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※注意

この話は、長編で書いてる3Zの設定そのままの坂高です。
諸事情により、舞台が大阪になってますが、大阪弁の人は1人も出てきません(苦笑)

◎高杉晋助
高校1年生。Z組ではない。校内史上最凶の不良と言われながらも、毎日好き好き言ってくる担任の辰馬に落ちて夏頃から付き合い始める(笑)
付き合い始めてからは、辰馬のマンションに住み着く状態。
Z組の桂君とは幼なじみ。

◎坂本辰馬
銀魂高校社会科教師で高杉の担任。入学式で高杉に一目ぼれ。
なかなか生徒の人気は高い。
銀八の同僚で、職員室では席が隣。

深草


自分の生徒兼恋人の高杉が息を切らせてマンションを訪れた時には、もう夜の11時を過ぎていた。

「遅くなってごめん」

珍しく素直に謝罪を口にした高杉の頬は赤く、それが寒さのせいだけではないこともわかる、匂いがする。

「わしは構わんが、大丈夫だったんか?」

すぐに、暖かい部屋の中に入れてやると、普段住み着いているだけあって、慣れた足どりで高杉は洗面所に向かった。

海外出張ばかりで滅多にいない父親と、仕事で家を空けがちの母親の、両方が帰ってくるから、ちょっとだけ帰ると、大晦日の昼に自宅へ戻った高杉から、全く連絡がないこと約9時間。
正直1人で暇を持て余していたわけだが、高杉の家の事情はよくわかっている。
そんな時まで自分のわがままで拘束することなんて、できるわけがない。
こちらがたとえ、恋人と過ごしたいがために、生まれて初めて、年末年始に実家に帰ることを拒否し、きっと今頃親戚中に文句を言われているのだとしても。

「だって、約束しただろ」

顔を洗ったのか、眼帯をかけ直しながら洗面所から出て来た高杉が、冷蔵庫から取り出したチューハイを飲みながらソファに座った。

『上賀茂神社に行きたい』と、言われたのは数日前。『確か、世界遺産なんだよな』と。

慣れてきたとは言うものの、おおよそ普通のそこらの不良なら絶対知らないようなことを(というか、不良じゃなくても、今ドキの若者は知らないかもしれない)サラっと言う高杉にやっぱり驚いてしまった。

「初詣なら八坂さんじゃろー」

と笑いながら、火縄を回す真似をしてやると、『八坂神社も平安神宮も行ったことあるからヤダ』と言う返事が返ってきてもう一度驚いた。

「でも晋、今から向かったんじゃ、車の中で年越しじゃよ?」
「それでもいいから行く」

運転を考えて、まだ一滴も酒を口にしていない自分の前で、チューハイを水代わりにする高杉。別にそんなに酒飲みなわけではないからいいのだけれど。

「わかったぜよ。じゃあ、もう出よ」

脱いだばかりのコートを着せて、自分はペットボトルのミネラルウォーターを持って、マンションの駐車場に出た。高杉のドリンクホルダーには、飲みかけのチューハイ。

「結構飲んだんか?」

助手席に収まった高杉の頭を撫でながら、信号待ち。

「ん。…親父に付き合わされた」

一体何時から家族で飲んでいたのか、かなり酒に強い高杉の頬が赤いのは、そのせいだ。
親が許したことなのだから、高校生なのにとか、そういうことは今はどうでもいい。教師とは言え、自分が口を出すことではない。

「混んどるかもしれんから、着くまで寝とって構わんよ」
「ヤダ」

ラジオのチャンネルを合わせながら、チューハイを口に運ぶ高杉。そんなに飲んだら、酔っ払ったら、眠くなって寝てしまうのはどこの誰だと言ってやりたい。
とりあえず市内を北上する。思ったより道路は空いていた。

「何て言って出て来たんじゃ?」
「別に。フツーに先生と初詣行くから、って」

車を走らせながら交わされる会話に笑顔がこぼれる。

「なんでそこは桂君とか使わんのじゃあ?なんで先生と?って言われたじゃろ〜?」
「小太郎は絶対正月特番見て、朝になってからしか初詣行かない奴なんだよ」

今頃、絶対家族で紅白見てるんだぜ、と幼なじみの話で高杉は笑った。

「親父は固まってたけど、母さんは別になんも。住吉大社?って聞かれただけ」

そんで、京都行くって言ったら小遣いくれた、と高杉はなんでもないことのように言うけれど。
高杉の母親には、薄々自分達のことがバレているのではないかと、なんとなく感じてしまう。
高杉が自分のマンションに入り浸って、住み着くような状態になっていることも、高杉の母親は知っているはずなのだ。
それも、秋頃に、全然家に帰っていないと知った母親から『そろそろ寒くなってきたんだから、夜遊び控えたら?』と電話がかかってきて。

自分の目の前で『夜遊びなんかしてねェよ。先生んち泊まってるだけだから』と高杉ははっきり言い放ったのだった。
その後電話を変わらされて、母親と話したのだが、突然すぎてあまり良く覚えていない。ただ、『息子をお願いします』とか言われたような気だけがする。

(オープンなんじゃろうか)

男なのに男が好きで、男と付き合ってるという事実について。確かに最近の若い子は隠さないとよく聞く話だが。
自分などは、実家に帰らないと家族に告げた時、しつこくしつこく理由を問われ、結局正直に恋人と過ごしたいと話したら、いの一番に『未来の嫁を連れてこい』と言われてしまったというのに。まぁ、田舎なんてそんなもんだろう。今時、正月には親戚一同が、本家(要するにうちの実家だ)に集まるような場所だから。

ラジオから、カウントダウンの声が流れて来て日付とともに年が改まったのは、京都南インターの標識が、ようやく見えてきた時だった。

「晋、あけましておめでとうじゃ」

返事がなくて、チラっと助手席を見ると、やっぱり高杉は眠ってしまっていた。日付が変わる瞬間をさっきまで『あと何分』と楽しみにしていたのに。

「しーんー、ここで寝るがかァ?」

ちょっと大きな声で呼んでも起きないと言うことは、本格的に眠ってしまったのだろう。わざと第2出口から高速を降りて一号線に入ったところでコンビニに車を停めた。一号線を真っ直ぐいけば、そこにあるのは、これまた世界遺産の東寺(教王護国寺)だ。

「晋、晋!」

身体を揺さぶってみても、全く起きる気配がない。高杉の寝起きの悪さは、それはそれはピカ一だから、上賀茂神社に行ったところで、きっとこのまま朝まで絶対起きないだろう。無理矢理叩き起こせば1時間は意識がハッキリしない超不機嫌で、だからといってこのまま起こさなければ、朝になった時に『なんで起こさねェんだ』と、怒鳴られるのが目に見えている。

「どうしたもんかのぅ」

しばらく悩んだ坂本だが、やっぱり起こすのはかわいそうで、眠たい時は眠らせてあげたくて。しかもここは、京都市伏見区と南区の境目の、この場所で。

「初詣は朝になってからにするぜよ」

起きないのをいいことに、頭を撫でて顔中にキスの雨を降らせてやった。

(いかんいかん…早く、行こ)

頬が赤いままの、あんまりにもカワイイ寝顔にあてられて、熱くなる。毎日見てるはずなのに、全然見飽きるということがないのは、相当惚れ込んでしまっている証拠か。

「一軒くらいは空いとるじゃろ」

独り言を呟きながら、坂本は車を走らせた。
朝になって、自分の居場所に気付いた高杉の、猛烈に怒る姿を想像して、それすらカワイイと、笑みをこぼしながら。


END



なんじゃこりゃ(笑)
京都南ICのとこにはねェ、死ぬ程ラブホがあるんだよ(笑←関西人なら誰でも知っている)
坂本先生は、高杉君が起きないのがわかっていて、わざと第2出口から出てます。上賀茂神社にまっすぐ向かうなら(東寺の方)、第1出口。だけど、第1出口から出ちゃうと右折ができないから、わざと第2出口から出たんだよっ!…って、その時点で既にラブホ行く気満々ぢゃん!!






















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