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愚痴くらいなら、いくらでも聞いてあげられるけど。

高く青い空の向こうに見つけた太陽 06


最近、目立って坂本の溜息が増えた。
いつも笑って、底抜けに明るい男だから、きっと誰も気付いていないだろうけど、長年の付き合いだから、俺はすぐに気付いてしまった。ぼーっと職員室の窓に四角く切り取られた空を、眺めている時間が多くなった。

その原因が、さっき判明した。

あれから俺と辰馬は、予定していたAって店には行かず、さっさと辰馬のマンションに引き揚げた。多少の酒と、つまみをコンビニで買って。

俺と給料は一緒のはずなんだけど、ボンボンの辰馬は、やたら広いマンションに1人暮らし。俺の狭いアパートに、一部屋分けて欲しいくらいですよコノヤロー。

「わし、生徒なんて好きになったのは初めてじゃよ、銀時」
ただっ広いリビングの3人掛けソファに2人並んで座る。

「いやァ、それは俺も知ってっけどよ」
そう言えば、辰馬って、男は年下好きなんだよな。しかも、こう、ちょっと小さくて、細っこくて、どっちかって言うと、カワイイタイプが好みだったっけ。

あの高杉が、カワイイかどうかなんて、銀さんには全くわかんないけどね。
俺もカワイイ子は好きだけど、残念ながら高杉は銀さんのタイプじゃないよ辰馬…って、何を考えてるんだ、俺は。

そう、だからこそ、俺達今まで喧嘩とかしたことなかったんじゃん。
いや、そーゆう問題でもなくてだな。

「辰馬、お前いつから高杉が気になってたんだ?」
「入学式の時から、綺麗な子じゃと思っちょった」
俺は、思い切り飲みかけのビールを吹き出した。

「何ソレ、お前一目惚れなんじゃん」
「ほうかの。でも、教え子じゃ」
教師としての立場が辰馬を悩ませているのだと思った。

「いいんじゃねェの?やってみせろよ、高校教師。まぁ、お前じゃ藤木直人は無理だけどなぁ」
「でも、高杉は上戸彩よりかわええの」

笑い飛ばしてやろうと思ったら、大真面目に応えられた。俺はまた、ビールを吹き出しそうになって、飲むのをやめて煙草に火をつけた。

「お前、相当イカれちゃったな」

こんなに落ち込む辰馬なんて、ほとんど見たことないから、銀さんとしては、新鮮で、ああ、コイツもちゃんと人間だったんだって、安心しちゃう部分はあったりなんかするんだけど。

「お前はさ、辰馬」
「なんじゃ?」
全く酒の進まない坂本が暗い声で、義務であるかのような返事をする。

「どうしたいのよ?」
「わしは」
坂本は、ちょっとだけ、そこで言葉に詰まった。

「わしは、高杉が笑った顔を見たいと思うだけじゃよ」
屋上でサボる3人の姿を見に行っても、笑っているのは河上と来島だけなのだと、いつも、ちよっと離れたところで、そんな2人を静かに見つめているのが高杉晋助なのだと、辰馬は言った。
一体何が、彼から笑顔を奪ってしまったのだろうか。

「辰馬ァ、ウチのクラスに桂っているじゃん?」
「おう、ヅラか」
「そうそう」

本人が嫌がるあだ名をつけたのは銀八で、それがすっかり、浸透してしまっていることに、銀時本人が苦笑いを隠せない。

「ヅラと高杉って、幼なじみなの知ってた?」
「えっ?…あんなに違う2人がか?」

そりゃ驚くよなぁ、ってか、銀さんもヅラから聞いてぶっ飛んだもんね。ずーっと似たような環境で育った2人なら、どーしてそこまで違うのよ?って。

「何か、前にな、『桂君が高杉に屋上に連れて行かれたー』って、ウチのクラスの奴らが騒いでたことがあったのよ。でも、何事もなく、普通にヅラは戻ってきたんだけどね」

その後、『桂さんがボスらしいです!』とか口走っていた新八のことは、今は置いといて。

「んで、ヅラが言うには、高杉は、昔はあんなんじゃなかったんだってさ。『アイツは、根は本当にいい奴なんです、見捨てないでやって欲しい』ってヅラに言われたんだけど、俺、担任でも何でもないからさ」

ヅラの言うことが本当だったらさ、お前、頑張りどころなんじゃないの?銀さんには無理だけど。俺は俺で、自分のクラスだけで手ェいっぱいだしさ。

「銀時…」
やめろって、そんな泣きそうな顔、辰馬らしくないよ。

「まー、とりあえず高杉君、男でもイイみたいねー、それがわかったのはよかったんじゃないのー?」
お前の分まで銀さんが笑っといてやるよ、今だけは。

「そう…じゃの」
男同士だからという理由だけで、拒絶されることはなさそうだから。

「そうじゃの」
自分に言い聞かせるみたいに、辰馬は同じ言葉を繰り返した。

「そうそう、押せ押せの方がお前らしいって」
「うん」

ようやく、少しは元気になった辰馬が、全然口をつけていなかったビールを一気に飲み干した。

「銀時、どうやら買ってきた酒が少なすぎたかもしれんのぉ」
「明日も学校!程々でいいんだよっ!」
あっはっはーと笑う辰馬は、いつもの辰馬に戻っていた。


続く



早く高杉君と坂本先生に絡んで欲しい…
書いといてなんですが、高校教師と言えば、高階は真田広之ですよ(←年がバレるからやめなさい)






















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