバイトしていたから、アフターに困ったらおいでって名刺を交換して。阿音がキャバクラでバイトしていることを秘密にするという約束で辰馬のマンションの飲み会にも来るようになったらしい。

東城は予想通りスーパーのタマゴ売り場。タマゴの鮮度で店員と喧嘩していた東城の前で、一番高いタマゴを買おうとした辰馬を、物欲しそうに見て来たから、ついつい声をかけてしまったらしい。

「でもわし、桂が晋助を連れて来てくれたんが、一番嬉しかったぜよ」
「だって、それは…お前」

昔、すっごく好きだった幼なじみに誘われたら普通行くだろ?入学式の直後で、万斉と別れたばっかりで、まだ友達も彼氏もいない時期だったから尚更だ。

「それより晋、この部屋、知っとった?」
立ち上がった辰馬は、ベッドの横の押し入れみたいになっている襖を開けた。そこにあったのは、押し入れではなくて、一面の鏡。

「なっ…、エロっ」
ホテルの薄いパジャマ姿の俺と、裸にタオルを首から掛けただけの辰馬。

「せっかく晋との初ホテルじゃしの。やっぱりやることはやっとかんと」
言いながらベッドに戻ってきた辰馬に抱きしめられて、また唇を塞がれる。

「ま、待てって!その前に俺シャワー…」
「寝る前に浴びたんじゃろ?」
そりゃそうだけど、中まではキレイにしてないっての!それに今、物凄く変な汗かいてたし。だいたい、お前が潰れてたから、まさかそうなるなんて思ってなくて!

「起きたらエロチャンネル付いとるんじゃもん。いきなり襲おうかと思ったぜよ」
「ば、馬鹿野郎っ!」

俺は眠くならないから流してただけなんだけど。静かすぎる中で寝るのが恐くて消さなかっただけなんだけど。でもそうだった、辰馬は普通の、男と女のエロビデオでも興奮できるんだった。

辰馬は、俺の背中に左腕を回してしっかりと支えたまま右手でパジャマをたくし上げていく。

「時間はまだあるし、それに今頃、近藤と土方君も楽しんどるよ」
「は?なんでだよ?」
近藤はノンケじゃん。酔い潰れていた土方が先に起きたとしたって。

「さっき土方君から電話あっての。わしらチェックアウトの12時までおるし、201じゃからって」

酔っ払ってる時の近藤は記憶が全くなくなるから、ヤリたかったらヤってしまいーって、言ってやったらしい、土方に。辰馬、鬼だろお前。

「そんなわけじゃから。今から何回できるかのー?」
「ば、馬鹿っ!やめろっ!」
「大丈夫じゃよ、怖くないからの」

言っている間にパジャマを脱がされて、座った体勢のまま首筋や胸に吸い付かれる。押さえつけられるような、覆いかぶさられるような体勢は、俺はまだ怖いから。

「ぁっ…、あうっ、た、たつ、まっ」
ベッドの端に座らされて、床に膝をついた辰馬が俺の中心を舐めてくれている。俺がしてやりたいっていうのに、辰馬はいつもさせてくれない。

「んあァ…、やだァ、辰馬ァっ」
俺は、あっという間に1回目の絶頂を迎えさせられてしまった。だから、毎回毎回飲むなっつうの!辰馬の馬鹿!
ようやく呼吸が落ち着いて目を開けたら、思い切り脚を開いて座っている自分の姿が鏡に映っていた。

(は、恥ずかしすぎる…)

「晋、エロい」
「ば、馬鹿っ!」
辰馬は鞄の中から青いチューブのゼリーを持ってきた。

「お前、もしかして持ち歩いてんの?」
「そうじゃよ〜」
いつどこで何があるかわからないからと。最低だコイツ。

「どの体勢がいいかのう?」
言いながら辰馬は、俺の背中に左腕を回して、斜めに倒した後でローションをつけた右手の指を俺の中に侵入させてくる。

「ぁっ、ふぁっ…」
たまらなくなって辰馬の首に縋り付いた。俺の喘ぎ声に反応して、胡座をかいて座った辰馬の中心がだんだん熱をもって勃ち上がってくるのがわかる。

「辰馬、たつまァ」
もう入れてようとせがんだけれど、辰馬は焦らすみたいに微笑んで指で俺の中を掻き回す。
ワケがわからなくなるまで散々弄ばれてようやく、俺の身体を軽々と抱き上げた辰馬がゆっくりと俺の中に入ってくる。

「ァァァァ…、あ、あっ、んあァっ」
お互いに正面から抱き合った状態で、しっかりと繋がっていた。俺が、覆いかぶさられるのが怖くなってからは、ほとんど座位でしかヤってない。

「晋、大丈夫がか?」
いくら指で慣らしたとはいっても、急激に中を拡げられていきなり動かれるのはちょっと痛い。背中に太い両腕を回して、ぎゅうっと抱きしめて待っててくれている辰馬が耳元で囁く。

「ウン…、動いて」
俺のその言葉を合図に、辰馬は下から俺を突き上げて揺さ振った。

「アっ、うあっ、あ、や、んあっ…」
「晋、見て」
辰馬の視線の先にはあの壁一面の鏡。真っ赤な顔で喘がされている自分の姿が、はっきりと映っていた。

「ば、馬鹿っ!」
鏡ごしに辰馬と目が合う。なんだかそれが、とてつもなく卑猥に感じられた。

「せっかく鏡あるんじゃから」
辰馬は一度俺の身体を抱き上げて離れて。鏡の前に正面を向いて座ると、同じく鏡に向けた俺の身体を降ろしてゆく。

「や、やだやだっ!馬鹿っ!」
繋がった箇所と、辰馬の手の中で糸を引いている俺自身と。それから、揺さ振られる度にのけ反って喘ぐ自分の姿が、全部鏡に映っている。

「やだやだっ、辰馬やだっ!コレ恥ずかしいっ!」
「晋、カワイイ」

膝を立ててはいたけれど、感じすぎて力なんか入らなくて、俺は辰馬に体重を預けてしまっていた。

膝の裏と身体に回した腕と腰の力で辰馬は俺を下から容赦なく激しく突き上げる。辰馬も感じてくれているのか、耳元に聞こえる呼吸が荒い。

「はァ…はァ…っ、ハァ、晋の中、気持ち良すぎじゃよ…」
…ゾクッとした。

「や、やだ!なんか変!」
自分が感じてる姿を見ているのが恥ずかしくて、耐えられなくなって。ぎゅっと瞳を閉じて顔を背けた瞬間、下腹部に重い、なんだか鈍い痛みが走った。今までに感じたことのない感覚だった。

「んああっ!たつ、なんか、なんか変っ!」
俺が喚いても、辰馬は構わず下から激しく突いてきて。わけがわからないまま、俺は自分の中心に目を向けた。

「ふあぁぁぁ…、やぁ…」
辰馬が下から突き上げる度に、俺の先端から白い濁液が次々と溢れ出していた。止めようとしても止まらない。腹筋に力を入れても勝手に漏れ出していく。

「た、つま…」
頭がぼうっとなって意識が霞んでいく。

「晋助、わしも」
辰馬の声で、一層深く奥をえぐられたのを最後に、俺の意識はぷつんと途切れた。

***

こちら205号室。

『わしも潰れてもうたんじやぁ』
アッハッハと笑っていた坂本の声が蘇る。
目が覚めて、いきなり自分がどこにいるのかわからなかった。見知らぬ天井と見知らぬ部屋で、ベッドの隣には盛大にいびきをかいて眠る近藤さん。

周りを見回して、ここがラブホ以外のなんでもないということはわかったけれど。近藤さんは、起こしても起きないから、とりあえず高杉に電話してみよう。そう思って携帯を開いて。時刻は朝の8時過ぎ、確実に高杉も寝てる時間だった。こうなったら坂本しかいないと、俺は坂本の携帯を鳴らす。坂本まで起きなかったら、どうしようと思いながら。

坂本は、携帯の音で目覚めたらしかった。

『わしらの部屋は201みたいじゃよ』
なんだ、すぐ隣の隣みたいな、そんな近くにいるんじゃねェかとわかって、少しだけ安心した。

『まだ晋が寝とるしのぅ、12時のチェックアウトまでゆっくりしときィ』
「ああ、わかった」
『せっかくホテルじゃからのぅ、ヤルことヤっときたいしの〜』
ああそうかよ!勝手にどうぞ!

『土方君も、近藤襲うなら襲ってまい〜』
「なっ、お前なァっ!!」
近藤さんは、普通にノンケじゃねェかっ!何言ってんだ坂本の野郎!

『飲んで酔っ払っとる時の近藤は、キレイに記憶ないからの〜、ヤルならチャンスじゃと、思っただけぜよ〜』
アッハッハと坂本は笑っている。コイツは鬼か?何考えてんだ?

じゃあ、シャワー浴びるからと言って、坂本は通話を切った。そうだな、俺も風呂入っておこう。
よく見ると近藤さんは、寝る前に入ったのか腰にバスタオルを巻いた状態で眠っていて。

(やべェ…)
ドキリと胸が鳴った。坂本にあんなこと、言われたからだ。

小学生の頃から知っているけど、近藤さんは、憧れの人っていうか、本当に兄貴みたいに思っていて。

(近藤さんって、コッチの世界来たら、絶対モテモテなのになァ…)
ぼんやりと、そんなことを考えていたら下半身がムクムクと元気になってきて。

「やべやべ」
俺はとりあえず、服を脱いでシャワーを浴びた。

シャワーを浴びても、俺の下半身は全然収まってくれなかった。だんだん本格的な受験シーズンが近づいてきて、総悟ともあんまりしてないからな、最近。来年の3月までは、我慢しなきゃならないのはわかってるんだけど。昨年、俺も総悟に我慢させてたわけだし。

今頃、高杉と坂本は仲良くヤってるんだろうか、なんて考えたら、余計に我慢できなくなってきた。

(ちょっとだけ、ちょっとだけ)
ごめん近藤さんって頭の中でめちゃくちゃ土下座しながら、掛け布団からはみ出した近藤さんの足の指を口に含む。掛け布団をめくって足首、すね、ふくらはぎ、膝…と舌を這わせながら、腰に巻かれていたバスタオルを外す。

朝勃ち、していた。近藤さんのは、デカくて立派にエラが張っていて、反り返っていて…。小さい頃は、よく一緒に風呂に入ったもんなんだけどな。

たまらなくなって俺は近藤さんのモノを頬張りながら右手で自分自身を扱く。こんなことしたら、いくら近藤さんでも絶対目を覚ますって、それはわかってたんだけど。

「ん…、あっ、……トシ?」
案の定、近藤さんは呻き声を漏らしながら目を覚まして。だけど、俺は今更やめることなんてできなかった。

「ま、待て、トシっ!」
起き上がった近藤さんの手が、ぎゅうっとシーツを掴んだ。

「トシ、イっちまうっ!」
俺は口の中と舌全体を使って、思い切り近藤さんに吸い付いた。

勢いよく口の中に近藤さんのザーメンが飛び出してくる。近藤さんのなんだぁって実感を噛み締めながら、俺はそれを全部キレイに飲み干した。

「ぁ…、トシっ!」
慌てた近藤さんが、口元にティッシュを当ててくれたけど。

「…トシ、お前、飲んだのか?」
呆気に取られている近藤さんに、俺は無言で頷いた。まだ俺自身は達していない。だけど、いきなり寝込みを襲っちまって、近藤さんになんて言ったらいいのかわからなくて。

「トシ…、お前、上手いんだなァ…」
最近溜まってたんだと、頭を掻く近藤さんの中心は、1回出したはずなのに、全然収まる気配がなかった。

「近藤さん、ゴメンっ!」
俺は、鞄の中からローションを出してきて、近藤さんの中心に塗りたくった。そして、唖然とする近藤さんの上に跨がって腰を落としてゆく。さっきシャワーで中まで洗ったから、そのままでも大丈夫だろう。近藤さんの中心は、すんなりと俺の中に飲み込まれていった。

「ト、トシっ?」
「うは、…ぁ、ぁっ、ア…、近藤さんっ」
上下に動く度に、中で感じる近藤さんが熱い。やべェ、まじで気持ちイイ。

***

なんだか気持ち良くて目覚めたら、小学生の時から、弟みたいに思ってきたトシが、俺のモノをしゃぶっていた。それどころか、今は、俺の上に乗って、女みたいな喘ぎ声を上げている。

1回の時から、坂本なんて悪友がいたおかげで、男同士でする時にソコを使うんだということは、知識としては知っていたけれど、こんなのは初めてだった。

「ァッ、んあァっ、近藤さんっ…」
身体をビクビク震わせながらトシがしがみついてくる。

「トシ、痛くないのか?」
「き、気持ちイイ、近藤さんっ」
ふるふると首を横に振りながらトシは腰使いを激しくしてゆく。

トシの中が、俺に絡み付いてくるみたいで、程よく締め付けてきて。ケツに入れるのって、こんなに気持ち良いモノだったとは知らなかった。

「トシ、痛かったら言ってくれよ」
俺は、トシの身体を支えてベッドに仰向けに倒して。男同士でも正常位でするってことは知っていたから、自ら両脚を抱えたトシの中を激しく突いた。

「んああっ!近藤さんっ、イイっ、イイっ!もっと激しくしてくれよォっ!」
普段の男気溢れる感じのトシと、今目の前で女みたいにヨガっているトシ。そのギャップの激しさにクラクラしそうだった。

「トシ、俺、そろそろ…っ」
「まだっ、近藤さん、俺っ」

嫌々って必死で首を横に振りながら訴えるトシの姿に、腰の動きを止めて、競り上がってくる射精感をぐっとこらえた。自分だけいい思いはしたくなかったけれど、どうしてやったら、トシが気持ちよくなってくれるのかが全くわからない。

「トシ、どうしたらいい?」
一旦射精感が収まったところで聞いてみるしか俺にはできなかった。

「ぁぅ、ぁ…、近藤さんっ…」
後に続いたトシの言葉は、小さすぎてよく聞こえなかった。

「え?何て?」
「ココ、噛んで、くれ」

恥ずかしそうに俯いて。だけど確かにそう聞こえてしまった。ココ、とトシが手で示しているのは、間違いなく乳首で。

「か、噛めばいいのか?」
恐る恐る、俺はトシの胸の桜色の突起に舌を這わす。この際、どうにでもなれって、そんな心境だったから、言われた通りに歯を立てた。

「んアっ…」
びくんと身体を震わせてのけ反ったトシが、思い切りシーツを掴んで、甘ったるい声を上げた。

「ああっ、近藤さんっ!もっと、もっと強くっ」
噛まれたことで、トシはスイッチが入ったみたいだった。自ら尻を突き上げて俺自身をぎゅうぎゅうに締め付けてくる。

「トシっ…」
夢中で噛み付きながら腰の動きを再開した。動きながらじゃ力加減が上手く行かなくて、きっと物凄く強く歯を押し当ててしまっているだろうけど。

「うはァああっ、近藤さん、イク、イクっ!」

ぎゅっと首のあたりにトシがしがみついてきて。俺だってもう限界だ。

「トシ、イクぞ…っ」
「ンアアあっ、近藤さぁんっ…」

頭が真っ白になるほどの快感の中、俺はトシの中に思い切りザーメンをほとばしらせていた。激しい快感が、前身を駆け巡り、脳天を突き抜けていった。

腰を動かしたり、乳首を噛んでやったりすることに必死だったけど、触ってもいないトシの先端からは、やっぱり白濁液が溢れ出していた。ケツだけでイケるもんなのか?そんなに、イイもんなのか?

「ァ…、近藤さんっ、もっと、無茶苦茶にして下さいっ…」
ハァハァ荒い息遣いのまま起き上がったトシが、まだ放心状態の俺の手を取って指を舐め始めた。チロチロと動く舌遣いが妙にいやらしい。さっきのフェラを連想させる。でも、いくらなんでも2回も出した後なわけで。

だけどトシはそのまま俺の腕に舌を這わせていって、さすがに通常の大きさに戻った俺の中心をまたくわえはじめて。

「近藤さん…」
潤んだ瞳で見上げられて、なぜだか胸のあたりにグッときた。

「もっと俺をぐちゃぐちゃにしてくださいっ」
…。もう、どうにでもなれ。

***

うっすらと重たい瞼を開くと、心配そうに覗き込む辰馬の顔が目の前にあった。

「…たつ、ま、俺…」
「晋、大丈夫じゃった?」

そこでようやく俺は、あまりにも気持ち良すぎて、意識が飛んでしまったのだとわかった。こんなの、辰馬と初めてセックスした時以来だ。

「晋、トコロテンじゃったのぅ!初めてがかァ?」
「あ、…ぅん」

言われて恥ずかしくなって、俺は辰馬の顔から視線を逸らした。

「晋助、…もう1回、してもいいかの?」
「えっ…、もう1回?」
返事を聞く前に、辰馬は俺の首筋に顔を埋めた。

「ふアっ、…や、や、辰馬っ」
辰馬の首に腕を回してしがみついた。駄目だって辰馬、気持ち良すぎるよ。

「晋助、愛しとるぜよ」
「お前…なァっ!」
何回言われても、こんなに嬉しくなるなんて。俺ってだいぶイカれてるよな、なんて思いながら、俺は辰馬のキスを受け止めた。


続く



きっと土方君も高杉君も、自力で歩けないくらいフラフラになったでしょう(苦笑)






















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