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最初に行ってみたのは、いつものゲーセンだった

高く青い空の向こうに見つけた太陽 05


独りは嫌だ。だけど、裏切られるのは、捨てられるのはもっと嫌だ。それなら独りの方がマシだ。

矛盾した感情は、それでも同時に、俺の中に存在するモノで。
それは互いに、せめぎ合い、俺の感情を不安定にさせ、安定させもする、それはそれは厄介なモノだ。

人との関わりなんて上辺だけでいい。だけど、時々、無性に泣きたくなる程寂しいこの感情はなんだ。

さすがに昼の3時では、いつもの場所にも誰もいない。仕方なく俺は、一度家に帰って着替えることにした。どうせ夜中、いや、もしかしたら明日の朝まで帰るつもりはない。だから、制服はちょっとばかり不便だった。

相変わらず誰もいない、誰も俺を待っててはくれない大きすぎる家。両親が、2人揃って、そこそこ稼いでいるおかげで、裕福だと言われてもいいんだろうけれど、その代償はコレだった。

耳が痛くなる程の静寂。家に、あまり帰らないようになったのはいつからだった?
必要最低限のモノしか置かれていない部屋。
今日なんて、学校に置いてきた鞄までがない。

適当に着替えてみたが、今からまた、遊びに行ったって誰もいないだろう。
普段あそこでつるむのは、他校の高校生に大学生、専門学校生、それから浪人生(いいのかよ、遊んでて)

だいたい、夕方の5時を過ぎると、なんとなく集まってくる。

俺達は、名前すらちゃんとは知らなくて、もちろん住んでる場所とか、ソコに来てない間はどういう人間なのかってこともよく知らなくて。携帯の番号を、知ってる奴もいたけど、かけてみたことなんて一度もなくて。

だけど、ただなんとなく時間を共有して、なんとなく別れて。そしてまた、なんとなく集まって。
俺には、それで十分だった。

放課後までダラダラ過ごしてから行けばちょうどいい時間。俺は、夕方まで少し、眠ることにした。

***

「タカスギ、今日は遅いと思ったら、着替えてきたの?」
ちょっとだけ仮眠、のつもりが、盛大に寝過ごして、ようやくたどり着くと、そこにいたのは大学生の2人だけ。

「俺らも、もう帰ろうと思ってたんだ、悪ィな」
「ああ、いや、大丈夫だし」
「じゃ〜な〜、タカスギ」
くそ、これじゃまた独りじゃないか。

俺は場所を移動した。時間は夜8時前。ちょっと早いけど、もう大丈夫だろう。
俺は、いつの間にか頭に入ってしまった路地裏をどんどん進む。

それが例え、一時的なものであろうと、独りの寂しさを埋めてくれるなら、男でも女でも関係なかった。だから俺は、こんな日は安易な方を選ぶ。

そう、そこの、1階にコンビニが入ったビルの前で座ってればあっという間だ。

一番最初に声をかけてきたのは、ブランド物のセカンドバッグを抱えて、金は持ってそうなんだけどちょっと怪しいオッサン。普段なら絶対相手にしないタイプだったけど、とにかく今は、誰でもよかった。

「俺、お腹すいてんだけど」
「構わないよ」
俺はそのまま、そのオッサンについて行った。

***

小綺麗な料理屋で、そこそこマシな物を食べさせてもらった後で、俺達はバーに入った。
普通のショットバーなんかじゃないことは今更言うまでもない、けど全然平気だ。
独りで家に帰って、孤独と戦うより、はるかに楽だった。

やたらオカマ言葉の男達と、他愛もない話を繰り返し。オッサンは、俺を連れているってことで、なんだか自慢げで上機嫌だし。

適当に2時間くらい飲んだ後は、もう、お決まりのコース。

あー、今からだったら朝帰りになるだろうな。泊まり料金だもんな、なんて、酒に強いらしい俺は、全然酔うことなんてできやしなくて、冷めたことを考えながら、オッサンと一緒にホテルに入った。

途中で、誰かが俺を呼んだような気がしたけど、気のせいだろう。


続く



晋ちゃんしか出なかった…






















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