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幼なじみに再会したのは、4月も半ばに入ってからだった。

高く青い空の向こうに見つけた太陽 02


「高杉」
呼ばれて振り向くと、相変わらず第一ボタンまでキッチリ閉めたそのままの性格の幼なじみが立っていた。

「お前、晋助様の何なんスか?」
「ああ、コイツはいいんだ、また子」
いつの間にか『晋助様』なんて呼び始めたまた子を制し、先に行っといてと促した昼休み。

「なんだよ、ヅラ」
「ヅラじゃない、桂だ!」

もはや口癖になっているかのように、いつもいつも同じ言葉を繰り返すコイツの名前は桂小太郎。昔からやたら長い髪の毛以外は目立つようなところがなく、俺達とは全く対極の位置にいる優等生。

「お前、既に『校内史上最凶』なんて言われてるぞ」
「あっそ、それがどうかしたか?」

いつしか、校内のほとんどのいわゆる『不良』って奴らをシメてしまった俺達。そんな俺と、優等生の桂の組み合わせに、横を過ぎて行く生徒達が皆、怪訝な顔で振り返ってゆく。

「ちょっと場所変えねェ?」
居心地が悪くなって、俺は、俺達の仲間4人以外の人間を、初めて屋上に招き入れた。
「コイツ俺の幼なじみ」
そう告げると、万斉もまた子も安心したようで、またウダウダと話始めたので、俺は桂を連れて、少し離れた屋上の違う面に向かって、外を眺めた。この角度からだと、いつもの正門ではなく、グラウンドが視界いっぱいに広がっている。

「お前、それでいいのか?」
「なにがだよ」
俺の横に来て同じように誰もいないグラウンドを眺める桂。

「もったいないと思わないのか?」
「だから何がだよ」
桂の話に痺れを切らせて、俺は煙草をくわえた。

「お前、頭はよかったじゃないか、昔から。こんなところで毎日サボってて、そうやって時間を過ごして、もったいないと思わないのか?」
桂と俺は家が近所だった。だからずっと、小さい頃から一緒に遊んでいた。

だけど、俺とコイツは決定的に違っていた。

「だって俺、やりたいこととかねェもん」
周りに望まれる自分の姿というものを理解し、それをしっかり受け入れることができる桂。俺にはそれができない。言うなれば『いい子』になんてなれない。俺は俺にしかなれない。

「真面目にやっていれば見つかるかもしれないじゃないか」
「遊んでても見つかるかもしれねェぜ?」
そして、桂は、いつもいつも、こんな俺を心配して、こうやって、つるむ相手が変わった今も、時々話かけてくるのだ。

「今までそうやって、見つからなかったんだろう?いい機会じゃないか、高校生になったんだ。なのに、お前はどんどん悪くなるばかりだ」
「だから、それが俺なんだっつうの」
短くなった煙草をコンクリートの床に捨て、靴の裏で踏み消した。

正直、こうやって、いつまでも俺を心配してくれる奴が、1人でもいるってことに、安心しなくもない。

少なくとも桂だけは、俺がこのまま不良やってようと、ある日突然気が変わって真面目になろうと、俺の側から離れないんだろうと、俺のことを見ててくれるんだろうと、わかっているからだ。

「高杉、お前はやればなんでもできるじゃないか」
「やらないからできないの」
なんだか言葉遊びでもやってるような気分。

「それよりヅラァ、授業始まってっけど、いいの?」
「ああ、大丈夫だ」
「小太郎ちゃんもついにサボりかよ」

返答を聞いて少し驚いたが、からかうように言ってやった。それはまだ小学校にも上がる前、ホントにまだガキだった俺が呼んでいた呼び方で。

「やめろっ!…次は自習だと聞いたからだ。お前の気が変わるまで俺はここにいる!」
照れ隠しなのか恥ずかしいのか、最後は怒鳴るように桂は言い放った。

「んじゃァ、お前一生屋上暮らしだなァ」
あははと声を上げて笑う俺を、万斉やまた子が不思議そうに見ていたことになんか、俺は気付いていなかった。

***

「あっ、桂さん!無事だったんですねぇっ!!」
仕方なく次の休み時間には教室に戻った桂の元に、新八が駆け寄ってきた。

「ん?どういう意味だ?志村」
「桂さんがあの高杉に、屋上にラチられたって、みんなで心配してたんですよぉ!」
「そうだったのか?」
クラスメート達がゾロゾロと集まってくる。

「そうでさァ。高杉達が今度は優等生狙い始めたんなら、次は土方さんだって、みんな期待してたんでさァ」
「総悟っ!!どういう意味だっ!!」

ギャーギャー騒ぎ始める土方と沖田。このクラスに高杉はいない。それでも、こうまで有名になってしまっているのだと、桂は思った。自分と高杉の関係を知らないと、こうまで心配されてしまう程の存在なのだ、高杉はもはや。

「大丈夫だ、高杉は俺には絶対、手を出さん」
「ええーっ!?」
それに、と続けようとしたところで新八が大声を出した。

「なんで?なんで?桂さんって、実はあいつらの親玉だったりするんですかぁっ?」
「なんでそうなる!!」
とにもかくにも、Z組の教室は今日も賑やかだ。


続く



桂君の前では素直に笑える高杉君。幼なじみ最強だねェ(笑)
ってか坂本先生全然出てこないじゃんιιι
次は出ます






















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