□title list□
 ※水色部分にカーソルを合わせると
 メニューが出ます

何やら暴行事件に巻き込まれたとかで、しばらく学校を休んでいた高杉が顔に絆創膏を貼って復帰してきた。

Godetia


担任の銀八は、詳しく教えてはくれなかったし、まさか本人にも聞きずらい。だから、俺達クラスメートはみんな、特にそのことには触れず、無理矢理いたって普通の日常ってやつを送り続けていた。なんか変な感じは拭えなかったけれど。
元々高杉ってやつは、髪の毛を赤く染めて、制服は着崩して。遅刻しないで学校に来ることの方が少ないし、しょっちゅう授業もサボっているような、言わば『不良』のレッテルを貼られても、おかしくないような生徒だった。だけど、その高杉が、どこかで喧嘩しただとか、問題を起こしただなんて話は皆無で。
だからこそ、事件に巻き込まれたなんて聞いた時は驚いたもんだった。たぶんそれは、俺だけじゃないはずだ。

「高杉ィ、その髪、いい加減黒く染め直しなせェ」

俺と同じく風紀委員の総悟が高杉の席の前に立っている。

「だから、俺のコレは自毛だっつってんだろ」

ダルそうに窓際一番後ろの席で、机に突っ伏したまま高杉が応えている。

「そんな赤い自毛があるわけねーだろィ」
「そういうお前だってパツキンだろーが」
「俺のこそ自毛なんでさァ」
「お前、馬っ鹿じゃねーの?」

総悟と話してる高杉の姿に、俺はなんだか違和感を覚えた。そして、その違和感の正体に俺はすぐに気がついた。

(高杉が笑ってる!)

はっきり言って、クラスメートのほとんど誰とも打ち解けない、話さないような奴だった。『俺に話し掛けるな』ってオーラが全身から漂っているような感じで。唯一の例外が幼なじみだっていう桂だったけど、その桂とも、特別仲が良いようには見えなくて。
だけど今、総悟とくだらない言い合いをしている高杉は、屈託のない表情で笑っていて。総悟も、ちょっと驚いているみたいだけど、顔には出さずに、なんとか普通に話を続けている状態。

「コラァ、とっくにチャイムは鳴ってんの、聞こえなかったんですかコノヤロー!」
いつも通り、全くやる気のない態度で教室に入ってきた担任の銀八。次の時間は、ロングホームルームで、席替えの後は自習時間、って言っても、当然俺達3Zのクラスにとっては遊び時間みたいなものに、なるはずだった。

「土方さん、土方さん」

銀八の登場で、俺の隣の席に戻ってきた総悟が俺を呼ぶ。

「なんか高杉の雰囲気違うんでさァ」
「ァあ、俺も見てた」

また、ダルそうに机に突っ伏して外を眺めている高杉。その姿は、休む前とは変わらないのだけれど。

「ハイハイ、こっちの列から、テキトーにくじ引いて、勝手に席替えしてー」

やっぱりやる気のない態度の銀八は、くじを作るのでさえ、学級委員長の桂や、使いやすい志村の弟にやらせたみたいだった。
ぷかぷか煙草を吸いながら、生徒達が机を持って移動するのを、見てもいない銀八。もちろん、その手にはジャンプ。

どうせ誰にも言えないことなんだから、いいんだけど、あんな奴が俺の恋人、なんだよなァ…。
生徒と教師で、しかも男同士で、誰にも言えない関係を続けること約1年。我ながら、よくやってる!…と思う。
くじ引きで決まった新しい俺の席は、窓側から2番目の列の、一番後ろだった。何故か隣には高杉。ってコイツ、くじ引いたのかよ?席替えの前と同じ席じゃねェかよ?
そして、なんだか上手いこと言いくるめられて席を交代させられた長谷川の代わりに俺の前には総悟。席替えの前と、ほとんど変わんねェじゃねぇか。隣だった奴が、前に来ただけじゃねェか!

「土方さん、土方さん」
「なんなんだよ、オメーはよォ」

これから1学期の終わりまで、俺はコイツにこうやって話しかけられ続けるのかと思ったら、頭が痛くなる。別に、総悟と仲が悪いわけではないし、幼なじみとまでは言わないけれど、昔から知っている仲ではあるんだけど。

「せっかく隣になったんだから、高杉と仲良くしてやりなせェよ」
「はァ?」

俺の隣には聞こえないように、小声で総悟が言ってきた内容に俺は思わず声を上げてしまった。でも、元からうるさい3Zの教室の中では、俺の声なんてほとんど目立ちやしない。

「なんか、面白そうじゃねェですかィ」

総悟が何を考えているのかはわからなかったけれど。隣の高杉は、相変わらずダルそうに窓の外を眺めていて。

「先生」

突然立ち上がったかと思うと、誰もそうとは呼ばない銀八のことを呼んで。

「どーしたぁ?高杉ィ」

顔だけを上げた相変わらず煙草をくわえたままの銀八。

「ダリィ、保健室」
「ハイハイ、行ってらっしゃい」

本当に、どこか体調悪そうに、教室から出て行ってしまった。

「土方さんが高杉のことばっかり言ってたのが聞こえたんでさァ」
「それはお前だろーがっ!」

***

部活の途中から降り出した雨は、帰る時間になっても、止みそうにない。
汗を拭いて、着替えながら開いた携帯には、銀八からのメールが届いていた。

『いつものコンビニに18時ね〜』

毎日一緒に帰らなきゃならないってことはないんだけど、それでも。こうやって銀八からメールがあった日は、俺はわざわざ学校から離れた駅とは反対側のコンビニで銀八と待ち合わせて、一緒に帰っている。
適当な理由をつけて、近藤さんや総悟とは校門の前で別れたけれど。
だけど、この雨の中、銀八の原付き2人乗りで帰るのは嫌かもなァ…。

***

『辰馬のせいで全身筋肉痛でダルいよぅ!』ってメールを入れたら、『ほんじゃア、送ってやるきに、一緒に帰ろ』と返事が届いた。送ってくれるって言ったって、今日も俺は辰馬のマンションに帰るんだけど。

昨夜も寝る前に2発。初めて身体を重ねてから昨日まで、俺と辰馬の性欲はとどまることを知らないみたいだ。
多分、抜群に相性がイイんだろう、…身体の。それは辰馬も認めてて、それが嬉しかったし。もういつまででもヤっていたい、くっついていたい、辰馬から離れたくない!…って言ったのは俺だけど、いかんせん、俺には辰馬程の体力がない。何回ヤっても、何回出しても、たとえ2時間しか睡眠が取れなくても、次の日の朝には、ケロっとした顔で普通に起きて学校に出勤する辰馬と俺は違う。

「マジで太腿筋肉痛…」

しかも裏側だなんて。セックスでなきゃ使わないじゃねェか、そんな場所。だけど、それだけ辰馬とヤったんだって、その筋肉痛がまた、嬉しかったりする駄目な俺。
とにかく俺は、保健室で一眠りしてから、陸奥先生相手にダラダラ喋って放課後の時間を潰して。陸奥先生は、俺達のことを全部知っていて味方になってくれている人だから、話しやすかった。
約束の時間、俺は陸奥先生にビニール傘を借りて、いつも辰馬と待ち合わせる、駅とは反対側の、学校から離れたコンビニに向かった。

***

(なんで高杉がいるんだよっ!)

表通りには面さない、住宅街の中のここのコンビニは、言うなれば穴場だったはずだった。
今まで銀八とここで待ち合わせて、クラスメートの誰かに会ったことは一度もない。

(アイツも電車通学のはずなのにっ)

なんで、なんで駅とは反対側のここのコンビニなんかにいるんだろう?
ここまで来て学校に戻るのもなんか変な話だし、時間が時間だけに、もう銀八もここに向かっているだろうし。
そして何よりも今日の雨。コンビニの中に入らず外で待つなんて、勘弁してほしい。
雑誌を立ち読みしていた高杉も、一瞬『なんでお前が?』って顔をしたけれど。またすぐに、何事もなかったかのように立ち読みを続けた。

そうだよな、お互い、気付かなかったことにするのが一番いいんだ、今は。
そう考えて、俺も高杉とは少し離れた場所で立ち読みを始める。もう2、3分もすれば、銀八が来るはずだった。時間通りに来てくれたならば。だけど、今日のこの雨だからなァ。って言うか、銀八と帰るとこ、高杉に見られるんじゃねぇか?このままだと!これは困ったぞ、どうしよう?
1人で雑誌を読むフリをしながらパニック状態に陥っていたら、携帯がメールを受信する。

『雨だから坂本先生に送ってもらうからぁ!あと5分待っといてぇ』

坂本先生も一緒なのか。坂本先生は、銀八とは仲が良くて、俺達のことは知ってるからな。だったら、2人っきりで帰るわけじゃないんだから、何とか高杉にも言い訳がつくんじゃないだろうか。なんで先生に送ってもらうんだ?なんて言われたら、その時はその時だ!

ちょうど高杉にもメールがあったみたいで、器用に片手で雑誌を持ったまま、すごい早さで返信を打っている。…ってか、高杉が読んでる雑誌って、真夏のデート特集だァ?…アイツ、女でもできたのかなぁ?彼女がこの辺に住んでるとかか?

教室でもほとんどしゃべらない高杉と付き合う子って、どんな子なんだろうって、本当に単なる好奇心から興味がわいたけど、話しかけることはできなかった。
コンビニの駐車場に、1台の高級外国車が滑り込んできて。あ、きっと坂本先生の車、コレだ。
俺は、読んでいたファッション誌を棚に戻して、コンビニの出口へ向かう。車の中から、銀八と、坂本先生が降りてきた。

「ごめんごめん、お待たせ、十四郎」

ぎ、銀八っ!高杉もいるってェのに、下の名前で呼ぶんじゃねェっ!!

だけど高杉は、さっきの雑誌を籠に入れて、店内を回っていて。もしかしたら聞こえてないかもしれない。そして、わざわざ車から降りてきた坂本先生は、買い物でもあるのかなァって思ったら、店内に入ってきて、真っ直ぐ向かったのは高杉のところだった。

「なんであいつらまでついて来るンだよっ?」
「仕方ないじゃろー?この雨じゃもん」
「納得いかねェよ!」
「そんな、怒らんといて」

高杉と坂本先生がいるのはお酒コーナーの前。高杉は、籠の中にビールやチューハイをガンガン入れているみたいに見えたけど。

「ぎ、銀八…。もしかして、さ…」

まさか、とは思う。だけど、現にこうやって、自分達は教師と生徒で、男と男で付き合っているじゃないか。

「もー、機嫌直しー!ほら、GABAのスーパービターチョコ買ってやるきに!これなら甘くないから食べれるって、晋助言うちょったじゃろー?」
「チョコなんかいらねぇよ」

高杉がいろんなモノを放り込んだ籠を坂本先生が持って、追い掛けて、レジで精算している。

「ほんじゃ、口移しで…」
「ばっ、ばっ、ばっ、馬鹿だろ、お前っ!」

もちろん、お金を払わされているのだけれど、坂本先生はそんなこと気にしていないみたいで。

「銀八。坂本先生と、高杉って、いつから?」

相変わらず雑誌コーナーのところに立ち尽くしたままで、何も買わない俺と銀八。いや、銀八に買ってもらおうなんて、考える方がどうかしている。なんたって銀八は貧乏だから。

「んー?3週間か1ヶ月くらいじゃないー?」

ってことは、高杉が暴力事件に巻き込まれたあたりからか。

「なんじゃあ?真夏のデート特集?おうおう、一緒に花火とか行きたいのぅ」
「ばっ、馬鹿っ!見んなっつぅの!」

会計を終えて、店員が袋に商品を詰めている前で言い合い、…っていうか、アレはどう見てもイチャついている。高杉の顔なんか、さっきからずっと真っ赤だし。憎まれ口にだって、全然覇気がない。

雑誌だけを、隠すように自分で持って、あとの大量の酒やお茶やお菓子は坂本先生に持たせた高杉。

「ほれ、銀八、土方君、行くぜよ〜」

坂本先生に促されて、俺達はみんなで坂本先生の車に乗り込んだ。さっき来た時は、銀八が乗っていた助手席には、当たり前のように高杉が座って、足元には濡れた傘とさっきの買い物の荷物。

「ねー、辰馬、辰馬ァ。せっかくだから、4人でご飯でも行かない〜?」
「お前らだけで行けよっ!」

銀八が、前の席に身を乗り出して言った言葉に、すかさず応えたのは高杉だった。

「もー、そんなにピリピリせんの、晋助」
「だって、なんでっ」

文句を言おうとしていたみたいだけど、くしゃくしゃっと坂本先生に頭を撫でられた高杉はおとなしくなった。

「悪ィな、高杉。俺、全然知らなかったから、さ…」

そりゃー付き合い始めて1ヶ月かそこらで、2人で帰るつもりでいたのに俺達なんていう邪魔者が入ったら、機嫌も悪くなるだろうなァって、予想できた俺は、前の席に向かって謝った。
俺のせいで、こうなったわけではなかったけれど。多分一番悪いのは、雨だからって坂本先生に甘えた銀八だから。

「俺も、お前だってのは、知らなかった」

ふて腐れたような声だったけど、さほど怒っているわけでもなさそうな高杉の口調。良く見たら、坂本先生は、ギアチェンジの時以外はずっと、高杉の手を握ってやっていた。

「あれェ?辰馬、本当に秘密にしといてくれてたんだァ」
「わざわざ話すことでもないからのぅ」

つまり高杉は。銀八が、誰か生徒と付き合っているらしいということまでは知っていても、その相手が俺だってことまでは、聞いてはいなかったらしい。

結局、坂本先生の案で、この日は俺達みんなで、坂本先生のマンションに泊まることになった。なんだか、部屋はたくさんあるみたいで、高杉は、夕食の後は別々に寝ればいいんだからって説得されてたけど。

「大丈夫大丈夫、そっちの邪魔なんかしないから」
「当たり前だろっ?」

坂本先生が取ってくれた出前の寿司だけど、高杉はあんまり嬉しくなさそう、って言うか、ほとんど食べていたのは俺と銀八だ。実は高杉は、ほとんど親が家にいない関係で、出前の寿司なんて食べ飽きてたと知ったのは、もっとずっと後の話。

確かに、部屋数がたくさんある坂本先生の部屋で、高杉は、ここに置きっぱなしにしているらしいスウェットに着替えて、俺と銀八は坂本先生のを借りて。坂本先生本人だけは、なぜかTシャツに短パンという姿。

「晋、おいで」

高杉の身体を、軽々と持ち上げた坂本先生が、自分の膝の間に高杉を座らせて。

「たまにはこういうのも、えいじゃろ?」

後ろから高杉を抱きしめながら、頬と頬をくっつけて頭を撫でてやっている。ちょっと、まだふて腐れたままだった高杉だけど、顔を真っ赤に染めて、坂本先生の身体に体重を預けてしまっていて。

「辰馬が、そういうなら、もう、イイよ」
「ん、ありがと、晋」
「そのかわり……」

高杉が坂本先生の耳元で囁いた声は、俺達にまでは聞こえなかった。
坂本先生が、玄関に一番近い部屋に用意してくれた布団に、銀八と2人で寝転がって。確かに、これだけ離れていたら、Hしたって声は聞こえないかもしれない。

「銀八ィ…。俺らも、最初って、あんなんだったっけ?」
「さァ?…どうだったかなァ?」

車を降りて、この部屋まで向かうエレベーターの中でも、密かに手を繋いでいた2人。
坂本先生が、さりげなく後ろに回した手で、高杉の小さい手を包み込んでいた。
今思えば、高杉がコンビニで買った『真夏のデート特集』だって、坂本先生と行くためなんだ。ここんところ、俺達はデートらしいデートなんてしていないんじゃないかと、考えずにはいられない。
倦怠期、ってわけでもないとは思うんだけど。むしろ安定期かなぁ。

「十四郎、夏休みになったら、2人でどっか行こうか」
「俺、塾の夏季講習が詰まってんだけど」

まったく、高校3年生の、受験生の担任だって自覚あるのか銀八は!

「1日くらい空くでショ?なんなら日帰りでもいいし」

ごろんと転がった銀八が、俺の上に覆いかぶさってきた。

(なんだよ、馬鹿っ)

高杉と坂本先生のラブラブっぷりに、感化されたの、俺だけじゃねーんじゃん。

「明日はさ、坂本先生が学校まで送ってくれるっつぅからさ、ヤっちゃおーっか」
「えっ?ちょっ、銀八っ!」

いつものやる気の無さはどこへやら。こういう時だけ、目の色が変わるんだよな、銀八は。

「やだっ、声、あっちに聞こえるっ、ふっ、んっ…」
「大丈夫大丈夫、どうせあいつらもヤってるって」
(あー、そうかぁ)

今日1日中、高杉がダルそうにしていた理由が、ここでようやく俺にはわかってしまって。
明日はきっと、俺も同じことになるんだろうなァ…なんて思いながら、俺は銀八に身を任せた。

「そう言えば、ホントに最近してなかったよね、十四郎」

Tシャツを中途半端に脱がせて、俺の腕の自由を奪った銀八が乳首に噛み付いた。

「いっ、ぁっ…、ァ、んあアっ」
「痛くされるのが好きだなんて、本当に十四郎はヘンタイだね」
「う、るせ、ァあっ!」

そういうふうに、俺の身体に叩き込んだのはどこの誰なんだっつうの。誰もいないからって、放課後の教室で机に縛りつけられて犯されたり、物理室で、変なモノを突っ込まれたり。
確かに、そうされる方が、普通に抱かれるより感じてしまったのは俺だけど。

「い、たいっ、銀八っ!」
「んー、とりあえず1回出しちゃえよ、十四郎」

噛み付かれたまま中心を扱かれて。銀八の思い通りになるのは嫌だって気持ちとは裏腹に俺の身体はどんどん昇り詰めてゆく。

「ァっ、くっ、んんーっ!!」
「はァい、良く出来ました」

ぼんやりとする意識の中で、俺が吐き出した濁液を、銀八が指に絡めているのが見えた。

(ああ、もう…)

これからどうされるのかなんて、わかりきっている。明日、学校行けるかなぁ…。

***

「うっ、ふっ、…んああっ」

必死で、声を抑えているんだけど、出てしまうものは出てしまうってわけで。
4LDKの端と端の部屋なんだから、声なんか聞こえない、大丈夫だって辰馬は言うんだけど。

「ひっ、うっ、ぁっ、ぁっ、んアっ」

疲れも溜まってるし、人が来てる今日1日くらい、しなくたって平気だと、思っていたけど、辰馬におやすみのキスをされたら、身体の方が思い切り反応してしまった。どこまで辰馬のこと好きなんだ、俺は。

「晋、こっち向いて」

正常位で抱かれている時は、辰馬はヤバイくらい、何回もキスを求めてくる。

「んっ、ふっ、んぁ…」

俺の口から、俺が友達を作らない理由を聞いた辰馬の、わざとなんだってわかってる、今日のことは。

俺は、男が好きだとか、坂本先生が好きだなんてこと、誰にも知られたくなかったんだ。もちろん、あんなことがなければ、辰馬本人にだって、言うつもりはなかったわけだし。それを知ったから、辰馬は土方と銀八をここに連れてきたんだろう。だって、向こうも、俺達と一緒なんだから。

たぶん辰馬は間違ってない。もしかしたら、唯一土方とは、俺が引け目を感じる必要なく、友達になれるかもしれない。

「ゃぁ…、た、つまっ、あっ、んはっ、イきそうっ」
「んっ、…えいよ、晋」

俺が限界を訴えるまで辰馬は我慢しててくれたのかもしれない。思いの外、キツそうな顔で、ダラダラ汗を流して。俺が、辰馬に扱かれて自分のお腹の上に白濁をぶちまけるのと、辰馬が背中を硬直させるのとは、ほとんど同時だった。

(もー、明日も数学以外は保健室登校だ、俺)

辰馬の逞しい腕にぎゅうっと抱きしめられてしつこいくらい唇を貧りながら。俺はこの日も、辰馬の体温を感じる幸せな眠りの中に落ちていった。


END



銀八土の2人は…。下手したら久しぶりだからって、朝までヤってそう(苦笑)平日ですよ!タイトルの花ことばは『変わらぬ熱愛』






















No reproduction or republication without written permission.